細胞機能を制御できる多孔質足場材料の開発

細胞機能を制御できる多孔質足場材料の開発
Keyword : 多孔質足場材料、生体組織再生、がん治療
研究の背景
研究の狙い
生きた細胞を多孔質材料で三次元培養し、細胞の増殖や分化などの機能を制御することに
よって、移植するための生体組織を再生することが可能となる。また、がん細胞を多孔質材
料に封じ込め、死滅させることができれば、がんを効率よく治療することが可能となる。
細胞を多孔質材料内部に接着、移動させるため、多孔質構造の制御や細胞動員シグナルの
導入を行い、さらに、生体組織の再生を誘導する生理活性物質やがん細胞の死滅効果をも
つナノ粒子・薬剤と複合化することにより、高次機能多孔質足場材料を創出する。
最先端研究トピックス
氷を利用することによって、表面開孔性と連通性に富んだ空孔、さらにマイクロパターン構造を有する多孔質足場材料を開
発した。また、細胞成長因子やサイトカインなどと複合化した複合多孔質足場材料を開発した。これらの足場材料は皮膚や
軟骨、骨、筋肉などの組織再生に応用可能である。
氷鋳型で作製したマイクロ溝を有する多孔質
足場材料(左)及び再生した筋肉様組織(右)
合成高分子PLGA、コラーゲン、
BMP4の複合多孔質足場材料
F-actin
Nuclei
200 µm
高分子多孔質材料の空孔にナノ粒子(磁性酸化鉄ナノ粒子など)を導入し、磁場や光などの外部刺激でがん細胞を死滅
させる複合多孔質材料を開発した。
空孔表面の拡大像
ゼラチンと磁性ナノ粒子
との複化多孔質材料
文献
• Advanced Materials, 24, 4311-6 (2012).
• Biomaterials, 73, 23-31 (2015).
• Journal of Materials Chemistry B, 2016, DOI: 10.1039/C6TB01543C
まとめ
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実用化の目標
優れた生体親和性、生体吸収性
氷で制御した多孔質構造
生体組織再生の促進効果
がん細胞の死滅効果
取得特許16件
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再生医療用多孔質足場材料
皮膚、軟骨、骨、筋肉の組織再生材料
手術支持材
創傷被覆材
がん治療用材料
ナノライフ分野 生体組織再生材料グループ
陳 国平
E-mail: Guoping.CHEN●nims.go.jp
URL: http://www.nims.go.jp/research/group/tissue-regeneration/
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