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グローバル
2016年10月5日
IMF世界経済見通し、据え置きの中にあるメッセージ
今回のIMFの世界経済見通しは世界経済全体は据え置かれましたが、内容を見ると改善が期待されていた国が伸
びず、反対に悲観的な見通しであった国・地域が上方修正される傾向が見られました。
IMF世界経済見通し:世界の景気回復は低調、
政治の不確実性が主要なリスク
国際通貨基金(IMF)は2016年10月4日世界経済見通しを発
表しました。2016と17年の世界全体の成長率を前回(7月)時
点の見通しと同じ16年は3.1%、17年は3.4%成長に据え置きま
した(図表1参照)。ただし先進国の16年の成長率の見通しは
1.6%と7月時点予想(1.8%)から0.2%下方修正しました。一方、
新興国の16年の成長率の見通しは4.2%と7月時点の予想で
ある4.1%から0.1%上方修正しました(図表1参照)。
示しています。政治の不確実性が成長のマイナス要因となる
可能性があると見ています。
新興国は原油価格などの回復、通貨の安定を背景にIMFは
特にブラジルやロシアなどの回復を見込んでおり、景気後退
からの脱却が見込まれます(図表2参照)。
IMFは世界経済見通しを据え置きました。全体を通じて、金融
政策頼りで他の政策が不十分と見られる中、世界経済の回
復は依然として弱く不安定であるとの懸念が見られます。
図表1: IMFの主な国・地域の2016年経済成長見通し
(時点:2016年7月(左)、2016年10月(右)の2時点比較)
どこに注目すべきか:
世界経済見通し、米大統領選挙、英EU離脱
8
今回のIMFの世界経済見通しは世界経済全体は据え置か
れましたが、内容を見ると改善が期待されていた国が伸び
ず、反対に悲観的な見通しであった国・地域が上方修正さ
れる傾向が見られました。
まず、下方修正で期待を下回った国で目立つのは米国です。
IMFは米国の消費は2016年を通じてプラス要因と見ていま
すが、一方で主に設備投資をマイナス要因と見ています。設
備投資が軟調な背景は年前半の原油価格の低下やドル高
と金融市場の変動とIMFは述べています。最後の金融市場
の変動とは、年前半は英国の欧州連合(EU)離脱、年後半
は米国大統領選挙を示唆していると見られます。ただ米国
の成長率は軟調だったのは2016年前半の影響が大きく、年
後半は堅調な消費に加え、原油価格の回復や大統領選挙
後の設備投資の回復により2%弱の推移を見ています。
次に、欧州や日本について、2016年の成長率は上方修正さ
れました。欧州は英国のEU離脱の影響が今の所、過去の
想定程には悪化しなかったことが上方修正の主な要因と見
られます。また、日本を上方修正した背景をIMFは補正予算
や日銀による追加金融緩和が短期的に個人消費を下支え
するためと述べています。
ただし、IMFは英国のEU離脱選択や米大統領選に向けた論
戦の背景に保護主義への支持の高まりがあることに懸念を
4
%
3.1
3.1
2
英国成長率低下
は17年を予想
1.8 2.2 1.6 1.7 1.8
1.6 1.7
1.6
6.6 6.6
4.1 4.2
0.3 0.5
0
-2
-1.2 -0.8
-3.3
-3.3
ロシア
ブラジル
中国
新興国
日本
英国
ユーロ圏
米国
2016年7月予想(左)
2016年10月予想(右)
先進国
-4
世界
図表2:IMFの主な国・地域の2017年経済成長見通し
8
6
4
%
3.4
3.4
2
英国のEU離脱:英国経済
6.2
への影響は懸念されるが、
ユーロ圏経済へは限定的 4.6 4.6
1.8 2.5 2.2
1.8
1.4 1.5 1.3
1.1
0
-2
0.1
6.2
景気後退から
の脱却期待
0.5
1.0 1.1
0.5
0.6
ロシア
ブラジル
中国
新興国
日本
英国
ユーロ圏
米国
2016年7月予想(左)
2016年10月予想(右)
先進国
-4
世界
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6
出所:国際通貨基金(IMF)のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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