Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 欧州 2016年11月22日 ドラギ総裁がEU議会証言でくれたヒント ドラギ総裁はEU議会証言で金融緩和政策の必要性を述べ、債券購入プログラムの延長を示唆、また、米国大統領 選挙で勝利したトランプ氏の意向である金融規制の再構築については言外に反対する姿勢を示しました。 EU議会証言:ECBのドラギ総裁、金融政策に よる支援継続はインフレ目標達成に必要 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は2016年11月21日に欧 州連合(EU)議会でECBの金融政策について証言しました。 証言の中でドラギ総裁はECBの緩和的な金融政策によって 失業率が着実に低下しているほか(図表1参照)、量的金融 緩和(QE)の効果により借入コストが低下したため投資およ び消費が改善したと述べています。ドラギ総裁はユーロ圏 GDP(域内総生産)が7年半かかって、金融危機前の水準 (失業率の改善を伴う)へとGDP成長率が改善したと述べて います(図表1参照)。一方、インフレ率は目標に達しておら ず金融政策による支援の継続の必要性を示唆しました。 どこに注目すべきか: EU議会証言、債券購入、ドッド・フランク法 ドラギ総裁の議会証言で金融緩和政策の必要性を述べたこ とから、ECBは債券購入プログラムの延長を支持しているも のと思われます。また、米国大統領選挙で勝利したトランプ 氏の意向である金融規制の再構築については微調整はあ りえるとしても言外に反対する姿勢を示しました。 まず、今回のドラギ総裁の議会証言で最も注目されたのは 量的金融緩和政策で、2017年3月を期限とする債券購入プ ログラムの延長を示唆したと見られることです。ユーロ圏で は10月月初からECBによる債券購入が段階的に縮小(テー パリング)されるとの思惑から国債利回りは上昇(価格は下 落)傾向でした。ドラギ総裁はユーロ圏景気の改善は認めつ つも、経済成長を支える貸出の拡大、依然目標を下回るイン フレ率の上昇に債券購入の必要性を訴えています。 また、次回のECBの政策理事会は12月8日が予定されてい ますが、12月4日にはイタリアの国民投票が予定されていま す。レンツィ首相が国民投票を改めて信任投票と位置づけ たため、結果によっては辞任する可能性もあります。その場 合、イタリア財政への不安が高まる懸念もあります。ドラギ 総裁は議会証言ではイタリアの国民投票には言及していま ピクテ投信投資顧問株式会社 せんが、国民投票という結果が読みにくいイベントが控えるだ けに、国債購入の延長を否定するよりは、可能性を示唆する ことで、政策の柔軟性を確保するほうが得策と思われます。 ドラギ総裁の議会証言で注目される2点目のポイントは欧州 の銀行の健全性が改善したことを指摘することで、金融規制 を擁護したことです。例えば、ドラギ総裁はユーロ圏の主要な 銀行グループについて、バーゼルⅢで新たに導入された自己 資本の健全性を示す指標であるCET1(普通株式等Tier1)が 2008年は約7%に過ぎなかったのに、現在は14%程度に改善し ていると指摘しています。金融規制の中にはバーゼルⅢのよ うに米国も含めた世界の主な国の間で合意された内容に基づ き各国で法制化を進めているものもあります。ドラギ総裁は微 調整はあっても、後戻りすることには議会証言の中で異論を 唱えています。恐らく、金融規制改革法(ドッド・フランク法)の 縮小・廃止を訴えるトランプ次期大統領を意識した発言のよう にも受け取れます。偶然(?)にも、米連邦準備理事会(FRB) のイエレン議長も17日に米議会でドッド・フランク法は金融危 機防止に重要で、時計の針を戻したくないと述べています。 もっとも、ドッド・フランク法がカバーする分野は幅広く、トラン プ政権が何を縮小・廃止の対象としているか不明で、今後の 展開を見守る必要がありますが、少なくとも、トランプ氏勝利 後に金融規制緩和に期待しての銀行セクターの上昇分につ いては、慎重に見る必要があるようにも思われます。 図表1:ユーロ圏の失業率とGDPの推移 (月次、時点:2006年1月~2016年9月、GDPは四半期) 13 % % 12 11 2 0 10 -2 9 失業率(左軸) 8 7 06年1月 4 GDP(右軸) 09年1月 12年1月 -4 -6 15年1月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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