2/21 今日の講義で学ぶこと • 中心極限定理(central limit theorem) – 2項分布の近似 – 半目盛補正 確率・統計(10) • 統計量 ~統計量と確率変数~ – χ 2分布(chi-squared distribution) 2 • χ 分布表(付表3:教科書p.171) • 推定に関わっている(4章で扱います) – t分布(t-distribution) • t分布表(付表2:教科書p.170) • 推定に関わっている(4章で扱います) 中心極限定理(central limit theorem)3/21 (pp.73-75) 【定理 3.5(中心極限定理 )】母集団 X から得られる 標本平均 X の分布は、標本の大きさ n を十分大 きく取れば、正規分布で近似できる。 【証明】 省略 【注】 集団 X の分布には因らない。また、標本平均 X の平均値は、X の平均値の近似となっているはずだが、 標本平均 X の分布が正規分布になることは、X の分布 に関する情報を与えるものではない。 【例題3.4(pp.74-75)】 サイコロを600回投げて 1の目が110回以上出る確率を求めよ。 5/21 【解答】 600回投げて1の目が出る回数を X とおくと、 X~B(600,1/6) である。定理3.6により、 B(600,1/6) ~ N(100,500/6) と近似できるので、 X∼N (100,500 / 6) である。 X − 100 500 / 6 とすると、Z~N(0,1) より 10 P (X ≥ 110) ≈ P Z ≥ 500 / 6 = P ( Z ≥ 1.095 ) = 0.5 − 0.3632 = 0.1368 Z= 4/21 標本の大きさが大きい2項分布 【定理3.6】 2項分布 B(n,p) は、n が十分大きい とき、正規分布 N(np,np(1-p)) で近似できる。 【解説】X∼Be( p ) とする。ここで、 Y = X1 + X2 + + Xn とおくと、Y∼B (n, p ) であるから E[Y ] = np, V [Y ] = np (1 − p ) である。一方、X = Y / n とすると、中心極限定理により X は正規分布で近似できる。よって、定理 2.13 により Y = nX も正規分布で近似できる。以上から、 Y∼N (np, np (1 − p )) χ 2分布(chi-squared distribution) 6/21 (pp.75-80) 【定義】 母集団 X が標準正規分布 N(0,1) に 従うとき、そこから得られた標本 Z1,Z2,・・・,Zn によって作られた統計量 n Y = Z i2 i =1 2 2 が従う分布を自由度 n の χ 分布と呼び、 χn と 表す。 【注】 n は、自由度(degrees of freedom)と呼ばれ るパラメータです。 7/21 【解説】 Z1,Z2,・・・が標準正規分布 N(0,1) に従うとき 【定理】 Zi~N(0,1) (i=1,2,・・・,n) とする。このとき、 n Y = Z i2 Z12 ∼ χ12 (Z1,Z2,・・・,Zn は互いに独立) i =1 Z12 +Z 22 ∼ χ22 2 1 2 2 2 3 2 1 2 2 2 3 Z +Z +Z ∼ χ 2 4 2 で定まる自由度 n の χ 分布の確率密度関数を fn とすると、 1 fn (x) = n / 2 x n / 2−1e − x / 2 (0 < x < ∞) 2 Γ (n / 2) である。ただし、 Γ はガンマ関数(gamma function) と呼ばれる関数で以下で定義されるものである。 n Z ∼ χn2 2 i 2 3 8/21 χ 2 分布の確率密度関数 i =1 2 4 Z +Z +Z +Z ∼ χ ∞ Γ (m ) = e − x x m −1dx 0 Γ 関数の性質 9/21 10/21 χ 2 分布の確率分布 ∞ Γ (m ) = e − x x m −1dx fn (x) = 0 2 n/2 1 x n / 2 − 1e − x / 2 Γ (n / 2) 1.4 以下が成り立つ 1.2 (1)Γ (1) = 1 n = 1, 2 :単調減少、 lim f1 (x) = ∞、 lim f2 (x) = x→ 0 + 0 1 n=1 x→0 + 0 1 2 0.8 (2)Γ (m + 1) = mΓ (m ) n ≥ 3 :x = n − 2 で極大(最大)値、 fn (0) = 0 0.6 (3)m が整数のとき Γ(m + 1) = m ! n=2 0.4 n=3 0.2 【注】 証明は省略(教科書pp.76-77参照) 数学解析I,IIの教科書も参照してください。 n=5 0 0 11/21 【練習問題】 χ22 の分布は指数分布であることを示しなさい。 1 2 3 4 5 χ 2 分布の平均と分散 【定理 3.8】X∼χn2 のとき、 E [ X ] = n , V [ X ] = 2n 【証明】 省略(教科書pp.77-78参照) 【注】 定理3.9は、推定のところで扱います 12/21 13/21 χ 2分布表の使い方 ∞ f (x)dx = α 【練習問題】 教科書付表3(p.171)の χ 2 分布表を用いて次の値を答えなさい。 14/21 χn2 ( α ) n Y が χn2 分布に従うとする。 2 (1) χ4 (0.95) P (Y ≥ a ) = α を満たす a を χn2 (α) と記すことにする。 2 (2) χ4 (0.05) 【例題】Y∼χ22 とする。 (1) χ22 (0.95) を求めよ。 2 (3) X∼χ6 のとき、P ( X ≤ 2.204) (2) P (Y ≤ 0.051) を求めよ。 15/21 【練習問題】 16/21 標的を弓矢で射るものとする。標的の中心を原点するとき、 矢の当たる場所を ( X , Y ) とすると、X と Y は独立に N ( 0, 2 ) に従うことがわかっている。的の半径が 0.422 とするとき、 的に当たる確率を求めなさい。 【ヒント】 ( 求めたい確率は、P X 2 + Y 2 ≤ (X , Y ) 半径 0 的(まと) ( 0.422 また、X∼N (0, 2), Y∼N (0, 2) なので )) 2 X Y ∼N (0,1) かつ ∼N (0,1) 2 2 である。よって、 2 2 X Y 2 + ∼χ2 2 2 t分布(t-distribution)(pp.80-83) 2 17/21 【定義】 X~N(0,1) かつ Y~ χn とする。また、 X と Y は独立であるとする。このとき、統計量 X T = Y n の従う分布を自由度 n の t分布(t-distribution) と呼び、tn と表す。 t分布の確率密度関数 18/21 【定理】X∼N (0,1) かつ Y∼χn2 とする。このとき、 T = X で定まる自由度 n の t分布の確率密度関数 Y n を fn とすると、 n+1 n +1 Γ 2 − 2 x 2 1+ fn (x) = n n nπΓ 【注】fn (x ) = fn ( − x ) 2 t分布の平均と分散 19/21 T が tn 分布に従うとする。 【定理】X∼tn のとき、 E [X ] = 0 V [X ] = P ( T ≥ a ) = α を満たす a を ( n ≥ 2) tn (α) と記すことにする。 n ( n ≥ 3) n−2 【例題】T∼t2 とする。 (1) t2 (0.95) を求めよ。 【証明】 省略 (2) P (T ≤ 1.886) を求めよ。 【注】 定理3.10は、推定のところで扱います 【練習問題】 教科書付表2(p.170)の t 分布表を用いて次の値を答えなさい。 (1) t7 (0.05) (2) t7 (0.95) (3) T∼t10 とする。このとき、P (T ≤ −1.812) t分布表の使い方 21/21 ∞ () tn α fn (x)dx = α 2 20/21
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