週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2016 年 7 月 2 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
7 月 3 日から 7 月 9 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):前線は、期間前半は日本付近に南から張り出すサブHと、サハリン~オホーツク海付近のリッジの間で、北
~西日本日本海側付近に停滞。期間後半は、熱帯じょう乱が絡み動向は見極めにくくなっている。この熱帯じょう乱は、衛星画
像ではカロリン諸島付近で対流活動が活発になってきており、これらのどこかが種になっている模様。日本海の前線の影響は期
間中頃まで考え、期間後半は熱帯じょう乱の何らかの影響を考慮した予報を考える。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は、サハリン付近のリッジと、サブHの中心5940m以上のエリアが日本の南海上の30N付近
にあって、両者が140E線に沿って位相をそろえている。東・西日本中心に顕著な正偏差。予報期間は、サハリン付近のリッジと
サブHの中心はともに東に移動する。サブHの西への張り出しは実況とあまり変わらず、日本の南の130E~140E付近は相対的な
谷場となる。日本付近の正偏差は続くが値は小さくなる。
●5~6日:サブHの北への張り出しは140E付近で、5820mに沿った西南西の流れの正渦度移流が、本州日本海側沿いで続く。その
中5760m付近のトラフが6日には日本海北部付近まで進む。北~西日本日本海側では広い範囲で雨が降る。大気の状態がより不安
定となり、北・東日本日本海側を中心とした雨は、次の強まりのタイミングとなる。大雨となるおそれもあるので今後の資料に
留意。北~西日本太平洋側では暖域内で、雲が広がりやすく、6日は850hPa気温が正偏差の中、500hPaにほぼ平年並の寒気が南
下するため、大気の状態が不安定となる所が多い。
●7~9日:熱帯じょう乱次第。東・西日本(太平洋側中心)と、沖縄・奄美は暖湿気の入りやすい状態となり、雨の降る日はある
見込みだが、今日のENS資料ではその日を見極めがたい。一方、北日本は、7日にトラフが通過した後リッジが9日にかけて通過
し、8日の北海道を中心に晴れる所がある。
●沖縄・奄美:期間前半は太平洋高気圧に覆われて晴れる日が多いが、期間の後半は湿った空気の影響で雲が広がりやすく、雨の降
る所がある。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:熱帯じょう乱を予想しているメンバーは増えて約7割あり、タイミングは異なるがいずれも日
本付近へ北上。そのうち1/3のメンバーがGSMよりも西に影響を予想している。
・ スプレッド:昨日と比べ拡大・縮小した日があるが、変化は比較的小さい。特定高度線は、期間中頃5880mの日本付近への盛り上
がりに差がある。熱帯じょう乱の差は、特定高度線には現れていない。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、6日以降は、熱帯じょう乱の予想の変化に伴い、機能より拡大・縮小している。
・ 予想T850時系列:北日本は期間前半平年~負偏差、後半正偏差。東日本は正偏差で推移するが次第に偏差は小さくなる。西日本
は弱い正偏差。沖縄・奄美はほぼ平年値付近。
2.防災事項等
・ 明日(3日)は、活動が活発な前線の影響で、北日本と東日本日本海側で大雨となるおそれ。
・ 東・西日本と沖縄・奄美は期間前半は高温が続く。熱中症など健康管理に注意。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 500hPa5700m付近のトラフに伴う低気圧は、北海道の東の海上をゆっくりと東進、北海道は気圧の谷が残り、東北地方には5820m
付近の強風軸に伴う正渦移流が続く。
・ 梅雨前線は、日本海から北陸・東北付近に停滞し、太平洋高気圧縁辺の暖湿気が前線南側に流れ込む状態が続くが、日本海西部に
午後低気圧を発生させ、湿りの東進を弱める傾向となってきた。暖湿気の予想には不確実性が出始めてきた。
・ 前線近傍の北陸・東北、低気圧近傍の北海道北東部を中心に雨となり、太平洋高気圧に覆われる南西諸島から西日本で晴れるが、
下層の湿りや不安定降水により雨の降る所もある見込み。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北日本から西日本にかけて、前線や湿った空気の影響で曇りや雨の降る日が多い。
・ 沖縄・奄美は、期間前半は太平洋高気圧に覆われて概ね晴れるが、期間の後半は湿った空気の影響で曇りや雨の降る所がある。
・ 最高気温・最低気温とも、全国的に平年並か平年より高く、期間の前半は平年よりかなり高い所もある。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。