短期予報解説資料1 2016年 7月20日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①寒冷渦が西日本を通過中、 中心 に近い福岡の 20 日 9 時の高層観 測では、300hPa 付近に-33℃の寒 気を観測。 ②九州の南西海上の熱帯低気圧 は、 下層の低気圧性循環が維持さ れ、九州に 850hPaθe345K 以上 の暖湿気を流入させている。 九州 では、 日中の昇温も加わり大気の 状態が不安定となり、 発雷を多数 検知、非常に激しい雨を解析。 ③千島近海には、500hPa5700m 付 近に-12℃の寒気を伴う寒冷渦が あって、 衛星水蒸気画像では低気 圧性の循環が見られる。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①の寒冷渦や 1 項②の熱帯低気圧東側の下層暖湿気(850hPaθe345K 以上)の影響により、20 日は、西日本で九州を中心に大気の状態が不安定となる。落雷や突風、短時間強雨に注意。21 日は、 寒冷渦は九州の南海上に抜けるが、熱帯低気圧は、海上を南東に進むため 21 日朝にかけて低気圧性の 循環が残り、西日本では九州を中心に下層暖湿気が南東から流れ込む見込み。雷を伴った激しい雨や、 局地的な非常に激しい雨による大雨に注意・警戒。 ②西日本から南西諸島は、21 日にかけて 500hPa5880m 高度が強まりリッジ場、高気圧に覆われ晴れて 気温の上昇する所が多い見込み。西日本の山沿い中心に、落雷や突風、短時間強雨に注意。 ③北日本から東日本は、千島近海に中心を持つの高気圧に緩やかに覆われ、21 日にかけて東寄りの湿 った空気の影響を受ける。北日本から東日本の上空には、1 項③の寒冷渦周辺の 500hPa で、北日本-9℃ 以下、東日本-6℃以下の寒気が流れ込む。下層も冷たい気流であるため、広範囲の対流雲の発達はな い見込みだが、冷たい湿った気流の先端となる東日本太平洋側で、夜間の陸風との収束場や、山地の 東斜面中心に、対流雲が発達し、局地的な激しい雨による大雨のおそれがある。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とする。降水や風の予想は MSM も参考にする。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):九州南部 150、九州北部 100mm。2 項の短時間強雨に注意。 ②波浪(明日まで) :高い所(3m 以上)はない。 ③高潮(明日まで) :大潮の時期。北日本太平洋側や西日本では、注意報基準超過の所がある。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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