現代社会 ラジオ 学習メモ 第 27 回 現代経済と国民福祉 [豊かな生活の実現] 現代の雇用・労働問題 学習のねらい 日本特有といわれた雇用のしくみが、変化しつつあります。その なかで日本人の働き方がどのように変わりつつあるのかを理解しま す。同時に、誰もが生き生きと働ける社会を実現するために、どの ような取り組みが必要かを考えます。 講師 玄田有史 雇用形態の多様化とその影響 日本特徴的な雇用制度として、日本的経営方式(または日本的労使慣行)があります。終身雇 用とよばれる長期雇用の傾向、年齢や働く年数に応じて給料の増える年功 ( 序列 ) 賃金、企業別 労働組合を通じて交渉するしくみなどです。これらは高度成長期に働く人を確保したり、企業内 ▼ で能力を磨いたり、労働者と企業が話し合いをするためにつくられました。 ところが 1990 年代から働き方は変化しています。リストラ(事業の再構築)で大量の中高 年社員の人員整理が行われた一方で、正社員になれず、フリーターやニートになる若者も増えま した。仕事の成果や発揮された実力に応じて給料を決める成果主義・実力主義も広がっています。 今、 みんなが安心して働くための「セーフティネット」 (安全網)や仕事を分かち合う「ワークシェ アリング」が求められています。 きびしさを増す働く環境 日本は、およそ 200 万人もの失業者がいる一方で、働き手のいない人手不足も多いという「雇 用のミスマッチ」も深刻です。人手不足に対しては、外国人労働者の受け入れが議論されるほか、 高齢者や女性がもっと働けるようになる環境づくりにも注目が集まっています。 そのためには、誰もが仕事と生活の両立をできるようにする「ワークライフバランス」の取り 組みが大切になります。 労働をとおした社会参加 働くことには、給料をもらって生活ができるようになること以外に、「社会参加」を実現する という大切な目的があります。働くことによる社会参加の機会は、誰にでも開かれている必要が あります。そこで女性、高齢者、障害者への雇用の道を開くため、「男女雇用機会均等法」、「育 児介護休業法」、「障害者雇用促進法」などの法律がつくられてきました。これからも、一人ひと りが尊重され、自分らしく働けるよう、企業、地域、家庭などで話し合ったり、お互いに努力す ることが重要です。 − 30 − 高校講座・学習メモ
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