短期予報解説資料1 2016年 8月11日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①500hPaで優勢なリッジが、朝 鮮半島付近からシベリアにの びており、対応して黄海に高気 圧を解析、北日本にかけて気圧 の尾根となっている。一方、日 本の東海上から南海上にかけ ては、日本のはるか東に中心を 持つ高気圧との間で気圧の谷 が形成されており、日本の東か ら伊豆諸島付近にかけて、一時、 雷を伴った30mm/h前後の激し い雨が解析されていたが、現在 はおおむね解消している。 ②西日本を中心に晴れて気温 が上昇し、多くのアメダスポイントで 30℃以上の真夏日となっている。また、九州を中心に 35℃を超 え猛暑日となっている地点が多い。 ③熱帯低気圧が台湾付近を西に進んでいる。その東側から北側にかけて下層暖湿気が流れ込んでおり、 11 日 09 時には石垣島上空で 850hPa・θe352Kを観測。南西諸島では対流雲が所々で発達しており、先 島諸島を中心に強い雨が断続している。また、奄美付近では、雷を伴った激しい雨を解析。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①12 日にかけて1項①のリッジが日本付近に進み、西日本で上層の高気圧性循環が明瞭となる。北日 本から西日本は地上高気圧圏内となり、西日本を中心に晴れて気温が上昇する。13 日にかけて、概ね リッジ場の中にあることから対流雲の発達は抑制されるが、1 項①の気圧の谷や東寄りの湿った空気が 流れ込む東日本から西日本の太平洋側や山沿いなど、風の収束域を中心に午後にかけて大気の状態が 不安定となる。落雷や突風、短時間強雨に注意。 ②台湾付近の熱帯低気圧は、台湾の地形の影響を受け次第に弱まりながら西進し、11 日夜には大陸東 岸に達する。12 日朝にかけて不明瞭となりながら華南を西に進むが、引き続き 1 項③の下層暖湿気が 南西諸島付近に流れ込むため、12 日前半にかけて、先島諸島を中心に大気の不安定な状態が続く。落 雷や突風、短時間強雨に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本とするが、降水の分布や風の予想は MSM も参考にする。 4.防災関連事項 [量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):高い所(100mm 以上)はないが、2 項の短時間強雨に注意。 ②波浪(明日まで):高い所(3m 以上)はないが、東日本から西日本の太平洋側では、13 日にかけて、 吹送距離の長い北東風が続くことから実況に留意。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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