短期予報解説資料1 2016年 3月 5日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①トラフ東側の朝鮮半島北部を低気圧 が進んでいる。南側を下層暖気が大き く北上しており、朝鮮半島西岸から東 シナ海南部の収束線に沿った対流雲列 で持続的に発雷を検知。 ②7 日にかけて南西諸島から日本の南 を進むトラフが華南にあり、東側の沖 縄の南では雲のバルジが拡大中。石垣 島等の下層相当温位の変化は小さいが、 東風層が厚くなり風速が増大。南方で の気圧の深まりを示唆。 ③伊豆諸島近海には高気圧西側の湿っ た南風による対流雲が停滞。沿岸の東 風層に気流が乗り上げて北側で雲拡大。 ④5 日 09 時の大陸での黄砂の通報は少ないが、赤外差分画像ではボッ海沿岸から長江中流と中国東北 区で雲バンドの西側に見られ、付近で視程 2km 前後を観測。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①の低気圧は、6 日にかけて日本海の北の対岸を北東進する。低気圧や前線に伴う降水は、北海 道で降り始め雪の所もあるが概ね雨。850hPa 気温は北日本で 3~6℃まで上昇し雨も加わるため雪解け が進む。融雪による土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水、なだれに注意。湿った雪による着雪に も注意。低気圧南東側中心に強風や高波に注意。 ②1 項①の発雷域をもたらす不安定域は、6 日未明には九州に接近し、午後には東日本や北日本にも拡 大する。1 項③の対流雲域を含めて、西・東日本の太平洋側や日本海沿岸を中心に大気の状態が不安定 となる。落雷、突風や短時間強雨(一部で激しい雨)に注意。鉛直シアーや低気圧性水平シアーが強 まると竜巻などの激しい突風に至る可能性もあり、今後の動向に留意。 ③トラフの接近により 1 項②の雲域がさらに発達し、5 日夜から 6 日朝までに沖縄の南で低気圧が発生 する。沖縄地方の低気圧に近い島しょでは、トラフ接近・通過時を中心に、低気圧北側で深まる気圧 の谷や北東側に連なる降水バンドで対流雲が発達するおそれがある。落雷、突風、短時間強雨に注意。 また、南西諸島から日本の南にかけて広範囲に東よりの風がやや強く、海は 6 日にかけて波が高まり、 7 日にかけてしける所がある。高波に注意。 ④黄砂が 6 日夜以降西日本に到達する予想がある。引き続き大陸の黄砂に関わる実況の推移に留意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM を基本に考える。降水や風は MSM も参考にす る。沖縄の南から日本の南を進む低気圧の進路や発達については不確かさがあり、7 日にかけて上空の 流れに沿って進むよう修正した。②波浪:MSM が強めの風速を予想している海域では上方修正を検討。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):高い所(100mm 以上)は ないが、2 項の短時間強雨に注意。②波浪(明日まで):沖縄・小笠原 4、北海道・東北・北陸・近畿・四国・ 伊豆諸島 3m。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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