学習メモ

現代社会
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学習メモ
第 28 回
現代経済と国民福祉 [豊かな生活の実現]
社会保障の役割
学習のねらい
社会のなかでの生活や生きる権利を保障するしくみである社会保
障について学びます。社会保障は、困ったときに支え合うためのし
くみです。社会保障制度は、現在さまざまな問題を抱えていますが、
助け合いによって課題を解決していくことの大切さを理解します。
講師
玄田有史
日本の社会保障制度
社会保障は、国民の生存権の確保を目的とする国による保証のしくみです。それは病気や高齢、
不況で働く能力や機会を失ったときにも、安心して暮らせるための制度です。憲法 25 条には「国
は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなけれ
▼
ばならない」とあります。
社会保障は、「社会保険」(医療保険、年金保険、雇用保険、介護保険など)、「公的扶助」(生
活保護など生活に困っている人への援助)、「社会福祉」(社会的弱者への施設やサービスの提供)、
「公衆衛生」
(国民の健康増進)の 4 つから成り立っています。
社会保障制度の課題
少子高齢社会によって、社会保障制度は困難に直面しています。高齢者が多くなり、社会保障
給付が増える一方、少子化などで国民一人ひとりの負担が大きくなっています。負担をどのよう
に分かち合うかを、よく議論し、納得のできる制度をつくっていくことが必要です。
年金制度には、自分が将来受け取る年金を若いうちに自分で積み立てる積立方式と、高齢者に
支払う年金を現役世代が支える賦課方式があります。賦課方式に近い日本では高齢化が進むと、
現役世代の負担がますます大きくなります。
医療費の増大に対処するため、医療の分野では 75 歳以上の高齢者に負担を一部求めることに
なりました。社会保障では、自己負担や自己責任だけでなく、きびしい状況にある人への思いや
りや目配りも必要です。
福祉社会の実現
誰もが健康的で文化的な生活ができるのが、福祉社会です。福祉社会では、社会保障制度をつ
くるだけでなく、いかに運用するかが大切です。そして福祉社会で何よりも大切なのは「人」で
す。人と人のあいだの思いやりと助け合いがなければ、福祉社会は実現できません。
これからの福祉社会では、年齢や障害にかかわらず、誰もが社会のなかで同じように生活でき
るノーマライゼーションやバリアフリーの取り組みをすすめることが、ますます大切になります。
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