学習メモ

現代社会
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学習メモ
第 26 回
現代経済と国民福祉 [豊かな生活の実現]
自立した消費者への道
学習のねらい
私たちは、日々消費者として市場での商品やサービスの取引活
動に参加しています。消費にかかわるトラブルが増えるなか、消費
者の権利を守るための法律やルールについて学びます。そのうえで、
消費に関するトラブルにあってしまったときには、どのような行動が
大切になるのかを考えます。
講師
玄田有史
消費者主権
市場経済の主役は、消費者です。このことは、消費者の最終的な選択が市場で取引される財や
サービスを決めるため、市場経済における消費者主権とよばれています。
一方で、市場では消費者はトラブルにあっているのが実情です。商品についての虚偽の広告お
▼
よび誇大広告、製品の製造過程における欠陥による事故や健康被害など、企業と消費者の間の情
報の非対称性により、消費者は被害を受けたりします。さらには企業の広告や宣伝に振り回され
る依存効果や、流行や周りの行動に流され消費してしまうデモンストレーション効果など、情報
に振り回される消費者自身の問題もあります。
消費者行政と法制
問題の発生に対し、消費者は団体をつくって消費者運動を展開しました。その成果として米国
で確立した「消費者の4つの権利」(安全の権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見を聞いても
らう権利)は、世界各国の消費者行政に影響を与えました。
日本でも「消費者保護基本法」、「製造物責任法」、「消費者契約法」といった法律で消費者は保
護されています。法律によって一定期間内であれば無条件に撤回や解約ができるクーリングオフ
制度や、製造物の欠陥被害には製造者が損害賠償の責任を負うしくみがつくられました。2004
年には消費者の権利尊重と自立支援などを内容とする「消費者基本法」もできました。
現代の消費者問題
最近は、インターネットでの取引について、不当に高額な料金を請求されるといったトラブル
も増えています。トラブルに対しては、国民生活センターや消費生活センターが設置されていま
す。困ったときには、消費者ホットラインに相談することでも、解決のための情報が得られます。
食品の安全確保には、流通経路がすべてわかる「トレーサビリティ制度」の導入による情報開示
も大切です。
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