Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 欧州 2016年7月5日 もう一つの国民投票とイタリア不良債権の見方 イタリアの銀行の不良債権比率が高水準となっています。ただ、同国の銀行の流動性は高く、信用力の著しい低下 は現段階では回避されています。それでもイタリアの銀行の不良債権を処理する道筋が不透明で、注視が必要です。 イタリア大手銀行:欧州中央銀行が不良債権 の削減などを要請 イタリアの銀行モンテ・デイ・パスキ・ ディ・シエナ(モンテパ スキ銀)は欧州中央銀行(ECB)から書簡(草案)を受け取り、 不良債権比率の引き下げなどを要請されたと2016年7月4日 に発表しました。報道では、モンテパスキ銀に2015年時点の 不良債権(242億ユーロ)を2018年に146億ユーロにまで削減 することなどが求められています。報道を受け、モンテパス キ銀などイタリアの銀行の株価が下落しました。 どこに注目すべきか: 不良債権、Atlante、BRRD、ストレステスト イタリアの銀行の不良債権比率は高水準となっています(図 表1参照)。ただ、同国の銀行の流動性は高く、信用力の著 しい低下は現段階では回避されています。それでもイタリア の不良債権を処理する道筋が不透明で、注視が必要です。 不良債権がある程度あっても、健全な経済成長が見込めれ ば不良債権が徐々に低下することも期待されます。しかし、 イタリア経済の大幅な回復は見込みがたい状況です。 イタリア政府も不良債権処理の必要性は痛感しており、対 策を講じています。例えば、不良債権を証券化し、イタリア 政府がシニア部分に保証をつけるスキームや、50億ユーロ 規模の不良債権買取基金(Atlante)を設立しています。 しかし、対策は不十分と見られます。例えば、不良債権買取 基金の規模はイタリアの不良債権規模(約3,600億ユーロ、 図表1参照)に比べあまりに小さな規模に過ぎないからです。 イタリア政府が不良債権処理を進めにくい状況です。 まず、欧州連合(EU)加盟国であるイタリアは銀行の資本や 不良債権についてEUの国家援助規則(state aid rule)や銀 行再建破綻処理指令(BRRD)に従う必要があり自由度は限 られます。例えば、国が銀行を支援するには、まず銀行の株 主と(劣後)債権者の損失負担が必要であると見られます。 そのためレンツィ首相は英国国民投票の混乱後に、EUルー ルの適用免除によりイタリア政府による支援(恐らく、損失負 ピクテ投信投資顧問株式会社 担無しに銀行への資金注入など)の可能性を模索しました。イ タリアの動きを支持する声も市場で聞かれますが、EU当局が 特例を認める可能性は低そうです。 次に、EUルールに従い、債権者に損失を負わせるという手段 の選択は政治的に困難です。イタリアでは銀行の劣後債を個 人投資家が年金として購入した可能性が高いからです。また、 イタリアでは10月に憲法改正(下院に法案の優先通過権を持 たせる)の国民投票が予定されています(図表2参照)。レン ツィ首相は投票結果に進退をかけていることや、2018年予定 の総選挙を控え政治的リスクは取りにくい環境です。 欧州銀行監督機構(EBA)は7月末にストレステストの結果を 公表する予定です。イタリアの銀行の健全性に注目が集まる 展開も想定され、当面はストレステストに注目しています。 図表1:イタリア銀行の不良債権額と不良債権比率 (時点:2015年12月、不良債権比率は総貸出に対する不良債権額) 4,000 3,000 不良債権額(左軸) 不良債権比率(右軸) 億ユーロ 3,600 25% 20% 2,250 15% 2,000 10% 760 1,000 250 340 小規模 零細 5% 0 0% 5大銀行 中規模 全体 ※5大銀行はモンテパスキ銀、ウニクレジット銀などを含んだ5銀行、中規模 小規模、零細は総資産額の大きさで3段階に分類 出所:イタリア中央銀行(金融安定化報告)を使用しピクテ投信投資顧問作成 図表2:イタリアに関連する最近の主なイベント 年月日 2016年6月23日 7月29日 10月(日程未定) 2018年5月(予定) イベントの内容 英国EU離脱を問う国民投票 EBAはストレステストの結果を公表予定 憲法改正の国民投票 イタリア総選挙 出所:各種報道を参考にピクテ投信投資顧問作成 記載された銘柄はあくまでも参考として紹介したものであり、その銘柄・企 業の売買を推奨するものではありません。 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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