アジアリート市場動向と見通し(2016年12月号)

2016年12月9日
投資情報室
(審査確認番号H28-TB244)
REITレポート
アジアリート市場動向と見通し(2016年12月号)
アジアリート市場(シンガポール・香港・マレーシア)の動向

11月(月間)のアジアリート市場は、トランプ次期大統領が掲げる財政拡張的な政策による米金利
上昇が各国の金利動向にも波及し、主要3市場(配当込み、現地通貨ベース)とも下落しました。マ
レーシア市場は、ナジブ首相の不正資金疑惑に絡む政情不安も影響している可能性があります【図
表1、2】。尚、円安が進んだことで、香港は円ベースで前月末比7%近く上昇しています。

主要3市場で時価総額最大(11月末)のシンガポールリート市場の主要セクター別騰落率(配当除
き、現地通貨ベース)は、金利上昇や通貨安(輸入品価格上昇)による物価高が個人消費にダメー
ジをあたえるとの懸念等から、小売りセクターが前月末比5.2%下落しました【図表3】。

11月末のアジアリート市場の時価総額(米ドルベース)は、前月末比5.1%減少しました【図表4】。
図表1:アジアリート市場の推移(現地通貨ベース)
データ期間:2014年12月末∼2016年11月末(日次)
140
シンガポール
香港
図表2:アジアリート市場のパフォーマンス
【 現地通貨ベース(2016年11月) 】
当月
マレーシア
130
年初来
シンガポール
-2.9%
10.1%
香港
-1.5%
19.7%
マレーシア
-2.7%
18.1%
120
110
(参考)【 円ベース(2016年11月) 】
100
当月
90
シンガポール
2.3%
3.3%
香港
6.8%
13.3%
マレーシア
-0.9%
7.6%
※2014年12月末を100として指数化
80
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6
(年/月)
年初来
※各国リートはS&P各国リート指数を使用(いずれも配当込み)
図表3:シンガポールリートのセクター別推移
130
図表4:時価総額(浮動株ベース)の推移
データ期間:2014年12月末∼2016年11月末(日次)(億米ドル)
700
小売り
産業
オフィス
ヘルスケア
データ期間:2014年1月末∼2016年11月末(月次)
マレーシア
香港
シンガポール
600
120
500
110
400
100
300
90
200
80
100
※2014年12月末を100として指数化
70
0
2014/1 2014/7 2015/1 2015/7 2016/1 2016/7
2014/12
2015/6
2015/12
2016/6 (年/月)
(年/月)
出所)図表1∼4はS&Pのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資
収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投資成果を示すものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。●投
資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額及びその合計額については、具体的な商
品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
1/2
図表5:主要国リートのイールドスプレッド
(%)
8.0
図表6:アジアリートのPBR(※)推移
2016年11月末時点
配当利回り
10年国債利回り
(倍)
2.00
データ期間:2011年9月末∼2016年11月末(月次)
イールドスプレッド
シンガポール
香港
マレーシア
1.75
6.0
1.50
4.3
4.0
3.6
1.25
3.1
2.3
2.2
2.0
1.00
0.8
0.75
マレーシア
米国
豪州
香港
日本
シンガポール
0.0
図表7: アジアリートの負債比率(負債額/総資産額)
(%)
50
2016年12月7日時点
40
(※)負債(借入等)比率が低いほど金利上昇の影響は
受けにくい
38.7
30
26.5
29.3
0.50
2011/9
2015/9 (年/月)
2013/9
(※)株価純資産倍率(株価/純資産):一般的に、1倍割れ
は株価が割安な水準にあるとされる
図表8:シンガポール不動産市況(主要用途の賃料)
300
データ期間:2005年3月末∼2016年9月末(四半期)
オフィス
小売り
住宅
250
200
20
150
10
100
0
50
(※)2005年第1四半期末=100として指数化
シンガポール
香港
マレーシア
2005/3 2007/3 2009/3 2011/3 2013/3 2015/3(年/月)
出所)図表5、7、8はブルームバーグ、図表6はS&Pのデータをもとにニッセイアセットマネジメント作成
今後の見通しについて

トランプ次期大統領が選挙期間中に掲げていた政策がどの程度実行されるかは定かではなく、米国
金利の急上昇は思惑が先行しているとみています。アジアリート市場は12月13∼14日のFOMC
(米連邦公開市場委員会)について、0.25%の利上げをほぼ織り込んでいるものと思われます。利
上げが決定されれば当面の不透明感が後退することや、米金利の上昇も一服する可能性があること
等から、アジアリート市場は反発に転じるものと考えます。

相対的な配当利回りの高さ【図表5】やアジアの経済成長力等が引き続き支援材料になるものと考え
ます。また、アジアリート市場の負債比率(負債額/総資産額)は上限規制があること等から比較的
低位に保たれており、その分金利上昇の影響を受けにくくなっていることも下支え要因となりそう
です【図表7】。

2013年から開始された不動産過熱抑制策が原因で、足元のシンガポールの不動産市況は低迷してい
ます。政府がそろそろ規制を緩めるとの見方もあり、その動向が注目されます【図表8】。
●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的と
するものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作
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商 号 等:ニッセイアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号
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加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会