金融市場マンスリー - みずほ総合研究所

金融市場マンスリー
2016 年 10 月 19 日号
◆ 米国債利回りは横ばい圏での推移を見込む
12月FOMCでの米利上げ観測が高まっているが、市場
はほぼ織り込み済。米10年国債利回りは横ばい圏で
の推移を予想
◆ 米国株は利上げを挟み軟調な展開を予想
米国株は、米利上げを挟み軟調な推移を予想。ただ
し、緩やかなペースでの利上げが想定される中、大
幅な調整は回避される見込み
◆ ドルの上値が重い状況が続く見込み
ドル円相場は年内の米利上げを相応に織り込んでお
り、利上げの影響は限定的。米大統領候補の保護主
義的スタンスから、ドルの上値は重くなると予想
目
次
1.今月の視点 ----------------------------------------------- 1
2.金融市場の全体観 ----------------------------------------- 2
3.米国経済・金融市場動向 ----------------------------------- 3
(1)経済動向 ------------------------------------------- 3
(2)金融市場動向 --------------------------------------- 4
4.欧州経済・金融市場動向 ----------------------------------- 6
5.新興国市場動向 ------------------------------------------- 7
6.国内経済・金融市場動向 ----------------------------------- 8
(1)経済動向 ------------------------------------------- 8
(2)金融市場動向 -------------------------------------- 10
7.為替市場動向 -------------------------------------------- 13
8.原油市場動向 -------------------------------------------- 14
9.予測表 -------------------------------------------------- 15
(資料1)日本経済、米国経済予測総括表 ---------------------- 16
(資料2)月間スケジュール ---------------------------------- 17
(資料3)四半期スケジュール -------------------------------- 19
(資料4)内外主要経済指標 ---------------------------------- 20
(資料5)内外主要金融指標 ---------------------------------- 21
1.今月の視点
~長期金利ターゲットは本当にできるのか~
日本銀行は 9 月 21 日の総括的な検証に伴い長期金利のターゲットに転換した。それは「日本版ペギング」とも
言える。そもそも「ペギング」とは米国の 1940 年代から 1951 年の FRB と財務省のアコードまでの時期、中央銀行と
FRB の間の暗黙裡のコミットメントで長期金利の天井が 2.5%であるとのコンセンサスで長期金利を安定させた局
面を指す。次の図表は、今回のイールドカーブのコントロールのイメージである。イールドカーブのなかで、起点と
なる政策金利のマイナスと、10 年の長期金利を「ゼロ%程度」とする 2 点をベースにしたコントロールである。10 年
ゾーンについては、「マイナス 0.1~0%」程度を想定していると考えられ、その水準から離れそうな状況になれば、
国債の購入額を増減させて対応したり、場合によっては「指し値オペ」によって具体的な水準を示すと考えられる。
こうした状況を筆者はよく「犬の躾(しつけ)」に例えて議論してきた。犬を躾ける際に、越えてはいけない柵をまず
設けるが、そのラインを越えると鞭で打つような躾を繰り返すと、柵を取り外しても犬はそれより先に行かなくなる。
一度、日銀の意思が明示された以上、市場の動きは低下し、まるで「犬が馴らされる」ように安定化に向かうので
はないか。短期的には、長期金利が固定相場化し、長期金利の価格発見機能、さながら「生体反応」が低下する
不安が生じやすい。問題があるとすれば、インフレが上昇し、出口に向かう場合である。こうした事例は、米国が
「ペギング」を行った 1940 年代後半にも顕現化した。長期金利に上昇圧力がかかるなかで、それを固定化すれば、
益々、インフレ圧力がかかりやすくなる。今回、日銀はオーバーシュート型コミットメントで時間軸政策を強化したが、
マイナス金利のコミットとはしなかったのは、出口の不安も視野に含んだからだ。日銀も出口戦略も含めた完全な
シナリオを描く段階ではないだろう。ただし、日銀の本音としては、そうした問題に悩むような局面に早くなって欲し
いというものだ。すなわち、そうした状況は、インフレ率の改善等、環境が良い方向に向かっていることを意味する
からだ。今日の問題は、環境も変わらず「永遠のゼロ」が続く怖さであろう。
【 図表1:日銀のイールドカーブ・コントロールのイメージ 】
(%)
0.8
量的緩和(国債購入)
オーバーシュート型
コミットメント(時間軸)
0.6
0.4
政策金利
「▲0.1%」
0.2
長期金利操作目標
「ゼロ%程度」
0.0
-0.2
-0.4
ターゲット(指値オペも)
マイナス金利
-0.6
0
5
10
15
20
25
30 (残存年数)
(資料) みずほ総合研究所作成
(チーフエコノミスト 高田 創)
1
金融市場マンスリー(2016 年 10 月 19 日号)
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