学習メモ

現代社会
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学習メモ
第 20 回
現代経済と国民福祉 [経済のしくみ]
経済社会の変容
学習のねらい
今回はまず「経済」とは何かを理解します。商品、サービス、お
カネなどを、生産、取り引き、消費する活動のことを「経済」と言
います。経済社会はつねに変化を続けています。経済という観点
から、みんなが幸せになれる社会や経済のしくみについて考えます。
講師
玄田有史
産業革命と資本主義の成立
18 世紀後半から 19 世紀はじめに、イギリスで産業革命が起こりました。工場制機械工業と
いう、労働者を工場に集めて機械と動力を使って生産を行う経営が行われ、生産の規模は飛躍的
に拡大しました。そこからは、生産活動に必要な生産手段を所有する資本家と労働力を提供する
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労働者から成り立つ資本主義経済というしくみが生まれました。
産業革命から始まった大工場での生産活動など、経済は新しい技術が生まれることで発展しま
す。生産技術が大幅に新しくなることを技術革新(イノベーション)といいます。オーストリア
の経済学者シュンペーターは、企業が古いものを壊し、新しいものを創造する「創造的破壊」が
技術革新をもたらすと考えました。
資本主義の変容
『国富論』を書いたアダム・スミスは、自由な競争と「みえざる手」による市場での調整が経
済の発展をもたらすと説きました。スミスは経済の「自由放任主義」を主張し、国家は経済介入
を最小限に抑える「小さな政府」、治安維持や防衛に特化した「夜警国家」が望ましいと考えま
した。しかし実際の経済では、企業間の競争激化と労働者の貧困化が資本主義経済の問題となり
ました。そこで生産を資本家の所有ではなく国家の統制のもとにおき、労働者主体の社会をつく
ろうとする社会主義がマルクスによって体系化されました。ロシア革命でソビエト社会主義共和
国連邦(ソ連)が誕生するなど、社会主義は社会を動かしました。
一方、ケインズは、お金を払って購入しようとする「有効需要」の不足によって失業が生まれ
るため、政府が支出をすることで経済は安定すると主張しました。ケインズの考え方は「修正資
本主義」と呼ばれ、大恐慌のときに米国の「ニューディール政策」に用いられるなど、世界に広
がっていきました。
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高校講座・学習メモ
現代社会
20 経済社会の変容
資本主義の現在
第二次世界大戦後、資本主義の先進国の多くは、国民の生活の安定と安心を国家が保障する福
祉国家の実現を目指しました。しかし、経済の混乱や停滞を経験すると、自由な市場での競争と
「小さな政府」を主張する新自由主義が、次第に力を持つようになりました。現在も、小さな政
府がよいという考えと、そうでない人に意見が分かれ、議論が続いています。貧困や失業問題の
解決策を、これからも考え続けることが重要になっています。
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