けいしかしゃくやくとう 桂枝加芍薬湯(傷寒論)

傷寒・金匱方剤解説 71 けー6
音順
けー6
方剤名
傷寒論・金匱要略条文
生薬構成 および製法・服用方法
読み および解訳・その他
桂枝湯 + 芍薬 3g
桂枝(辛温)3g・芍薬(苦平)6g・甘草(甘平)2g・生姜(辛温)3g・大棗(甘平)4g
上の 5 味を水 280mlを以って煮て 120mlとなし、滓を去り 3 回に分けて温服する。
弁太陰病脈証併治第十第 7 条(傷寒論)
桂枝加芍薬湯
もと
かえ
くだ
しか
よ
つかさど
」
「本、太陽病、医反って之を下し、爾るに因って腹満し、時に痛む者は太陰に属する也、桂枝加芍薬湯之を 主 る。
解訳 本来太陽病であるものを、医が治法に反して下してしまった。そのために熱が中に入って、それが原因となって太陰の経に及ん
で腹満を起こしてしまい、熱気の動きによって時々腹痛を起こす様になったものである。このような場合には、桂枝加芍薬湯が
主治する。
太陽病に属するものを発汗させずに、誤って下すと、元来脾の陽気不足の人では、更に脾の陽気を損傷して邪気(表熱)が内
陥し、そのために気の流れが停滞すると共に、津液が不足するために、腸内容物が停滞し乾燥して熱を伴うために、腹満、腹
痛が時に軽く、時には重く出没してくる。この病態は太陽病兼太陰病である。桂枝加芍薬湯で、解表と共に脾の気血を調和し
て、腹痛、腹満を緩解する。
桂枝加芍薬湯証
熱病の時、腹が張って痛む時に用いる。口渇、便秘があり、軽い下痢がみられるか、或いは下痢はみられない。痔で痛い時や、
常に便秘がちな人にも用いる。
新古方薬囊によれば「風邪などにて、腹張りて痛む者、或いは但腹だけ張る者、冷えの爲腹張り腹痛む者、いぼ痔にて痛み劇しき
者、平常便秘ある爲下剤を慣用する者に良きことあり、風邪などの場合は、先ず麻黄剤にて発汗して、後本方を用ふるのが宜し、
又本方は諸のイボ痔の卓効あり。
」と記されている。