艦これ 伊勢さんとケッコンカッコカリしたかっただけ 八神っち ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ 伊勢さんとケッコンカッコカリしたいそれだけの小説。 目 次 艦これ 伊勢さんとケッコンカッコカリしたかっただけ │││ 1 艦 こ れ 伊 勢 さ ん と ケ ッ コ ン カ ッ コ カ リ し た か っ た だけ 某鎮守府の提督執務室で1人の提督がそわそわと落ち着かない様 子で机に座っていた。 ﹁ああ⋮⋮決心したとは言え⋮⋮どうしよう⋮⋮どう切り出せばいい のか﹂ 机の引き出し中にあるモノを開いては眺めそして閉じる。そんな 事をしながら呼び出した艦娘を待つ。時間は既に遅い時間であり哨 戒に出ている艦娘と1人を除けば寝静まっている状態である。 先程から騒いでいた声が静まり数分経った後、待ちわびていた艦娘 がやって来た。 赤色のリボンで纏めた短い茶髪のポニーテールと黒色のタートル ネック、その上から着ている赤で縁取りされたらくだ色の服が特徴的 な艦娘である。今は鎮守府内であるため戦闘時に付けている重たい 艤装と刀は外している状態だが。 ﹁はい提督﹂ ﹁ありがとう﹂ 1 ﹁お待たせ提督。川内に注意をしてたら遅くなっちゃった﹂ 長くなるならお茶でも淹れ ﹁いや構わないよ、それよりすまないなこんな夜に﹂ ﹂ ﹁話があるって言ってたけどなんなのさ るよ ? 慣れた手つきでお茶を淹れるのは伊勢型航空戦艦一番艦﹃伊勢﹄。 ﹁ああ頼むよ﹂ ? と伊勢が尋ねる。 ズズズと差し出されたお茶を飲みながら乾いていた唇と喉を潤す。 その様子を眺めながらそれで よ﹂ ﹁あはは、それだけが取り柄だからね﹂ ⋮⋮っとすまない﹂ 何か緊張した様子だけど﹂ ﹁それだけなんて言わないでくれ ﹁どうしたのさ提督 ! 悩みならこの伊勢さんにどーんと任せなさいな ﹁うっ⋮⋮気にしないでくれ。それよりもだ﹂ ﹁何々 ﹂ ﹁それでもだよ。皆を庇いながらも無傷の帰還⋮⋮本当に助かってる ﹁どういたしまして。MVPでは無かったんだけどね﹂ だね﹂ ﹁ああ⋮⋮伊勢。今日も出撃お疲れさま。相変わらずの活躍だった様 ? なぁ﹂ ﹁初 め て 会 っ た 時、戦 艦 だ っ て 密 か に 喜 ん で た も ん ね。懐 か し い ﹁未熟だった我が艦隊の初めての戦艦として良く頑張ってくれた﹂ ﹁あ、その事ね。金剛達より遅れたけど今日確かに達したよ﹂ ﹁今回の出撃で君の練度が最大まで達したって聞いた﹂ 見ながらさらに緊張しる提督は言葉を絞り出す。 朗らかに笑いながら冗談っぽく言う伊勢。その姿を笑顔を仕草を ! ? の連絡、哨戒がてら駆逐艦や軽巡艦の様子を見ていたり、拾ってきた 伊勢の明るい性格と航空戦艦という立場を利用して空母と戦艦間 ﹁賑やかになっていく度に伊勢には手を焼かせるがな﹂ ﹁でも賑やかになっていくのを見るのは楽しいよ﹂ ﹁その分苦労も多くなったがな﹂ いったもんね﹂ ﹁それから比叡が来て長門が来て日向も来て⋮⋮規模も大きくなって ﹁知られていたか⋮⋮あの時は本当に嬉しかったからな﹂ ! 2 ? 潜水艦の一時的な世話など様々な役割を与えられている。鳳翔や間 ﹂ ﹂ 宮とは違う艦隊のお姉さんと言うのがこの鎮守府内での評価である。 ﹂ ﹁練度で思い出したけど提督﹂ ﹁なんだ いつから気付いていた ﹁その机に入っている指輪⋮⋮誰に渡すか決めた ﹁うぐっ ﹂ ﹁金剛が最大に達した時だね。伊達に秘書艦やってないよ﹂ ﹁金剛達は知っているのか アタックが多いだろう ﹂ ﹁どうだろうね薄々は察してると思うよ。最近練度が高い子達からの ? ろう ﹂ ﹁目のやり場に困ったら私を見てるもんね。でも男性としては眼福だ ﹁その点、伊勢は安心出来るよ。露出が少ないからな﹂ ﹁止めてるんだけどね﹂ 心臓に悪い﹂ ﹁ああ中破状態で部屋に突撃してきたりが多かったのはそれか。正直 ? ﹁あはは贅沢者め﹂ それとも榛名 最近 茶化しながらも提督の緊張をほぐそうとする伊勢の心遣いに感謝 しながらも咳払いの後本題に入る。 話してみなさいな。やっぱり金剛 ? 誰々 ﹂ ? ﹁その⋮⋮実はな渡す相手は既に決めてあるんだ﹂ ﹁お アタックの多い大和 ﹁⋮⋮だよ﹂ ﹁⋮⋮みだよ﹂ ? ﹁君だよ。伊勢⋮⋮君に渡したい﹂ ﹁川内や摩耶もかな ﹂ ﹁あー空母達もあり得るかな﹂ ? ? 3 ? ? ? ! ﹁時と場合を考えてくれればな﹂ ? ? ﹁⋮⋮え ﹂ にしながらも声を大きくして告げる。 ﹂ ﹁伊勢⋮⋮君が好きだ。君とずっと一緒に居たい﹂ ﹁⋮⋮本気 他に魅力的な子たちは居るでしょ ﹁今更冗談でこんな事言える訳ないだろう﹂ ﹁なんで⋮⋮私 ? ﹁提督は⋮⋮本当に私なんかで良いの ﹂ ﹁冗談を言い合える友人﹂そんな立場だと伊勢は思っていた。 も無く、押せ押せでも無く、強い物言いでも無く、甘える訳でもない 囲まれる提督に少しでもストレスを与えない様にツンケンする訳で 頷くのを見ながら提督の言葉を噛みしめる。いつも女性ばかりに ﹁そっか⋮⋮一目惚れか﹂ の顔だったよ﹂ して大本営からこの指輪を渡されてね、その時初めに浮かんだのは君 さ、笑顔、気遣い⋮⋮徐々に君の存在が大きくなっていったんだ。そ ﹁初 め は 一 目 惚 れ だ っ た。そ れ で 一 緒 に 過 ご し て い る 内 に 君 の 明 る 提督はすぐに口を開く。 叢雲等多種多様な艦娘がいる、その中で自分が選ばれた理由を聞く。 好良い長門や武蔵や摩耶、人懐っこい夕立や伊58や雪風。初期艦の 明るい性格の金剛や川内や龍驤、お淑やかな榛名や大和や翔鶴、格 ﹂ 取り出して伊勢に向けて指輪を見える様に開く。提督は顔を真っ赤 呆けた声を上げながら固まる伊勢であるが、お構いなく机から箱を ? 自身が本命だとは思っていないのだ。だから尋ねる⋮⋮他の女性で それ故に戸惑う。別の女性がアタックを仕掛けている中でまさか ? 4 ? ? はなくていいのかと。 ﹁ああ、迷いは無いよ。君が⋮⋮伊勢が良いんだ﹂ ﹁⋮⋮そっか﹂ ﹁それで⋮⋮受け取ってくれるかい﹂ 少し躊躇いを見せる。困った笑顔の裏に映るのは金剛や日向の顔 である。伊勢自身も提督に好意はあるが、他を優先して来たからこそ の躊躇い。ふと提督の手を見ると震えていた、さらに顔を見ると不安 でいっぱいと言った顔である。ああ、提督⋮⋮貴方にその顔は似合わ ないよと嘆息して伊勢は自身の左手を差し出し告げる。 ﹁喜んで﹂ ああ ﹂と今までで一 を持ち付けようとするが緊張のためか上手く嵌められない。それを 見て伊勢は空いた右手で提督の手をそっと包む。 ﹁大丈夫⋮⋮私はどこにも行かないからさ﹂ 声を聞き提督は手の震えを止めてしっかりと左手の薬指に指輪を つける。しっかりつけたのを確認した後提督が手を離して伊勢は自 身の手をじっと見る。ふふっと声を漏らす。 ﹁これからもよろしくね提督﹂ 両手を胸の前に持って来て照れ気味にそう告げる伊勢がそこに居 た。 5 ごめんね皆と内心呟きながらも、今はこの幸福を受け入れようとは にかむ。その返事と笑顔で提督は﹁ああ⋮⋮ ! 番の笑顔で伊勢の手を取る。左手同士の手の平を重ねて右手で指輪 !
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