短期予報解説資料1 2016年 7月17日03時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①梅雨前線は華中から西日本を 通って伊豆諸島の南にのびてい る。前線上の波動に近い福岡・鹿 児島の高層観測では、16 日 21 時 の 850hPa θe350K ・可降水量 70mm 程度を観測。熊本の WPR では、高度 1000m 付近で西南西 の風 30Kt 程度となっており、暖 湿気が九州の山地を滑昇し、 対流 雲が発達している。 九州では山沿 いを中心に、発雷を検知し、激し い雨を解析。前線ののびる、紀伊 半島の南でも、発雷を多数検知。 ②衛星水蒸気画像では、 日本付近 では上層雲が高気圧性の循環となり、上層はリッジ場が継続。 ③華北には、500hPa の 5760~5820m 付近のトラフがあって東進中、前面には-6℃の寒気を伴う短波ト ラフがあって、衛星水蒸気画像では対応する暗域が見られる。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①梅雨前線上の波動は、17 日は西日本から東日本の沿岸を東進。波動付近には、1 項①の下層暖湿気 (850θe345K)が流れ込み、大気の状態が不安定となる見込み。西日本から東日本の上層は、17 日は 1 項②のリッジ場となるため、対流雲の発達は抑制されるが、暖湿気の流れ込みによる山地の強制上昇 や、陸風との沿岸の収束場、気温上昇による山沿いの収束場では、対流雲が発達する見込み。落雷や 突風、短時間強雨に注意。18 日は、波動が東日本を抜け前線はやや南下するが、九州付近では引き続 き停滞。1 項③の短波トラフが、18 日午後西日本に接近するため、九州を中心に対流雲の発達に留意。 ②1 項③の短波トラフの前面となる日本海には、17 日朝までに低気圧が発生し、18 日は東北地方を東 進する見込み。低気圧の東側には、850hPaθe336K 以上の下層暖湿気が流れ込み、17 日は日本海側を 中心に、18 日は太平洋側でも影響を受ける見込み。北日本は、1 項②の上層リッジ場が 18 日にかけて 残るため、対流雲の発達は抑制されるが、局地的な対流雲の発達に留意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とし、降水や風は MSM を参考にする。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):九州南部 100mm。2 項の短時間強雨に注意。 ②波浪(明日まで) :高い所(3m 以上)はない。 ③高潮(明日まで) :西日本の日本海側や北陸、北日本の太平洋側では、注意報基準に近づく所がある。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
© Copyright 2024 ExpyDoc