Viewpoint - みずほ投信投資顧問株式会社

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チーフ・エコノミスト シェーン・オリバー
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2016 年 9 月 6 日
豪州準備銀行が政策金利を 1.50%に据え置き
豪州準備銀行(RBA)は 9 月 6 日(火)に開かれた定例理事会において、市場予想通り政策金利を引き続き 1.50%に据え置
くことを決定しました。
先月利下げを行ったことと、現在経済が妥当な水準にありインフレ率についても特段新しい情報がなかったことを踏まえれば、
今回の理事会において政策金利を据え置いたことは何ら驚くことではなく、市場及び弊社の予想通りの結果となりました。
RBA の声明文において政策金利据え置きに対する考え方にほとんど変化はありませんでしたが、おそらく次回の理事会より
新たに RBA 総裁となるフィリップ・ロウ氏がその内容を大幅に変えるかもしれません。
RBA は、引き続き世界経済成長を注視しています。金融市場は効果的に機能しており、豪州経済は引き続き成長しているも
のの、労働統計はまちまちの様相を呈しており、インフレ率は極めて低い水準のままで、豪ドル高が経済の構造調整の妨げ
になっていると見ています。一方で、住宅市場についてはやや楽観的な見方をしているように思われます。
今回の RBA の声明では明確な緩和バイアスについて述べていませんが、6 月の声明では(5 月は利下げを行ったことから)
緩和バイアスに対して中立的な内容となり、7 月の声明においては(「さらなる情報」を待つと述べ)下旬のインフレデータの発
表を控えて緩和バイアスが再び示されました。この流れが続くとすれば、7-9 月期のインフレデータの発表を 10 月下旬に控
えた 10 月の RBA の声明において、緩和バイアスに対する何らかの言及があるかどうかが注目材料となるでしょう。
今回の RBA の声明において予想外だったのは、住宅市場に対して比較的楽観的なコメントをしていることです。シドニーとメ
ルボルンでオークション・クリアランス率が反発していることや、住宅ローンが再び好調さを取り戻していることから、今年中の
もう一段の利下げによって既に過熱しているこれらの都市の不動産市場に再び拍車がかかることが想定され、その場合に
RBA からの強い要請を受けて豪州健全性規制庁(APRA)が再び市場を鎮静化させるための規制に乗り出すことが考えられ
るからです。現段階においては、RBA は将来の集合住宅の供給量増加が住宅市場を沈静化させると見ているようです。
弊社では、10 月後半に発表される 7-9 月期のインフレデータを受けた経済予測の見直しが行われた後に開催される 11 月
の RBA の理事会において、もう一段の利下げが行われるとの見通しを維持しています。世界的なデフレ圧力の継続や、また
豪州国内の賃金成長率が歴史的な低水準に留まっていること、米国の政策金利引き上げが先延ばしになっていることから足
元の豪ドル相場が高すぎる水準にあり、インフレリスクは低下基調にあります。 しかしながら、公的支出、企業収益、卸売在
庫などの経済活動データは概ね良好で、4-6 月期の GDP 成長率が前年比で 3.5%に加速することを示唆していることから、
利下げを巡っては僅差の判断となることが予想され、7-9 月期のインフレ率が予想を下回るかどうかが極めて重要な判断材
料となるでしょう。いずれにしても豪州では、キャッシュレート(政策金利)が 1%もしくはそれ以下に引き下げられたり、量的緩
和政策が採用されたりする可能性は極めて低いと思われます。
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