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アジア
2016年11月30日
中国当局、資本逃避抑制の動きも
報道によると、1ドル=7人民元の大台を目前に中国当局が人民元安の抑制を意図した動きを活発化しています。人
民元の先安観を受け中国企業による対外投資が人民元安を加速している面もあり、当局の対応に注目しています。
中国国家外為管理局:資本流出規制を強化、
人民元安抑制の動き
報道によると、中国当局は中国から海外への資本流出を抑
制する動きを加速させている模様です。中国企業の対外直
接投資に対する監視を強め、下落が続いている人民元相場
の安定を図る狙いと見られます(図表1参照)。2016年11月
29日午前、人民元は1ドル=6.88元台での取引となり、人民
元が足元の最安値をつけた25日から、これで3営業日連続
で上昇しています。
どこに注目すべきか:
中国M&A、輸入インフレ、為替操作国
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:人民元(対ドル)レートの推移
(日次、期間:2015年11月30日~2016年11月29日)
7.0
人民元/ドル
6.9
人民元(対ドル)
6.8
6.7
6.6
6.5
6.4
6.3
15年11月
16年2月
16年5月
安 人民元 高
報道によると、1ドル=7人民元の大台を目前に中国当局が
人民元安の抑制を意図した動きを活発化しています。人民
元の先安観を受け、中国企業による対外投資が人民元安を
加速している懸念もあり、当局の対応に注目しています。
まず、主な人民元安の抑制に向けた動きとしては、人民銀
行(中国の中央銀行)副総裁が珍しく2大国営メディアを使っ
て(人民元安を懸念する)口先介入を報じたことや、資本流
出規制の強化があげられます。規制の中身は例えば、中国
企業の海外直接投資のための外貨購入が一定金額を超え
る場合、中国国家外為管理局の事前許可が求められる模
様です。量だけでなく質も問われ、本業とは関わりのない合
併・買収(M&A)に対し厳格に審査すると報じられています。
人民元安は輸出下支え効果も期待されますが、中国当局は
以下の理由で人民元安抑制を優先する可能性もあります。
1点目は資本逃避のリスクが高まってきたことです。中国で
は、過去に見てきたように資本逃避が国内資産の下落を起
こすといった問題もあります。さらに、海外への資本フローを
加速させているM&Aの中身にも問題がありそうです。例えば、
(結局は断念しましたが)中国の保険会社による海外リゾー
トホテルの買収など戦略が不透明な案件も見られ、当局は
本業以外の買収を厳しく抑制すると見られます。
2点目は、輸入インフレへの懸念です。中国の消費者物価指
数(CPI)は落ち着いていますが、輸入が多い食料品価格に上
昇の兆しが見られます(図表2参照)。2016年春のように春節
(旧正月)休暇による食品価格上昇であれば一時的な問題で
すが、仮に輸入インフレの定着となると深刻です。
最後に、米国への配慮です。トランプ次期大統領は中国を(人
民元安を放置するなら)為替操作国に認定すると選挙期間中
に述べています。仮に認定されれば米国単独で人民元の切り
上げ要求や制裁関税の措置が発動でき、輸出低迷が続く中
国に痛手と思われます。もっとも、本当に中国からの安い輸入
品が滞れば苦しむのは米国民のようにも思われますが。
人民元は当面、当局の意向を反映して人民元高の展開も想
定されますが、持続性の点で不確実性もあると見られます。
16年8月
16年11月
図表2:中国CPIと食料品価格の推移
(月次、期間:2011年11月~2016年10月、前年同月比)
12 %
10
8
6
4
2
0
11年11月
CPI
食料品価格
13年11月
15年11月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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