短期予報解説資料1 ２０１６年３月１３日０３時４０分発表気象庁予報部１．実況上の着目点 ①500hPa 5460m 付近のトラフは、北日本を通過し、日本付近は日本の東に中心をもつ高気圧におおわれている。この高気圧と朝鮮半島付近の高圧部との間に入る東日本では気圧の谷となって、伊豆諸島付近と日本海中部には地上シアーラインが解析され、対応する雲域が広がっている。シアーライン近傍の伊豆諸島では 20mm/h 台を解析。黄海を 5580m 付近の短波トラフが東進中で、前面には上層雲主体の雲域が広がっている。 ②沖縄から華南にかけては、高気圧の後面で下層温度集中帯に対応する下層雲が広がっている。500hPa5760m 付近のトラフは通過してリッジ場に入り、活発な対流雲は見られない。華南を次のトラフが東進している。 ③黄河中流を 500hPa5520m 付近のトラフが東南東進して、水蒸気画像で暗域が明瞭となっている。 ④アムール川中流域には寒冷渦があって、水蒸気画像で渦循環が明瞭でゆっくり北東進している。２．主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②の下層温度集中帯付近では、下層暖湿気流入の強まりや 1 項②後者のトラフの接近で、13 日日中東シナ海で低気圧が発生し、同日夜までには前線(850hPa9～12℃付近)を伴う。また、1 項③のトラフ接近で、13 日夜までに関東の東に低気圧が発生し、低気圧は 14 日には前線(850hPa3℃付近)を伴って、日本の東を北東進する。また、13 日夜には四国沖に低気圧が発生し東進するが、14 日夜までに伊豆諸島東海上で不明瞭となる。1 項④の寒冷渦の南東象限に位置するシベリアで、13 日朝には前線を伴った低気圧が発生して北東進し、低気圧からのびる寒冷前線が 14 日に北海道を通過する見込み。 ②13 日午後から 14 日にかけて、2 項①の東シナ海で発生する低気圧や前線暖域側には下層暖湿気 (850hPaθe324K 以上、可降水量 40～50mm 台）が流入し、大気不安定となる。落雷、竜巻などの激しい突風、短時間強雨に注意。局地的には可降水量並みの非常に激しい雨の降る可能性がある。この低気圧や 2 項①の四国沖から東進する低気圧から北側に広がる降水域が、西日本から東北南部まで予想され、850hPa-3℃線は東日本～中国地方まで南下するため、東日本の山沿いなどでは降雪となる見込み。 ③2 項②前者の低気圧の北西象限を中心に、大陸から張り出す高気圧との間で気圧の傾きが大きくなる。東シナ海を中心に北よりの風が強くなる見込み。また、四国沖から東進する低気圧周辺でも、14 日は風が強まる見込み。強風や高波に注意。３．数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は最新 GSM 基本だが、2 項①の東シナ海に発生する低気圧の予想は、不確実性があるので留意。降水や風の予想は MSM も参考とする。４．防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨･大雪ポテンシャル(06 時からの 24 時間)：沖縄・奄美 100mm。 2 項の短時間強雨に注意。②波浪(明日まで)：沖縄 4、九州南部・奄美・四国、近畿・伊豆諸島 3m。５．全般気象情報発表の有無発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。