短期予報解説資料1 2016年10月12日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①北日本を、500hPa5400~5520m 付近、-30℃以下の寒気を伴うト ラフが東進して通過中。 ②1 項①のトラフに対応した低 気圧が千島近海にあって、 東北東 に進んでおり、 寒冷前線が東北地 方にのびている。前線近傍では 10~20mm/h程度の降水を解析。 ③12 日 9 時から南西諸島付近に 前線を解析し始めた。 前線近傍に は対流雲が散在し、20~40mm/h 程度の降水を解析している。 2.主要じょう乱の予想根拠と 解説上の留意点 ①1 項①の低気圧に伴う寒冷前線は、12 日夜には三陸沖に抜ける。前線近傍では大気の状態が不安定 となるため、落雷や突風、短時間強雨に注意。1 項①のトラフは 12 日夜には北海道の東海上に抜ける が、13 日も北海道の上空には-24℃以下の寒気が残り、500hPa5460m 付近の正渦度移流は継続。14 日 には、再び 500hPa5400~5520m 付近、-30℃以下の寒気を伴うトラフが北海道を通過する。北海道を中 心とする北日本では、寒気流入に伴う対流雲の発生・発達に留意。 ②14 日にかけて日本付近は移動性高気圧に覆われるが、500hPa5700m 付近、及び 500hPa5760~5820m 付近の強風軸・傾圧帯に伴う上・中層雲が広がりやすい状態が続く。13 日は西日本・東日本を、 500hPa5640~5700m 付近のトラフが通過し、14 日には 500hPa5760~5820m 付近のトラフが通過する見 込み。日本の南から南西諸島にかけては気圧の傾きがやや大きく、吹送距離の長い北東風が卓越する ため、西日本の太平洋側や南西諸島では強風やうねりを伴った高波に注意。 ③1 項③の前線は 14 日にかけて南西諸島付近に停滞。南西諸島の周辺では、14 日にかけて 850hPa の 相当温位 345K 以上の下層暖湿気が広がり、大気の状態が不安定となる。落雷や突風、短時間強雨に注 意。フィリピンの東にある 300hPa9600m 付近、-30℃以下の寒冷渦が 14 日朝には台湾付近まで北上す る見込み。寒気の影響で前線近傍の対流活動が活発になる可能性がある点に留意。 ④台風第 20 号は、移動速度を速めながら北東に進む。13 日午後には日本のはるか東で温帯低気圧に変 わる見込み。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新の GSM を基本とする。風や雨の予想は MSM も参考にする。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):高い所(100mm 以上)はないが、2 項の短時間強雨に注意。 ②波浪(明日まで):四国、九州南部、奄美、沖縄 3m。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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