高クロム耐熱鋼の信頼性向上 Keyword : 9Cr鋼、ヒート間差、高品質化、余寿命診断 研究の背景 高効率火力発電プラントで多量に使用されている高クロム耐熱鋼において、①長時間クリー プ強度のヒート間差の解明、②溶接部の長時間クリープ強度特性評価、③余寿命診断技術 が求められています。本研究では、NIMSクリープデータシート事業で得られる10万時間ク リープデータ、長時間クリープ劣化材の解析に基づき、①~③の課題に取り組んでいます。 研究の狙い 改良9Cr-1Mo鋼(ASME Gr.91鋼)は、同一規格材であっても、長時間クリープ強度のヒート 間差が認められるため、この原因を解明することにより、規格の高度化を図ることができます。 また、同鋼溶接部の長時間クリープデータは必ずしも十分に蓄積されておらず、10万時間ク リープ強度特性の取得とともに、余寿命診断のための技術基盤構築を目指します。 最先端研究トピックス (母材) ・微細組織のヒート間差解明 ・微細組織変化のヒート間差解明 ・材料仕様の高度化 ・材料規格への反映 ※企業若手研究員と構造材料研 究拠点にて実施中 (H27~)。 (溶接部) ASME Gr.91 配管溶接部 大型クリープ試験機群 ※配管溶接部試験片の長時間クリープ中断試験を実施予定。 ※企業が有する非破壊評価、組織解析技術を中断試験片に適用し、 オールジャパンで余寿命診断技術基盤の構築を目指す。 文献 • • • K. Sawada, H. Kushima. T. Hara, M. Tabuchi, K. Kimura : Mater. Sci. Eng. A597 (2014) 164-170. K. Sawada, T. Hara, M. Tabuchi, K. Kimura, K. Kubushiro : Mater. Chara. 101 (2015) 106-113. 澤田浩太、大場敏夫、木村一弘:材料試験技術, 60 (2015) 1-6. 応用分野と今後の展開 実用化へ向けた課題 ユーザー視点での材料仕様ガイドラインの提示 材料規格への反映 溶接継手強度低減係数の高度化 溶接部余寿命診断指針の提示 産業界と共同でクリープ強度ヒート間差原因を解明 ヒート間差原因に基づき産業界と共同で高品質規格提案 溶接部大型試験片の非破壊評価等の情報の共有化 溶接部の余寿命診断技術基盤の構築 材料信頼性分野 材料強度基準グループ 澤田 浩太 E-mail: SAWADA.Kota●nims.go.jp URL: http://www.nims.go.jp/research/group/materials-strength-standard/ —239 —
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