短期予報解説資料1

短期予報解説資料1 2016年 8月8日03時40分発表
気象庁 予報部
1.実況上の着目点
①大型の台風第 5 号が、伊豆諸島の東海
上を北上している。中心付近に活発な積
乱雲が少なく、中心付近よりも周りで風
の強い構造を維持している。水蒸気画像
の暗域に対応した台風の西側に広がる乾
燥空気を引き込み、特に西~南西側で雲
域の発達が抑えられている。
②台風の北上に伴い、北日本から西日本
の太平洋沿岸で長周期の波が観測され始
めており、北日本では波高が 4mを超える
観測点が多数。
③沖縄付近を熱帯低気圧が北上しており、
その北側で対流雲が発達。海上を中心に雷を伴った 40mm/h前後の激しい雨を解析している。
④シベリア付近には閉塞した低気圧があって、閉塞点から沿海州に寒冷前線がのびている。
2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点
①台風第 5 号は、8 日夜には関東の東海上に進み、その後、速度をやや早めながら三陸沖を北上する。
9 日夜に北海道の南東海上に達し、10 日夜には千島の東で温帯低気圧に変わる見込み。台風は強風域
が大きく、9 日にかけておおむねその構造を維持しながら北上するため、北日本の太平洋側から南西諸
島にかけての広い範囲でうねりを伴い波が高くなる。また、関東では 8 日夜から、北日本の太平洋側
では9日には海上で風が非常に強く吹き、大しけとなる見込み。暴風、高波に警戒。
②1 項③の熱帯低気圧は、8 日朝に先島諸島付近を通過し、9 日にかけて 30KT [W] 級の風を伴い東シ
ナ海を西に進む。熱帯低気圧が引き込む暖湿気により、沖縄を中心とした南西諸島周辺では大気の状
態が不安定となる。落雷、突風、短時間強雨に注意。また、8 日は、強風や高波にも注意。
③9 日にかけて、西日本から北日本の広い範囲で午後は気温が上昇し、上昇が顕著な西日本や東日本の
山沿いを中心に大気の状態が不安定となる。落雷、突風、短時間強雨に注意。
④8 日夜から 9 日にかけて、1 項④の前線が北海道を通過する。前線付近やその南側では大気の状態が
非常に不安定となるため、北海道を中心とした北日本では、9 日にかけて、落雷や竜巻などの激しい突
風、短時間強雨に注意が必要。
3.数値予報資料解釈上の留意点
①総観場は最新の GSM を基本とするが、1 項③の熱帯低気圧についてはモデル間(GSM・MSM)の予
想差に留意。また、波浪予想は台風からのうねりを考慮し、適宜モデルの上方修正を検討。
4.防災関連事項 [量的予報と根拠]
①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):北海道 100mm。2 項の短時間強雨に注意。
②波浪(明日まで)
:北海道・東北・関東 6、伊豆諸島 5、東海から南西諸島 3~4m。
③高潮:台風の影響により、北日本の太平洋側や関東で注意報基準に近づく所がある。
5.全般気象情報発表の有無 「台風第 5 号に関する情報(総合情報)
」を 5 時頃に発表予定。
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量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。