2011 年度 3EC 応用物理 I (力学) 補助プリント No.7 摩擦・等速円運動・単振り子 群馬高専 一般教科 (自然科学) 小林晋平 2011. 7. 19. 1 講義内容のまとめ • 等速円運動における位置・速度・加速度のベクトル表示 • v = rω や a = rω 2 = v2 r 等,よく使う式の導出 • 向心力の存在 • 単振り子は振れ角が小さいときに単振動タイプの微分方程式に従うこと 2 練習問題 1. 摩擦とエネルギーについて (1) 質量 m の物体を水平面に置いて初速 v0 で滑らせた.物体と水平面との間の動摩擦係数を µ0 とし,物 体の進行方向に沿って x 軸をとるとき,物体の運動方程式を書け.重力加速度の大きさは g とする. (2) 時刻 t での物体の加速度・速度・位置を求めよ. (3) 物体が静止するまでに失った運動エネルギーはいくらか. (4) 物体が動いている間に摩擦力がする仕事を求め,その符号を変えたものが失った運動エネルギーに一致 することを確かめよ. 2. 等速円運動について (1) 物体が角速度 ω, 半径 r で原点を中心として xy-平面内で等速円運動している.時刻 t = 0 において物 体と原点をつなぐ線(動径という)が x 軸となす角は α だったとする. a. 時刻 t における物体の位置 x(t), y(t) を求めよ. b. 時刻 t における物体の位置ベクトル r(t) とその大きさを求めよ. c. 時刻 t における物体の速度ベクトル v(t) を求めよ. d. 任意の時刻において r(t) と v(t) が直交することを示せ. e. 任意の時刻において物体の速さ v(t) = |v(t)| を求めよ. f. 時刻 t における物体の加速度ベクトル a(t) を求めよ. g. 任意の時刻において v(t) と a(t) が直交することを示せ. h. 任意の時刻において物体の加速度の大きさ a(t) = |a(t)| を r, ω, v などで表せ. i. 任意の時刻において a(t) と r(t) が反平行(平行で逆向き)であることを示せ. j. 運動方程式を用い,等速円運動する物体には原点の方向を向く力(向心力)が働くことを示せ. (2) [円錐振り子] 図のように長さ ` の軽くて伸び縮みしないひもの先端を天井に固定し,他端に質量 m の質点をつけて 円錐振り子を作る.ひもは鉛直方向と角 θ をなしているものとする.また重力加速度の大きさは g と する. a. 円錐振り子の円運動の半径を `, θ で表せ. b. 質点に働く力を全て図示せよ. 1 ` θ PSfrag replacements S x y m c. 質点に働く力のうち,鉛直方向に関する力のつり合いを式で表せ.ただしひもの張力の大きさを S とせよ. d. 質点に働く向心力の大きさを S と θ で表せ. e. 鉛直方向の力のつり合いの式を使い,向心力の大きさを m, g, θ で表せ. f. 質点の向心方向に関する運動方程式を書き,加速度の大きさ a を求めよ. g. 質点の円運動の角速度はいくらか. h. 質点の円運動の周期はいくらか. i. 質点に乗った観測者がいるとすると,観測者には質点に外向きの力(つまり遠心力)が働いている ように見える.遠心力の大きさはいくらか. (3) [半円形の坂を滑る質点の運動] 図のような半径 r の半円形の坂があり,そこに質量 m の質点を置く.質点と坂の間の摩擦力は無視で きるものとする.質点を坂の頂点におき,そこから水平方向に初速度を与えて物体を転がす.物体が鉛 PSfrag replacements 直方向となす角を θ とし,物体が坂から受ける垂直抗力の大きさを N (θ) とする.また重力加速度の大 x きさを g とする. y m θ S ` v0 A θ theta r (1) 角 θ の地点 A に質点がいるとき,質点に働く力を全て描け. (2) 質点に働く力はある方向についてつり合っている.それはどの方向か. (3) 質点に働く垂直抗力の大きさ N (θ) を求めよ. (4) 質点が一切坂を滑らずに,初期位置から水平方向に打ち出されるために必要な初速度の大きさは最 低いくらか. (5) 前問の初速よりも小さな初速 v1 を与えて質点を滑らせたところ,質点が角 θC で坂から離れた. θC が満たす条件式を書け. 2 (6) 角 θC で坂から離れた後,質点は落下して地面に衝突した.衝突するまでの時間と,衝突直前の速 さを求めよ(かなり面倒な計算になる). (4) [発展:摩擦がある場合の,等速ではない円運動] 長さ ` の軽くて伸び縮みしない棒の先端に質量 m の質点をつけ,水平面内で円運動させる.質点と水 平面との間の動摩擦係数を µ0 とする. (1) 摩擦のためにやがて質点は静止するが,それまでに摩擦によって失った力学的エネルギーはいく らか. (2) t = 0 で物体が点 A (`, 0) から動き出したとする. A から円に沿って物体の変位を s とする(つ まり物体と原点とを結んだ線(動径)が x 軸となす角が θ であるとき s = `θ ).このとき θ 方向 (円の接線方向)の運動方程式が m d2 s d2 θ = m` = −µ0 mg dt2 dt2 となることを説明せよ.ここで g は重力加速度の大きさである. (3) 質点を初速 v0 で円軌道の接線方向に打ち出す.質点が静止する時刻 tC を求めよ. (4) 静止するまでに物体が進んだ距離 d を求めよ. (5) 前問の d が,動摩擦係数が µ0 であるような水平面で初速 v0 で物体を動かしたときに,物体が静 止するまでに進む距離と一致することを確かめよ. (6) 時刻 t における,物体に働く棒からの張力の大きさ T を求めよ.ただし 0 ≤ t ≤ tC とする. 3. [単振り子] 軽くて伸び縮みしない長さ ` のひもの一端を天井に固定し,他端に質量 m のおもりを付けて単振り子を 作る. θ y PSfrag replacements x m 0 x (1) おもりに働く力を全て書き込め. (2) 鉛直方向とひものなす角が θ であるとき,ひもに沿い天井方向に向かって y 軸,それと垂直で図のよ うに向かって右向きに x 軸をとる.1 y 軸方向の力のつり合いの式および x 軸方向の運動方程式を書け. 正確には,おもりが最下点にきた位置を x 軸の原点とし,振り子の軌道(円弧)に沿って曲がった x 軸を取っている.しかし各 点各点で x 方向の運動の原因になっているのは軌道の接線方向に働く力であるので,x 軸方向の運動方程式としては y 軸(ひもの方 向)に垂直なものを考えればよい. 1 3 (3) 振り子の振れ角 θ が十分小さいとき, x 軸方向の運動方程式が近似的に m` d2 θ = −mgθ dt2 となることを示せ.ただし x = `θ にも注意せよ. (4) この運動方程式が単振動タイプであることから,振動の角振動数 ω を求めよ. (5) 振り子の振動 (x = `θ なので結果的に x についても単振動) の周期はいくらか.またその周期の式を使 い, 「振り子の等時性」とは何かを説明せよ. (6) t = 0 に θ = θ0 からそっと手を放してこのおもりに単振動をさせた.時刻 t におけるおもりの角度 θ(t) とその時間微分 θ̇(t) を求めよ. 4
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