2016年7月22日 投資情報室 (審査確認番号H28-TB92) オーストラリアレポート オーストラリア経済とリート市場の動向について オーストラリア運用チームが語る同国の投資環境(株式編) 2016年7月、レッグ・メイソン社傘下でオーストラリア株式の運用を手掛けるマーティン・カリー・オース トラリアから、実物資産セクターの運用戦略担当者が来日。 その際の、オーストラリアの投資環境に関するレッグ・メイソン社とのインタビュー内容を2回に分けてご紹介 します。 インドが追加利下げ 今年4回目 第1回のテーマは「オーストラリアの投資環境(株式編)」です。 オーストラリア株式市場の特徴について 他の先進国の債券や株式より利回りが高く、中でも 内需関連セクターは相対的に高い配当利回り水準 図1:利回り比較 (%) 7 6.3 6 オーストラリア株式の配当利回りは、他の先進国よりも 高い4.8%となっています(2016年6月末時点)(図1)。 業種により利回り水準は異なっており、素材やヘルスケア の利回りが全体よりも低い水準である一方、金融や電気通 信サービス、公益事業などの内需関連セクターの配当利回 りは相対的に高い水準となっています。 ご参考 4.8 3.9 2.7 3 2.0 2 2.3 2.2 1.9 1 0 ‐0.2 日本国債 オーストラリア国債 米国株式 日本株式 世界株式 オーストラリア株式 ヘルスケア 素材 リート ‐1 生活必需品 安定した収益構造から、高水準の配当を継続している内需 4.3 4 公益事業 高い市場占有率を背景に、安定した収益が期待される 実物資産を有する企業に注目 4.7 4.6 電気通信サービス 注目の企業・セクターについて 5.1 5 金融( リート除く) 世界的に低金利傾向となり低成長が予測される中、米国の 利上げペースの減速も見込まれており、安定したインカム 収入を期待する投資家にとって、オーストラリア株式の相 対的な魅力が増しています。 セクター別利回り (出所)ブルームバーグ、Citigroup Index LLC、MSCI 2016年6月末時点 オーストラリア株式および各セクター:S&P/ASX200指数、世界株式: MSCIワールド・インデックス、米国株:S&P500指数、日本株:TOPIX、 国債:シティ世界国債インデックス 関連のセクターに引き続き注目しています。オーストラリ アでは、一部の上位企業が市場シェアの多くを占める寡占 図2:市場シェアの比較 的な構造が多く見られます。これら企業は高い市場占有率 豪州 米国 を背景に、大規模経営による高い効率性や価格決定力の優 銀行 上位3行 63% 上位3行 33% 位性を有しています(図2)。 ガス輸送 パイプライン 首位 79% 各社 10%以下 空港 (航空交通量) 首位(シドニー) 27% 首位(アトランタ) 6% 大型ショッピン グセンター 上位2社 13% 上位2社 4% インフラ関連企業および店舗などの実物資産は、利用料 損害保険 上位3社 62% 上位3社 20% や賃料などから安定的なキャッシュフローを生み出してお スーパー マーケット 上位3社 83% 上位3社 45% 中でも、オーストラリアの高い人口増加率の恩恵を受けや すい、生活に不可欠なガスや電気等の公益事業、有料道 路・空港などのインフラ関連企業、オフィス・店舗等の不 動産など、実物資産を有するセクターに注目しています。 り、景気サイクルの影響に対して耐性があると考えていま す。 (出所) マーティン・カリー・オーストラリア 2016年5月末時点 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作 成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資 料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等 はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的 な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額 及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動 等を保証するものではありません。 商 号 等 :ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号 1/2 加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 図3:銀行貸出残高 金融(銀行)セクターについて (兆豪ドル) 2.5 オーストラリアの銀行は、国内の資金ニーズが強く、 預貸率と住宅ローン比率が高いことが特徴 非住宅ローン 住宅ローン 2.0 四大銀行は、貸出総額がオーストラリア全体の80%*1を占 めるなど高い市場シェアを有しており、世界の大手銀行の 中では最上位となるAA-の格付けが付与されています。 1.5 1.0 オーストラリア国内での資金ニーズが強く、四大銀行の預 貸率は123%*1とオーバーローン状態にあります(日本の 都市銀行5行の預貸率は55%*1)。また、貸出に占める住 宅ローンの比率が高いことから、利下げや人口増加による 住宅需要の拡大はプラスに寄与すると考えます(図3)。 *1 APRA、銀行協会 0.5 0.0 2002/6 2004/6 2006/6 2008/6 2010/6 2012/6 2014/6 (年/月) (出所) APRA 2016年5月末時点 2002年6月末∼2016年5月末時点 図4:店舗用リートのテナント売上と賃料の推移 リート(不動産投資信託)について 10,000 (豪ドル) (豪ドル) 1,400 1㎡当りのテナント売上⾼(左軸) リートは店舗用不動産が中心で、人口増加や消費拡大 の恩恵を受けやすいことが特徴 1㎡当りのテナント賃料(右軸) 1,200 9,000 オーストラリア・リートはショッピングセンターなどの店 舗用不動産が全体の約5割を占めています(図4・円グラ フ)。ショッピングセンターは上位リートによる寡占化が 進んでおり、テナント空室率は低水準で推移しています。 8,000 7,000 800 そのため、リートは人口増と堅調な経済を背景にした消費 拡大の恩恵を受けやすく、テナント賃料も小売売上高の拡 大とともに上昇しており、今後も賃料収入の増加や配当成 長が期待されます(図4・線グラフ)。 6,000 600 豪ドル安の恩恵を受けるセクターは? 観光産業は豪ドル安から恩恵を受け、足元のインバウ ンド収入と旅行客数は過去最高水準 【リートの用途別構成比】 5,000 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 1,000 400 2015 (年度) (出所)マーティン・カリー・オーストラリア、 ブルームバーグ1999∼2015年度 ※用途別構成比は、S&P/ASX300 A-REIT指数の2016年6月末時点の時価 構成比※テナント売上高・賃料は、センター・グループ、GPTグルー プ、ビシニティ(旧ノビオン、旧フェデレーション・センターズ)の平 均値 図5:インバウンド収入と旅行者数の推移 (万人) (億豪ドル) 2013年初には1豪ドル=1米ドルを上回っていた豪ドルは、 2016年6月には0.72∼0.75米ドル程度で推移しており、 豪ドル安は観光産業や留学などの教育産業にとってプラス に寄与しています。 400 300 700 オーストラリアを訪れる旅行者(留学生を含む)が総人口 に占める割合は約30% *2と、日本の約16% *3を大きく上 回っています。オーストラリアの2015年度のインバウンド 収入と旅行者は、中国とインドの富裕層観光客の増加に よって、過去最高となっています(図5)。 200 600 100 500 *2 ツーリズム・リサーチ・オーストラリア、オーストラリア統計局 2015年12月末の総人口で算出 *3 日本政府観光局、総務省統計局 2015年12月の総人口で算出 インバウンド収入 (左軸) インバウンド旅行者数 (右軸) 0 2005 2007 2009 2011 2013 800 400 2015 (年度) (出所)ツーリズム・リサーチ・オーストラリア (期間)2005年度∼2015年度 ※年度は当年4月∼翌年3月 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメントの情報を基に、ニッセイアセットマネジメントが作 成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではありません。実際の投資等に係る最終的な決定はご自身で判断してください。●当資 料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等 はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的 な投資成果を示すものではありません。●投資する有価証券の価格の変動等により損失を生じるおそれがあります。●手数料や報酬等の種類ごとの金額 及びその合計額については、具体的な商品を勧誘するものではないので、表示することができません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動 等を保証するものではありません。 商 号 等 :ニッセイアセットマネジメント株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第369号 2/2 加入協会:一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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