予習パワポ

力学
1.スケールの話。
2.いろいろな力。
3.3次元空間内の運動の表現
動径ベクトル
4.速度ベクトル、加速度ベクトル。
1
力学とは
mechanics
力や運動を扱う物理の分野。
いろいろな力学がある。
流体力学、粉体力学、量子力学などもある。
生命物理学1では、力学の基礎を扱う。
2
物理は数学と関係が深い。
ニュートン Isaac Newton
17世紀後半-18世紀初
イギリスの自然科学者
数学も物理も研究していた。
・力学の基礎
・二項定理
・微積分の基礎
3
長さのスケール。
量子力学
素粒子
物理学
古典物理(力学、電磁気)
物性
物理
100
10-10
水素の半径
(ボーア半径)
0.5Å
1010
m(メートル)
=1
細胞の大きさ
ナノ 1μm(10-6)~10μm
(10-9m)
金属原子の
半径
宇宙物理
生物物理
人間の身長
1.5-1.8mくらい
地球1周
4x107m
太陽までの最短距離
1.5x1011m
(半径6400km)
医学が扱う
領域
1Å=10-10m
オングストローム
単位を覚えておこう。
マイクロ(μ)= 10-6 = 1/1,000,000
ナノ(n)=10-9
4
-12
ピコ(p)=10
長さのスケール。
マイクロ(μ)=10-6
ナノ(n)=10-9 n:nine (9) と関係
ピコ(p)=10-12
フェムト(f)=10-15
fifteen(15)
5
いろいろな物理量と人体
・長さ
身長、臓器の大きさ、ガンの大きさ、
・時間
人間の寿命、1日の長さ、1分間の脈拍、呼吸の回数
・速度
歩く速度、走る速度、血流の速度。
・質量
体重
・力
筋肉にかかる力、スポーツ
・振動数 音を聴く。
・圧力
血圧
・電荷
神経系の電気シグナル
・熱、仕事 食物として取り入れるエネルギー、運動で使うエネルギー
・温度
体温
しかし定量的に測りにくい場合も当然ある。
定性的な判断:
例) X線の画像を見て、ガンがあるかどうか判断。
6
いろいろな力:
1.重力
人体にとって大事な力。
重力に逆らって血液を流す必要がある。
無重力下で人体はどうなるか?
・宇宙飛行士の測定。
骨のミネラルが失われる。
適度な重力が人体に役立つ。
m
mg
7
いろいろな力:
2.摩擦力
摩擦が全然ないと、滑って歩けない。
静止摩擦係数 μ
N(抗力)
N
μN
摩擦力 μN
歩くには、μ> 0.15が必要。
これより摩擦が小さいと滑って転びやすい。
乾いた道路上のゴムタイヤ:μ=1.0程度
濡れた道路上のゴムタイヤ:μ=0.7
関節: μ=0.003
8
食べ物を飲み込む時、唾液によって摩擦係数を減らしている。
(乾いたトーストは食べにくい。)
3次元空間のベクトル
9
なぜベクトルを考えるか?
力学は力や運動を扱う。
3次元空間での、位置、速度、加速度や
力を考える時に、ベクトルが扱いやすい。
10
スカラーとベクトル
ベクトル vector
大きさと方向を持つ量
成分の数は、
3次元ベクトルなら3つ。
2次元ベクトルなら2つ。
例:速度ベクトル、力のベクトル
スカラー scalar
大きさを持つが、方向を持たない量
成分の数が1個。
例:質量m、時間t、温度T、体積V
ベクトルではないことを強調したい時に、
「スカラー」ということが多い。
11
ベクトルの足し算と引き算(高校の復習)
C AB
補助問題
(1) ベクトルAに対して、ベクトル-Aを図示せよ。
(2) ベクトルAとBに対して、
a) A+Bを図示せよ。
b) A-Bを図示せよ。
12
力はベクトル。
教科書p.3
大きさと向きだけでなくて、
作用点も大事。
物理のベクトルは、
平行移動できない。
作用点
問題 隣の人と2人1組になり、お互いの手に
力をかけてみて下さい。
力の大きさ、向き、作用点を変えてみて下さい。
13
1a1ベクトル場.ppt
page = 5
ベクトルの矢印
追加ページ
y
(1,3)のベクトルを図示せよ。
(数学のベクトルとして)
数学の場合は特に指示がなければ、
原点を始点にして、
x方向1, y方向に3進んだ点を
終点とする矢印を書く。
-1
3
2
1
1
0
-1
2
x
14
補足:ベクトル
数学のベクトル:自由に平行移動してよい。
y
ベクトルの成分表示
A  3,2
2
1
0
1
2
x
物理のベクトル:平行移動できない。
y
作用点(始点)が大事。
例:点(1,1)において、
ベクトル(3,2)を書け。
2
1
0
1 2
x
15
3次元の軸の書き方
z
z
右手系
O
x
こちらを
使います。
(業界標準)
O
y
左手系
x
y
回転させても、重ならない。
右手系の書き方。
・xy平面(xが東、yが北)に対してz軸を上向けに書く。
・野球の場合、x軸は1塁方向、y軸が3塁方向、z軸が上向け。
16
3次元の軸:補足
・指で覚えるのは間違えやすいので、避けた方がよい。
右手の親指:x, 人差し指:y, 中指:z
なぜ右手系か左手系の片方に決めた方がよいか。
回転の方向を説明する時に必要。
例:「x軸からy軸に回る方向」
(後で出てきます。)
17
基本ベクトル
ex , e y , ez
x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
座標で書くと、
z
e x  (1,0,0)
ez
e y  (0,1,0)
e z  (0,0,1)
教科書では
i, j, k
ex
O
y
ey
x
と書いている。
電流、虚数単位、波数などと間違えやすいので、授業では、
e x , e y , e z を使っている。
18
動径ベクトル r
radius vector
位置ベクトルとも言う。
r  xe x  ye y  ze z
z
ある原点Oからのベクトル。
P(x,y,z)
r
ez
ex
x
O
ey
y
注意:数学のベクトルは平行移動できるが、
物理のベクトルは平行移動できない物が多い。
動径ベクトルも平行移動できない。
(位置が変わってしまう。)
19
2次元の場合の
基本ベクトル
ex , e y
x軸、y軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
座標で書くと、
e x  (1,0)
e y  (0,1)
y
ey
x
O
ex
20
動径ベクトルを使う理由
r  xe x  ye y  ze z
力学は物体の運動を調べる。
運動を見るには、まず場所を知る必要。
動径ベクトルで、「どこにいるか?」を
記述する。
座標(x,y,z)よりも、ベクトルrで
記述した方がわかりやすい場合がある。
21
動径ベクトルの2つの説明
r  xe x  ye y  ze z
説明1
成分を使う。
右辺=x(1,0,0)+y(0,1,0)+
x
z(0,0,1)
=(x,y,z) 左辺になる。
z
P(x,y,z)
r
ez
ex
O
ey
y
説明2
動径ベクトル(赤い矢印)
=黄色の矢印+ 緑の矢印 + 茶色の矢印
= xe x  ye y  ze z
22
動径ベクトルの補足
動径ベクトルは、原点から物体がいる点までの
ベクトル。
半径の方向と長さが
物体
変わっていくイメージ。
動径(動く半径)
と呼んでいる。
記号rを使う理由は、
英語でradius(半径)
のため。
原点
23
軸が3次元に見えない方のために。
24
身近な所で軸を探すと
階段
廊下
研究4号館の
入り口
25
軸を書いてみると
階段
廊下
研究4号館の
入り口
26
写真を薄くすると
27
写真をさらに薄くすると
28
写真を消すと
29
微分
1.スカラーの微分(高校の微分)
2.ベクトルの微分
30
なぜ微分が必要か?
動径ベクトル
ベクトルの微分の意味は、
後でやります。
微分
速度ベクトル
2階微分
微分
加速度ベクトル
31
微分の定義
教科書p.367-368
y = f(x) の微分
df
y
f ( x  x)-f ( x)
 lim
 lim
dx x→0 x x→0
x
関数
Δ
Δx
lim
lim
x  0
デルタ と読む。
xが少し変化した量
引き算と割り算
limitの略。極限、限度。
Δxが0に近づいた時の値。
xが少しだけ変化した時に、
y=f(x)がどのくらい変化するか
割合を示す。
微分の図形的意味は次のページへ。
微分は
変化の割合
32
微分の補足
なぜd を使うか。
differentiation:微分(名詞)
differentiate: 微分する(動詞)
似ている単語:
difference: 差
Δ(デルタ):ギリシャ文字のD(大文字)。
変化に使うことがある。
Δxの意味
Δxとは xの増分(=増加した分)
もし、xがΔxだけ増えると、
x → 0
x
x + x
x
とは
x
がどんどん小さくなること。
34
直線の傾きとは
y
y
x
0
y
直線の傾き=
x
x
傾斜が急かどうかを表す。
35
曲線の傾きとは?
その点での接線の傾き。
場所によって傾きが違う。
青い点での傾き大きい
赤い点での傾き小さい
36
接線の傾きをどう定義するか?
y=f(x)
直線の傾きを求めるには、2点必要.
37
接線の傾きをどう定義するか?
赤い点での傾きを求めるには、
曲線上の点(黄色)との傾きを求める。
黄色、緑、青と近づけると、
赤い点での傾きに近くなっていく。
38
微分の図形的意味
y
df
f ( x  x)  f ( x)
 lim
dx x 0
x
y=f(x)
f(x+Δx)
接線
f(x)
x
青い点線の傾きが
x+Δx
x
f ( x  x )  f ( x )
x
Δxが0に近づくと、青い実線に近づいていく。
df
dx
は接線の傾きを表す。
39
補足:次の2つの式は同じ。
f ( x  x )-f ( x )
lim
x →0
x
f ( x  h )-f ( x )
lim
h →0
h
微分の注意
・何を何で微分するかが大事。
・高校の数2では、xで微分していた。
一般には、どんな変数で書いてあっても、
微分できる。
例
f (t )  at 2  bt  c
をtについて微分。
g ( p)  p 3  5 p
をpについて微分。
2階微分
df
f ( x  x)  f ( x)
 lim
dx x 0
x
もう1度微分したものを2階微分と呼ぶ。
d f
d  df 
  
2
dx
dx  dx 
2
2の位置に注意。
別の書き方
df
 f (x )
dx2
d f
( 2)


 f ( x)  f ( x)
2
dx
42
微分の補足
df
dx
の意味
d
f
dx
d
dx
あるいは
という微分操作を関数fに対して
したと見ることができる。
d 
 f
 dx 
fを分離して
書くことがある。
この微分操作を2回した時の記号は、
2
d 
  f
 dx 
d2 f
2
dx
と書くこともできるが、簡単に
と書くことが多い。
2の位置は、分子はdの右上、
分母は変数(この場合はx)の右上。
43
「べき」とは
漢字で書くと、「冪(べき)」
べき乗、累乗とも言う。
英語では、power
2
ここを「べき」と言う。
5
two to the 5th power
two to the power of five
べき関数: power function
2
x ,x
5
など、べきの形になった関数
44
べき関数の微分
df
f ( x  x ) - f ( x )
 lim
dx x→0
x
微分の定義は
数2の復習
問題 微分の定義を使って、次の関数の微分を求めよ。
a) f (x) = c(定数)
b)
f (x) = x
c)
f ( x)  x
d)
f (x) = x 3
e)
f ( x)  x
2
n
nは自然数
45
微分の定義を使った計算:注意
数2の復習
df
y
f (x + x ) - f (x )
= lim
= lim
dx x →0 x x →0
x
最初からΔx=0を代入すると、分母=0、分子=0になって、
0÷0でわからなくなってしまう。
先に右側の計算(引き算と割り算)を実行して、
整理できることはしてから、最後にlimをとる。
(Δx=0を代入する。)
46
二項定理の復習
数2
n
( a  b)   n C k a b
n
k
nk
k 0
n!
n Ck 
k!(n  k )!
n
k! k (k  1)( k  2)... 1
C0  1, n C1  n
47
ベクトルの微分
スカラー(成分が1個のベクトル)の
場合と同じ
dA
A(t  t )  A(t )
 lim
dt t 0
t
少しの時間Δt だけ経過した時のベクトルの変化の割合。
A (t  t ) と A(t ) は一般には、方向も長さも変わる。
A (t  t )
A(t )
48
速度
動径ベクトル r
速度ベクトル
dr
v
dt
1次元だと、
dx
v
dt
に対して、
dA
A(t  t )  A(t )
 lim
dt t 0
t
ある時間に、どのくらいの距離進むか。
例:一定の速さで動き、3秒間で
15m進んだとしたら、v=15/3=5m/s
50
速度と加速度
動径ベクトル r
速度ベクトル
に対して、
dr
v
dt
dA
A(t  t )  A(t )
 lim
dt t 0
t
加速度ベクトル
2
dv d r
a  2
dt dt
速度の意味:
ある時間に位置がどのくらい変化するか。
加速度の意味:
ある時間に速度ベクトルがどのくらい変化するか。
問題 消しゴム(または筆記用具)を使って、
以下の運動を実演してみてください。
(1)大きな速度の運動と、小さな速度の運動。
(2)大きな加速度の運動と、小さな加速度の運動。
a) 直線運動の場合
b) 曲がる運動の場合
51
動径ベクトルの補足
動径ベクトルは、原点から物体がいる点までのベクトル。
半径の方向と長さが
変わっていくイメージ。
物体
動径(動く半径)
と呼んでいる。
記号rを使う理由は、
英語でradius(半径)
のため。
原点
例:野球場でボールの場所を表すのに、
ホームベースを原点にして、ボールまでのベクトルを
動径ベクトルにする。
52
速度ベクトルの補足
動径ベクトルがどう変化するか。
その瞬間の進む方向
r (t + t ) - r (t )
r (t )
r (t + t )
r (t + t ) - r (t )
v (t ) = lim
t →0
t
記号vを使う理由: velocity(速度)のため。
53
加速度ベクトルの補足
曲線の場合
v(t + t )
v (t )
v(t + t ) - v(t )
v(t + t )
v(t + t ) - v(t )
a(t ) = lim
t →0
t
曲がる時は内向きの加速度
v (t )
(右折する時は、右向きの加速度)
記号aを使う理由: acceleration (加速)の頭文字。
54
運動方程式 equation of motion
ma  F
質量
加速度
(スカラー) (ベクトル)
教科書p.11
ニュートンの運動の第2法則
とも呼ぶ。
力
(ベクトル)
力を受けると、物体は運動する。
dr
v
dt
2
dv d r
a  2
dt dt
力と加速度は同じ方向。
しかし、力と速度は同じ方向とは限らない。
力と位置ベクトルは同じ方向とは限らない。
56
運動方程式:力により運動が起こる。
ma  F
質量
mass
力
加速度
force
acceleration
運動は目に見える。
教科書p.11
参考
映画Star Wars
「Use your force」
自分の力を使え。
力は目に見えない。
ニュートンさんは、運動(木からりんごが落ちる)を見て、
力の法則を発見したと言われている。
57
運動方程式は経験則
ma  F
運動方程式は、他の式から証明する式ではない。
経験則(経験や実験と合う)。
質量一定なら、加速度と力は比例。
加速度一定なら、質量と力は比例。
力が一定なら、質量と加速度は反比例
58
力の種類
ma  F
力Fにはどのようなものがあるか? たとえば、
・重力
・摩擦力
・電荷が電場から受ける力
・電流が磁場から受ける力
・分子と分子の間に働く力
・人間の体内のタンパク質が他のタンパク質や水から受ける力
・地震の時に、地面から受ける力。
-> 大きな力を受けると、建物が倒れたり、
水が動いて津波になる。
東北新幹線は、最初の地震波(P波)を検出して、
自動的に新幹線への電気を停止。減速した。その後にS波。
脱線や人身事故がなかった。
59
参考:ゲームクリエーターの試験
ゲーム会社の就職(ゲームクリエーター)で
力学や数学の試験がある所もあります。
力学:重力がある場での落下物を正しく表現できるか。
数学:3Dゲームを作るには、
3次元の座標変換、行列。
プログラミング言語、ゲーム作成経験も必要です。
60
運動方程式と微分方程式
ma  F
d 2r
a 2
dt
r
力
より
2
d r
m 2 F
dt
は物体のある時間での位置を表す。
F
がわかっている時、
r
を求めたい。
r を求めることを、「運動を解く」と言う。
微分方程式(微分を含む式)を解く必要。
61
微分方程式を解くとは。
微分方程式:
例:
関数の微分を含む式
dy
 a (定数 )
dx
y  ax  b
いろいろな関数の微分を知っていれば、
微分方程式を解くことができる(場合もある。)
問題 次の微分方程式を解け。
dy
(1) dx  x
dy
2

x
(2)
dx
2
d
y
d y
0
2

b
(3)
(4)
dx
dx 2
2
63
三角関数の微分
三角関数は、物理でよく使います。
64
角度
(数2の復習)
y

O
平面角:
半径1の円上の弧の長さ。
0から2πの範囲。
x
単位:ラジアン(rad)
180°
= πラジアン
65
三角関数の復習
y 1
sin 
1

-1
O
cos
1
x
sin 

cos
sin 
tan  
cos 
-1
問題 次の関数のグラフを書け。
y  cos x
y

sin
x
(2)
(1)
(3) y  tan x
66
三角関数の加法定理(数2の復習)
sin(    )  sin  cos   cos  sin 
cos(   )  cos  cos  - sin  sin 
問題1.
問題2
(1)
(2)
加法定理(2)を証明せよ。
加法定理(2)から(1)を示せ。
問題1のヒント:単位円(半径1の円)上に角度(α+β)の
三角形を書く。図のP, A, Q, Rの座標を書き、PA, QRの長さ
を求める。PA=QRを使う。
y
y
P
 +
O
A
x
O
Q


R
x
67
三角関数の合成(数2の復習)
a sin  + b cos  = r sin(  + )
ただし、
r = a +b
a
cos  = 2
2
a +b
2
2
sin  =
b
a 2 + b2
問題 上の合成の式を証明せよ。
ヒント:加法定理を使う。
68
三角関数の微分
数3の内容
df
f ( x  x)  f ( x)
 lim
dx x 0
x
微分の定義(復習)
結果は教科書p.368の表にもある。
問題1
問題2
微分の定義を用いて、
f ( x )  sin x に対して
を示せ。
f ( x )  cos x
を示せ
に対して
df
 cos x
dx
df
 - sin x
dx
ヒント:三角関数の加法定理を用いる。
69
三角関数の和と差の公式(数2の復習)
sin(  + ) = sin  cos  + cos  sin 
cos( + ) = cos  cos  - sin  sin 
(1)
(2)
sin x
lim
 1 の説明
x 0
x
数Ⅲで学ぶ
y
y=x
y= sin x
0
π
2π
x
・原点でsinxの傾きは1, 接線はy=x
71
グラフを使った説明
sin x   cos x
「微分は接線の傾き」を使う。
1
y
y  sin x
0
π
y  cos x
2π
x
・原点でsinxの傾きは1.cos xの値も1.
・sinxの頂上(x=π/2)で傾きは0.cos xの値も0
72
三角関数の微分方程式
三角関数は、物理の「振動」で使います。
73
微分方程式を解くとは。
微分方程式:
例:
関数の微分を含む式
dy
a
dx
aは定数
y  ax  b
いろいろな関数の微分を知っていれば、
微分方程式を解くことができる(場合もある。)
問題
次の微分方程式を解け。
2
dy
2
dy
d
y
(1)
 sin x (2)  cos x (3)d y
 cos x
(4)

sin
x
2
dx
2
dx
dx
dx
2
2
d
y
d
y
(5)
  y (6) 2  Cy C  0
2
dx
dx
74
(6)の補足
合成関数の微分
dy dy du

dx du dx
教科書p.369
y  sin ax の微分を求めたい時、
dy
 cos u
u  ax とおくと、 y  sin u
例
du
du
a
dx
dy dy du
dy

a
 a cos ax
dx du dx
du
2
d y
2
2
 a sin ax  a y
2
dx
75
微分方程式について詳しく勉強したい方は。
大きな書店に行くと理工系書の棚に
「微分方程式」という題名の本がたくさんあります。
数学科向けの本と、一般理系向けの本があります。
数学科向けの本は難しいので避けた方がいいです。
中をよく見てから買いましょう。
「常微分方程式」(物理数学シリーズ) 、
渋谷仙吉・内田伏一著、裳華房、
ISBN 978-4-7853-1515-3
「常微分方程式」(理工系の数学入門シリーズ)、
矢嶋信男著、岩波書店、ISBN 4-00-007774-0
「常」微分方程式とは、変数が1個だけの微分方程式です。
(例:xの関数を求める。)
「偏」微分方程式は、変数が2個以上の微分方程式です。
76
(例:x, y, zの関数f(x,y,z)を求める)
運動方程式の例1
ばね
77
バネの運動方程式
例1:強さkのバネに質量mのおもりがついている場合、
バネの、伸びxに比例した力F=-kxで
縮ませようとする力が働く。
壁
F
 kx
k 0
したがって運動方程式は、
d 2x
m 2  kx
dt
x
(tは時間)
問題1 上の微分方程式を解いて、運動を求めよ。
(意味:xをtの関数として求めよ。)
78
バネが物体に及ぼす力
x>0の時、バネは伸びている。
この時は、バネを縮ませようとする力が
マイナス方向に働く。
よってkxの前にマイナスがつく。
F   kx
k 0
x
質点にかかる力
手で引っ張って、
xだけ伸びたとき
ばねが縮もう
とする力
F   kx
手が引っ張る力
F
 kx
79
バネ定数の注意
F  kx
・ばね定数:単位長さ延ばすのに必要な力
・バネ定数は常に正。
・バネ定数の単位は、力の単位/長さの単位。
「定数」は単位がないと思っている人がたまにいるので、
注意
定数は、どんな定数かによって、単位が違う。
補足
x(t )  A sin t  B cos t
k
 
m
2
x
発展問題
三角関数の合成を用いて、
x(t )  C sin t  
と書けることを示せ。
と A, B の関係を書け。
また。 C , 
このような運動を「単振動」と呼ぶ。
ωを角振動数と呼ぶ。
-> 教科書p.17
81
単振動の角振動数と周期
x(t )  A sin t
k
 
m
2
 
k
m
sinφのφの部分を「位相」と呼ぶ。単位はrad(ラジアン)
ωは角速度または角振動数と呼ばれる。
単位はrad/s。単位時間当たりに何rad進むかを表す。
sin関数の周期は2π(=360°)。
1周するのに必要な時間を周期と呼ぶ。Tとおくと、
T  2
2
m
T
 2

k
82
補足
初期条件とは:
出発地点の位置rと速度vのこと。
83
運動方程式の例2:重力
84
基本ベクトルの復習
ex , e y , ez
x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
もし軸が動かない場合は、座標で書くと、
z
e x  (1,0,0)
e y  (0,1,0)
ez
ex
e z  (0,0,1)
O
y
ey
x
参考:動く電車の中で基本ベクトルを考える場合は、
基本ベクトルは時間の関数になるので、
時間で微分して0にならない場合がある。
85
動径ベクトル
復習
r
位置ベクトルとも言う。
r  xe x  ye y  ze z
z
原点Oから物体までのベクトル。
r
ez
ex
x
P(x,y,z)
O
ey
y
r  x(1,0,0)  y(0,1,0)  z (0,0,1)  ( x, y, z )
86
動径ベクトルを微分する。
r  xe x  ye y  ze z
補充問題(前ではやりません)
e ,e ,e
x y z
基本ベクトル
が定数(動かない)の時、
動径ベクトルを微分して以下を示せ。
dr dx
dy
dz
 dx dy dz 
v   ex  e y  ez   , , 
dt dt
dt
dt
 dt dt dt 
d x d y d z
dv d x
d y
d z
a   2 e x  2 e y  2 e z   2 , 2 , 2 
dt dt
dt
dt
 dt dt dt 
2
ヒント:積の微分法
2
2

 fg   f g  fg 
2
2
を使う。
2
87
運動方程式の例:重力場中
ma  F
質量x 加速度
=力
例2:重力が質量mの質点に働いているなら、
z
下向けにmgの力を受ける。
mg
gは重力加速度。
y
g= 9.8 m/s2
x
ベクトルで書くと、  mge z
運動方程式は、
はz軸方向に
2
e
z
d r
上向けの長さ1の
m 2  mge z
ベクトル。
dt
成分で書くと、
tは時間
(0,0,1)
問題2 例2の運動方程式の両辺を、x,y,z成分で書け。
微分方程式を解いて、運動を求めよ。(一般解を求めよ。)
88
g 重力加速度
このページは試験に
出ません。
gravity 重力
参考
「gr」がつく単語は
重いものが多い。(例外もある)
grave 重大な、墓
grief 悲しみ
gray 灰色
grim 陰鬱な
ネアンデルタール人とクロマニヨン人の話
・ネアンデルタール人の骨が発見された。
・肋骨に槍(やり)による傷跡。
斜め45度から。
・ネアンデルタール人は森で生活。
近くまで行ってから、動物を槍で刺していた。
・一方、クロマニヨン人は、大平原で暮らしていた。
遠くの動物に槍を投げて刺す。
・ネアンデルタール人はクロマニヨン人に
殺されたのかも。
90
補足
初期条件とは:
出発地点の位置rと速度vのこと。
91
運動方程式からわかること
運動量、力積、運動エネルギー
92
運動方程式
ma  F からわかること
問題1: 運動量 p  mv を使って、
運動方程式は
dp
dt
と書けることを示せ。
F
運動量:
運動の勢いを現す。
教科書p.51-52
問題2:前問の結果より、
t2
p2  p1   F dt
力積により
運動量が変化する。
t1
を示せ。
教科書p.55
問題3:運動方程式と速度ベクトルの内積を
とることにより、
P1
1
1
2
2
mv1  mv 0   F  dr
P0
2
2
を示せ。
運動エネルギーの変化=仕事
93
教科書p.20
運動量
momentum
p  mv
運動量
= 質量
×
速度
重い物ほど運動量が大きい。速いほど運動量が大きい。
衝突の時の勢いを表す。方向も示す。
dp
F
dt
力を受けると、運動量が変化する。
94
力積(りきせき)

t2
t1
Fdt
impulse
力積=力
× 時間
運動量の変化は力積に等しい。
t2
p 2  p1   Fdt
t1
95
仕事
F

d
r

work
・内積
F
仕事=力 x 距離
dr
経路に沿った微小長さ。接線方向
dr
(微小=非常に小さい)
例:水平面上に物体があり、
水平から60度の角度で5Nの力を加えて
3m引っ張った場合、した仕事は、
5N x 3m x cos60°=7.5N・m
96
内積(スカラー積)
教科書p.21
ベクトル A, B のなす角をθとする。
内積
A  B を、
A  B  A B cos 
と定義する。(スカラー量)
問題
A   A1 , A2 , A3 , B  B1 , B2 , B3 
A
B

のとき、
A  B  A1B1  A2 B2  A3 B3
を示せ。
(各自やっておいて下さい。前ではやりません。)
97
運動エネルギー
kinetic energy
1
2
mv
2
1
2
運動エネルギー   質量  速度
2
98
運動量と運動エネルギーの比較
1
2
mv
p  mv
2
・運動量はベクトル:速度の方向を向いている。
運動エネルギーはスカラー
・どちらも質量に比例。速度に依存する。
・両方とも力を加えると変化する。
t2
P1
1
1
2
2
p2  p1  F dt
mv1  mv 0   F  dr
t1
P0
2
2

運動量は力x時間、運動エネルギーは力x距離。
99
単位の話
ma  F
SI (MKS)単位系
International System of Units
Le Système International d'Unités
力学では、次の3つを使う。
時間 s(秒)
長さ m(メートル)
質量 kg(キログラム)
参考:SIではない単位の例
長さ:マイル、フィート
面積:アール、ヘクタール
体積:ガロン
質量:ポンド
熱量:カロリー
secondの略
100
ma  F
単位の問題
下記の単位をkg, m, sで書け。理由も書くこと。
問題1
動径ベクトル
問題2
速度と加速度
問題3
力の単位、N(ニュートン)
ヒント:運動方程式を使う。
問題4
ばね定数
問題5
運動量
問題6
p  mv
運動エネルギー
1
2
mv
2
の単位、J(ジュール)
101
偏微分、
gradベクトル、
-> ポテンシャル
102
偏微分:2変数以上の関数で、1つの変数について微分する
教科書p.376
p( x, y )
 q ( x, y )
x

x
:xについて微分する。(yを一定とみる)
「偏微分(へんびぶん)」と呼ぶ。
図形的には、z=p(x,y)の関数を、
y一定の断面で見た時の、傾き
z
問題:関数z=p(x,y)=xyを図示せよ。
また
p ( x , y )
を求めよ。
x
y
x
103
偏微分の記号

f
x
読み方はいろいろある。
・ラウンドディー
・パーシャルディー
・ディー
英語では、
・rounded d
・partial d
・d
英語なら、rounded f over rounded x
partial derivative of f with respect to x
日本語なら、ラウンドx 分の ラウンドf
fのxに関する偏微分
または ディーf, ディーx
(これだと普通の微分と同じ読み方になるので、
ラウンドの方がよい。)
104
偏微分の記号の書き方

f
x
数字の6(ろく)をそのまま書かないこと。
左右ひっくり返して書く。
アルファベットのd(ディー)ではない。
ギリシャ文字のδ(デルタ)ではない。
ギリシャ文字のσ(シグマ)ではない。
ミニワーク
f
偏微分の記号に注意しながら、
をアンケート用紙の
x
上部に大きくはっきり3つ書いて下さい。
105
2変数関数のグラフの書き方
z  p( x, y)  x  y
2
2
z
x,y,zの表を作る。
x y
0 0
0 1
1 1
など。
z
0
1
2
x
1
1
y
xとyの値を与えた時に、zの値をプロットする。
106
偏微分の例
p( x, y)  x y  sin x cos y
3
xについての偏微分
2
(yは定数だと思って微分する。)
p( x, y )
2 2
 3 x y  cos x cos y
x
yについての偏微分 (xは定数だと思って微分する。)
p( x, y )
3
 x  2 y  sin x  ( sin y )
y
 2 x y  sin x sin y
3
107
z=xyのグラフ
・原点、x軸、y軸を通る。
・第1象限、第3象限でz>0,
他の象限でz<0
・y一定で、(x,z)=(0,0)を
通る直線。
傾きは、y。
・x=yの時、z=x2の放物線
gnuplotを
使って書いた。
108
場(ば)
field
空間の各点で、スカラー(数字)やベクトルが
定義されている。
y
スカラー(数字)の場合
y=f(x)
1次元上(変数1個)なら、2次元のグラフ。
曲線で書ける。
x
2次元上(変数2個)なら、3次元のグラフ。
曲面で書ける。
z
y
x
109
場の微分を考える。(後で電磁気でも使う。) 教科書p.27
 
grad   
,
 x

,
y
グラジエント、と読む。
問題1

   ,
 x
grad   
問題2

,
y
 

z 
←ベクトル
 :ファイ
(ギリシャ文字)
「勾配」の意味。


z 
を使えば、 ナブラ演算子とも
呼ぶ。
逆三角形。
と書けることを示せ。
(Δではない)
 ( x, y )  xy に対して
grad  を計算して図示せよ。
ヒント:(x,y)平面のいろいろな点で、矢印を書く。
110
ベクトル場
xy平面で、ベクトル場(y,x)を描く。
書き方:
点(x,y)において、始点が(x,y)の矢印(y,x)を描く。
例
(1,0)点でベクトル(0,1)
(-1,0)点でベクトル(0,-1)
y
0
1
x
111
斜面の例
z  ( x, y )  x
は平面を表す。
斜めの面を無限まで
延長した平面
(チーズを斜めに切った
ような面)
z
y
x
この面の傾きを考える。
112
斜面
z  ( x, y )  x
グラジエントを計算する。
 x

1
x x
 x
(yで偏微分する時は、xは定数と見る

 0 ため)
y y
y
   
grad   ,   (1,0)
 x y 
x
113
斜面
z  ( x, y )  x
上から見ると、
y
P
P
z
y
x
x
0
点Pでの勾配(傾斜、傾き)を考える。
赤い方向は、坂を上がる。勾配が最大。
青い方向は、同じ高さ。勾配ゼロ。
緑の方向は、坂を下る。
z  ( x, y )  x のグラジエントは、
grad ( x, y )  (1,0) で赤い方向になっている。
グラジエントベクトルの方向は、勾配が急な方向。
大きさは、坂の勾配に等しい。
114
gradの幾何学的意味。
df
1変数の関数f(x)なら、
dx
は曲線y=f(x)の傾き。
(高校の数学)
2変数関数g(x,y)の場合:
z=g(x,y)とすると3次元空間内の曲面になる。(例はg=xy)
曲面上の点Pを決めても、傾きは方向によって違う。
変分を考えると、
g
g
dg 
dx 
dy  ds  grad g
x
y
ds  (dx, dy )
grad gは場所を決めると、方向も含めて1通りに決まる。
変分(dx,dy)は、grad gと同じ方向にするとdgが最大になる。
つまりgの変化が最大になる。
傾きがベクトルgrad gの長さになる。
3変数関数φ(x,y,z)の場合も同様。
115
grad φは、φの変化が最大になる方向を向き、大きさは勾配
 
grad   
,
 x

,
y
 

z 
グラジエント
関数をxで偏微分したものをx成分にする。
gradの図形的意味:2変数x,yの場合
z   ( x, y )
の傾きが最大になる方向が
例:山を登る場合。
grad 
z

x はy一定の時のx方向の変化。
  と 
116
grad

の大きい方に近い方向を、
は向く。
y
x
ここから物理に戻る。
ポテンシャルの話
117
経路に沿った積分
(大学の物理では使う)
教科書p.26
ある点AからBまでの経路に沿って
質点が力
を受ける。
この力が質点にする仕事は、
F
B
B
WAB   F  dr
経路に垂直な成分は
A
A
仕事に寄与しない。
もしこの仕事が経路によらず、始点Aと終点Bだけで
決まる時、力 F は保存力であると言う。
B
W AB   F  dr  U (rA )  U (rB )
A
と書ける。この時のUをFのポテンシャルと言う。
118
保存力の場合、始点と終点で決まる。
教科書p.29
B
WAB   F  dr  U (rB )  U (rA ) 
A
この時
F(r )   grad U (r )
と書くことができる。
力を積分すると
ポテンシャルになる。
ポテンシャルを微分すると
力になる。
マイナスがつく理由
-> 後でエネルギー保存則にしたいため。
物体に仕事をすると、物体の運動エネルギーが上がる。
では代わりに下がるものは何か?
119
これをポテンシャルエネルギーと考える。
保存力の問題
問題
教科書p.29
力が保存力Fcと非保存力(経路による力)F’の和
であるとする。
F’が経路に垂直な時、力学的エネルギー
(運動エネルギー+ポテンシャルエネルギー)が
保存することを示せ。
120
運動方程式からわかることの3番
P1
1
1
2
2
mv1  mv0   F  dr
P0
2
2
復習
教科書p.20
運動エネルギーの変化=仕事
物体に仕事をすると、物体の運動エネルギーが上がる。
では代わりに下がるものは何か?
それをポテンシャルエネルギーと考える。
U (r )    F  dr
121
保存:
conserve (保存する)、conservation (保存)
保存する = (ある条件の下で何かが)一定である。
(1)力学的エネルギー保存則
1 2
mv U  一定
2
(2) 運動量保存則
外力がなければ、運動量は一定。
t2
p 2  p1   Fdt
t1
の右辺がゼロの場合に対応。
(3) 角運動量保存則(後で出てくる。)
122
ポテンシャル
(potential
可能性、将来性)
ポテンシャルエネルギーは、力の距離による積分で定義する。
特に、力Fがx軸方向の時、
U ( x)    F ( x)dx
問題1 バネ運動で、F(x)=-kx (kはバネ定数)の時、
ポテンシャルU(x)を求めよ。
問題2 重力F(z)=-mg (z軸は上向けを正に取る)の時、
ポテンシャルU(z)を求めよ。(位置エネルギーと呼ぶ)
123
ポテンシャルの意味
クイズ 重い物が、
(a)床の上に置いてある時
(b)高い戸棚の上に置いてある時
のどちらが恐いか。
124
・ベクトル積(外積)
-> 後で回転に使う。
125
内積(スカラー積)
教科書p.21
ベクトル A, B のなす角をθとする。
内積
A  B を、
A  B  A B cos 
と定義する。(スカラー量)
問題
A   A1 , A2 , A3 , B  B1 , B2 , B3 
A
B

のとき、
A  B  A1B1  A2 B2  A3 B3
を示せ。
(各自やっておいて下さい。前ではやりません。)
126
教科書p.51
ベクトル積(外積)
ベクトル A, B
のなす角をθとする。
ベクトル積 A  B
は、
AB
B
ベクトル A, B に垂直で、
A
大きさは A  B  A B sin 

のベクトルである。
θはAからBに向けて測り、右ねじのしまる(進む)向きを
ベクトル A B
の向きとする。
問1.A 
 A1, A2 , A3 と B  B1 , B2 , B3 
に対して、
AB
の成分表示
A  B   A2 B3  A3 B2 , A3 B1  A1 B3 , A1 B2  A2 B1 
を示せ。
127
ベクトルA,Bのなす角
為す(なす)=作る、する
angle made byA and B
angle between A and B
ふつうは、
0
B
angle = 角度

A
2つの角度のうち、小さい方を使う。
この範囲のθに対して、
sin   0

cos   0 if 0   
2

 0 if
 
2
128
方向の表し方
記号を使う場合
矢の裏の
イメージ
矢の先の
イメージ
言葉を使う場合
スクリーン(紙面)
裏から表
スクリーン(紙面)
表から裏
y
z
x
x
z
y
129
方向の表し方
記号を使う場合
矢の裏の
イメージ
矢の先の
イメージ
y
x
x
z
z
y
y
z
x
130
内積(スカラー積)補足
product = 積
inner product, scalar product, dot product
・スカラー積と呼ぶ理由:積の結果がスカラー(数)。
・「内積」と呼ぶ理由。
単位ベクトルとの内積は、
その単位ベクトルの方向への射影になる。
A
射影:projection
A  e  A e cos   A cos 
θ
e
赤い部分の長さが射影
内側に倒れこむ感じ -> 内積のイメージ。
131
外積(ベクトル積)補足
outer product, vector product, cross product
・「ベクトル積」と呼ぶ理由:積の結果がベクトル。
ベクトルとベクトルの掛け算
-> 数 (内積)
ベクトル(外積)
・「外積」と呼ぶ理由
2つのベクトルの作る平面に垂直になる。
外に広がるイメージ。
132
成分の覚え方
A  B   A2 B3  A3 B2 , A3 B1  A1B3 , A1B2  A2 B1 
A
1
2
③
B
3
①
1
②
1 2 3 1
①
第1成分
A2 B3  A3 B2
133
ベクトル積の問題(続き)
問2
A  B  B  A
問3
 A B C  A B  C 
を示せ
である。
等号が成立しない例を示せ。
問4
d
dA
dB
A  B   B  A 
dt
dt
dt
を示せ
134
回転の話
・回転と人体
・回転のベクトル
・回転角速度と速度の関係
135
回転と人体
人間は回転をどこで感じるか?
内耳で感じる。
耳がやられると、目まいがする。平衡感覚がおかしくなる。
三半規管
半円状の器官が、
垂直な面上にある。
中にリンパ液が入っている。
流れが変わると、半規管中の
感覚毛が感知して、神経を通して
脳に信号が行く。
136
角速度ベクトル

回転を表すベクトル
オメガ
大きさは、単位時間に回った角度。
単位は、ラジアン/秒
rad/s
方向は、回転面に垂直
向きは右ねじが進む方向

回転ベクトルの向きに注意。
日常会話の「回転の方向」と
ベクトルの向きは違う。
問題:地球の自転の角速度ベクトルの
方向を図示せよ。理由も述べよ。
137
角速度ベクトルは何を表すか?
(1)単位時間に回る角度
角速度ベクトルの大きさ(長さ)から
(2) 回転面
角速度ベクトルに垂直
(3) どちら向けの回転か。
問題 角速度ベクトルが(3,3,0) rad/sのときに、
a) 角速度の大きさを求めよ。
b) 回転面と回転の方向を図示せよ。

ラジアンの復習
半径1の円上の弧の長さ。
0から2πの範囲。
単位:ラジアン(rad)
無次元量
扇形の半径がr,
弧の長さが
の時、
中心角は、



r
復習
平面角
radian ラジアン
似た単語
radius 半径
1
O
θ
139
無次元量とは
教科書p.383
物理の4つの基本単位で表せない量
m(メートル) 長さ
kg(キログラム)質量
s (秒)
時間
A (アンペア) 電流-> 後期の電磁気でやります。
例:
個数 N (個)
角度 θ(ラジアン)
140
比率
ratio
同じ単位の物の割り算
例:あるクラスの女子の比率は1/2 = 女子の人数/全体
の人数
例2:雨が降る日は1/4 = 雨が降る日/全部の日数
・比率は一般には足せない。
上記の1/2 + 1/4 = 3/4 を求めても、意味がない。
・分母が同じなら足せる場合もある。
例:ずっと晴れている日は1/3=晴れの日/全部の日数
上記の数字と足して、1/4 + 1/3 = 7/12
晴れた日か雨が降る日になる確率
141
回転している時の速度 変更あり
点Pが点Aのまわりに円運動をしているとする。
このときの角速度ベクトルをωとする。
回転軸上の点Oから点Pへの動径ベクトルをrとする。
点Pの速度は、
v  ω r
A

で書ける。

P
r
O
問1.上の式の両辺の単位を調べよ。
問2.上の式を証明せよ。
142
補足:
v  AP
  r '


の証明
弧の長さ
r ' 
角度
両辺を微分すると、r’が一定なら、
d
d
 r'
dt
dt
P
A
v  r '
143
円運動の速度は接線方向(半径に垂直)になること。
補足
動径ベクトルをx, y座標で書くと、
r  e x a cos   e y a sin 
a r
v
時間で微分する。半径aや単位ベクトルは
一定(時間が進んでも同じ)。θが変化する。
dr
d
v
  e x a sin   e y a cos  
dt
dt
 a  e x sin   e y cos  
rとvの内積をとると0なので、円運動の速度は動径ベクトルと
直交する。
144
・力のモーメント
・角運動量
・力のモーメントと角運動量の関係
145
力のモーメント
教科書p.50
F
ある質点mが原点Oからrの位置にあり、
m
mに力Fが加わっているとする。
この時の、点Oのまわりの力のモーメントは、
N  rF
r
O
図でNの方向は、スクリーンを(裏から表に)貫く方向
146
力のモーメントの問題
問題1 力の大きさおよび位置が一定で、力の角度を変化させる。 F
力のモーメントの大きさが最大および最小になる時の角度を求め、
図示せよ。
m
r
O
問題2 長さ2aのシーソーがあり、支点Oはシーソーの中央にある。
質点mがシーソーの端にあるとする。
シーソーと水平線のなす角をθとする時、
mにかかる重力によって生じる、支点0のまわりの力のモーメントを求めよ。
O
m
147
三角関数の公式
sin     sin 
cos   cos 


sin      cos 
2



cos     sin 
2

1
y
0
y  sin 

4

2
π
y  cos 
2π

148
モーメントとは。
r  A の形
動径ベクトル(位置を表す)
r
A ベクトル。特別な場合は、スカラー(1次元ベクトル)。
N  r  F 力のモーメント
L  r  p 角運動量もモーメントの1つ。
p  mv
その他のモーメント
慣性モーメント
(前期に勉強します。)
双極子モーメント(後期の電磁気で出てきます。)
149
角運動量とは。
運動量
角運動量
p  mv
既にやった。
L  mr  v  r  p
v
ベクトル積
r
ある基準点Oの周りの
角運動量。
m
O
問題
半径aの円上を一定の速さvで回っている粒子の
角運動量ベクトルを求めよ。
150
ma  F
角運動量の運動方程式
力のモーメントと角運動量の間に
以下が成立する。
dL
N
dt
問題
変更あり
F
m
L  r  mv
N  rF
(1)
力のモーメントによって、
回転の勢いが変化する。
r
O
L  r  mv
の両辺を時間で微分することにより、
(1)式を証明せよ。途中で運動方程式 ma  F を用いる。
ただし
d
dA
dB
A  B    B  A 
dt
dt
dt
を使うこと。
高校の物理では、(1)は独立に覚える人も多いが、
実際はニュートンの運動方程式から導かれる。
151
角運動量と力のモーメントの違い
角運動量:回る時の勢い
L  r  mv
N  rF
dL
N
dt
質量が大きいほど、勢いが強い。
速いほど勢いが強い。
基準点からの距離が長いほど勢いがある。
動径ベクトルと速度の角度が直角に近いほど、
勢いがある。
角運動量を変化させるのが、力のモーメント
152
角運動量の方程式と運動方程式の比較
dL
N
dt
力のモーメントで
dp
F
dt
p  mv
力が働くと、
速度が変化
回転の勢いが
変化
153
角運動量保存則
もし質点にかかっている
力のモーメントが0なら、
dL
0
dt
角運動量
L
dL
N  rF
N
L  r  mv F
dt
m
r
O
は一定になる。
クイズ: スケーターが回転している間に、
広げていた腕をひきつけると、回転速度はどう変わるか?
まとめ
力のモーメント
N  rF
角運動量
F
ある点0の周り
O
L  mr  v
r
m
v
ある基準点Oの周り
O
r
m
注意点
・力のモーメントも角運動量もベクトル。
大きさだけでなくて方向・向きも指定する必要。
・力のモーメントも角運動量も「ある点の周り」。
基準点が違えば、力のモーメントや角運動量は
違ってくる。
dL
N
dt
力のモーメントをかけると、
角運動量が変化する。
155
剛体を考える前に、
多重積分を説明する。
156
多変数の積分を考える前に。
1変数の積分は高校で勉強した通り。
F ( x)   f ( x)dx
dF ( x)
 f ( x)
dx
y  f (x)
傾き
g’(x0)
y=g(x)
x1

x2
x1
x2
x
f ( x)dx
積分は図形的には、
面積を表す。
x0
x
微分は図形的には、
傾きを表す。
157
多変数の積分を考える前に。
1変数の積分は高校で勉強した通り。
F ( x)   f ( x)dx
dF ( x)
 f ( x)
dx
y  f (x)
傾き
g’(x0)
y=g(x)
x1

x2
x1
x2
x
f ( x)dx
積分は図形的には、
面積を表す。
x0
x
微分は図形的には、
傾きを表す。
158
復習
偏微分:2変数以上の関数である1つの変数について微分する。
p( x, y )
 q ( x, y )
x

x
:xについて微分する。(yを一定とみる)
「偏微分」と呼ぶ。
図形的には、z=p(x,y)の関数を、
y一定の断面で見た時の、傾き
z
y
x
159
次に多変数の積分を定義します。
160
2変数の積分
F ( x, y )   dy  dx f ( x, y )
2段階で定義。
g ( x, y )   dx f ( x, y )
F ( x, y )   dyg ( x, y )
g ( x, y )
 f ( x, y )
x
F ( x, y )
 g ( x, y )
y
順番に積分すればよい。
大部分の場合は積分順序によらないので、
積分しやすい方を先にすればよい。
z=f(x,y)
図形的には、曲面z=f(x,y)の下の体積
次のページに詳しい説明。
y
x
161
積分の幾何学的意味
y=f(x)
y
1変数の積分:曲線の下の面積
 f ( x)dx
x
0
図のような微小な幅の帯を考えると、
幅がdx, 高さがf(x)。
これの和が積分なので、面積に対応する。
f(x)
dx
2変数の積分:曲面の下の体積
 dx  dy f ( x, y)
f(x,y)
dx
次のページに例。
dy
162
重積分の例
d
a
c
I   dx  dy f ( x, y )
f ( x, y )  x sin y
3
1
b
の場合

1

I   dx  dyx sin y   x dx  2 dy sin y
0
2
0
3
3
0

 x4 
1
1
2
   cos y 0   1 
4
4
4
0
2変数の積分:曲面の下の体積
f(x,y)=xyのグラフ
y
f(x,y)
dx dy
問題
z=xy, xy平面、x=a, y=bで
x
囲まれる立体の体積を求めよ。(a>0, b>0)
特に、a=10, b=10の時、体積はどうなるか?
辺の長さが10,10,100の直方体の何パーセントの体積か?164
重積分の例題(演習でやります
  f ( x, y)dy
以下の関数に関して、 dx
(1)
を求めなさい。
f ( x, y )  3 x  1
165
ギリシャ文字
「割合」に使うことが多い。
 ロー 密度 kg/m3
ω
θ
φ
オメガ 角速度 rad/s
シータ
ファイ
角度
rad
 弧の長さ
 
r
半径
166
ここから物理にもどる。
剛体とは。
慣性モーメント
167
剛体とは
教科書
p.65
大きさを持った物体。
しかし、変形、膨張圧縮はしない。
形や体積は一定。
(形や体積が変わる場合は、
弾性体力学や流体力学で考える。)
質点の集まりと考えればよい。
168
質点系の角運動量
質点の角運動量は、
L  r  mv
質点系の場合、質点miの位置、速度をri, viとして、
L
r
i
 mi v i
i
質量が連続的に分布している場合は積分で置き換える。
 ( x, y , z )
L   (r  v )  ( x, y, z )dxdyd z
密度:単位体積中の
質量。
dz dy
dx
r
o
169
v
記号の説明
N
a
i 1
r
i
i
 シグマ
和(たし算)
 a1  a 2  a 3    a N
 mi v i
 r1  m1v1  r2  m 2 v 2  
i
質点1
質点2
質点系
剛体の角運動量
L
質量が連続的に分布している場合は
積分で置き換える。
r
i
 mi v i
i
質量=密度×体積
L   (r  v )  ( x, y, z )dxdyd z
密度:
単位体積中の
質量。
 ( x, y , z )
dz
o
r
dx
dy
171
 ( x, y , z )
の意味
場所(x,y,z)によって値が違う。
1変数だとf(x)など。
例:人間は場所によって密度が違う。
頭は密度が高い。
手は密度が低い。
172
角運動量に戻ると、
角速度ωで回転している、物体の角運動量は、 (質点の場合)
密度をρとして、
L  r  mv
v  ω r
L   (r  (ω  r )) dxdydz
(以前やった)
問題 r=(x,y,z), ω=(ωx,ωy,ωz)を使って、
角運動量は以下のように書けることを示せ。
L  Iˆω
 I xx

ˆ
但し、
I   I yx
 I zx
2
2
I xx   ( y  z ) dxdydz 
I xy    xydxdydz
I xy
I yy
I zy
I xz 

I yz 
I zz 
^:ハットと読む。
173
補足:行列とベクトルの積
 b1   A11
  
 b2    A21
b   A
 3   31
A12
A22
A32
A13  d1 
 
A23  d 2 
A33  d 3 
b  Ad
 A11d1  A12 d 2  A13 d 3 


  A21d1  A22 d 2  A23 d 3 
A d A d A d 
32 2
33 3 
 31 1
174
教科書p.71
角運動量の続き
 I xx
ˆI   I yx

 I zx
前問より、
L  Iˆω
I xx   ( y  z ) dxdydz
2
2
I xy
I yy
I zy
I xz 

I yz 
I zz 
I xy    xydxdydz
対角成分を慣性モーメントと呼ぶ。(非対角成分は、慣性乗積)。
慣性モーメント
慣性モーメントを書き換えると、
I   r dm
2
rは軸までの距離。
例えばIxなら、x軸までの距離は、
r2=y2+z2
dmは質量の微小部分
176
慣性モーメントが大きいと、
・回し始めは回りにくい。
・いったんある速度で回ると、止まりにくい。
微小部分とは
数学的には、
x
dx
(デルタx) xの差(有限)
difference of x
x  x2  x1
(ディーx)
微小の(無限に小さい)x
differential of x
図に描くときは、dxは有限の大きさで書く。
(無限に小さいと見えないため。)
dx
x   dx
x
微小部分をたくさん加えると、
全体の長さになる。
いろいろな微小部分
dx
長さの微小部分
x   dx
微小部分dxの和は、全体の長さ
曲線の場合も同様
ds
s   ds
微小長さの和は、曲線全体の長さ
面積の微小部分
S   dS
surface
曲面の面積は、
微小面積dSの和。
体積の微小部分
V   dV
微小体積をたくさん加えると
全体の体積になる。
volume
質量の微小部分
微小質量をたくさん加えると、
全体の質量になる。
m   dm
1次元
dx
dm  dx 
線密度(単位長さ当たりの質量)
2次元表面なら、
dm  dxdy

面積密度(単位面積当たりの質量)
3次元の立体なら、
dm  dxdydz

密度(単位体積当たりの質量)
剛体の運動
重心の運動以外に、「回転」を考える必要がある。
力のモーメント
dL
dt
N
N  rF
角運動量Lは、剛体の場合は、
前回の計算より、
L  Iˆω
行列
Iˆ
F
m
r
ω 角速度ベクトル(回転ベクトル)
の対角成分が慣性モーメント。
慣性モーメント
I   r 2 dm
dmは質量の微小部分
rはdmから軸までの距離。
軸が大事。
180
同じ剛体でも、軸が違えば、慣性モーメントが違う。
角運動量と角速度の違い
dL
N
dt
力のモーメント
角運動量
L  Iˆω
N  rF
F
m
r
ω 回転ベクトル
181
慣性モーメントを求めてみよう。
182

慣性モーメント I  r 2 dm rは軸までの距離。
dmは質量の微小部分
ある軸の周りの回転しにくさを表す量
問題 質量M、長さ2ℓの細い一様な棒の、
図の軸(中心を通る)の周りの慣性モーメントを求めよ。
2ℓ
教科書p.71
183
慣性モーメント続き
(重積分)
問題 質量Mの長方形の板ABCDがあり、
AB, BDの長さはそれぞれ2a, 2bであるとする。
A 2a
M
C
B
2b
D
(a) 長方形と同じ面内で、AB, CDの中点を通る軸の周りの
慣性モーメントを求めよ。
(b) 中心を通り、長方形に垂直な軸の周りの
慣性モーメントを求めよ。
184
慣性モーメントの続き。
問題
教科書p.72
一般に慣性モーメント
I   r 2 dm
rは軸までの距離。
dmは質量の微小部分
を重心を通らない軸の周りで求めたいとする。
重心を通る軸(図)の周りの慣性
モーメントIGを使って、
I  I G Mb
2
(bは2つの軸間の距離)
と書けることを示せ。
これを使って、棒の端を通る軸の周りの
慣性モーメントを求めよ。
M
b
2ℓ
185
円筒座標をやる前に
復習をします。
1.三角関数の復習(高校数学)
2.2次元極座標の復習(高校の数学B)
3.円筒座標の復習(前期)
186
三角関数の
復習
高校の数学1,数学2
図のように、直角三角形を置く。
(角度φが水平からの角度、直角部分が右下)
水平の辺
cos  
斜辺
垂直の辺
sin =
斜辺
斜辺
φ
水平の辺
高校では、角度はθ(シータ)を用いたが、
後で極座標や円筒座標と比較するために、
φ(ファイ)を使っている。
垂直の辺
2次元極座
標
高校の数学Cの復習
質点の位置P(x,y)を2次元極座標(r,φ)で表す。
x  r cos 
y  r sin 
y
P(x,y)
r
r≧0
0≦φ<2π
高校ではθを使うが、
後の都合でφを
使っている。
0
φ
x
質問:なぜφの範囲を0からπにして、
rをマイナスも考えないか?
ぐるっと回った時に、
rがプラスからマイナスになるのは、
不連続な変化になってしまう。
rはずっとプラスにしておく。
y
0
x
2次元極座標、続き
r=一定の図形
y
半径rの円
x
0
φ=一定の図形
半直線
y
0
x
少し質点に戻って。。
円筒座標系
粒子と一緒に動く
座標系
191
教科書p.2の1-1図の右
z
質点の位置P(x,y,z)を円筒座標(r,φ,z)で表す。
円筒座標系
x  r cos 
y  r sin 
zz
φ(ファイ)
0
x
P(x,y,z)
φ r
Q
点P(x,y,z)のxy平面上への射影を
Qとする。
OQの長さがr, x軸からOQへの角度がφ
角度によく使う記号。
0≦φ<2π
問題 円筒座標系で、下記の条件を満たす点の集合は、
どのような面になるか。それぞれ3次元空間内に図示せよ。
(a)r=一定
(b) φ=一定 (c)z=一定
(注意:rはOQの長さ)
192
y
教科書p.2の1-1図の右
円筒座標
z
P
0

x
P(x, y, z)
y
r
Q
x  r cos 
y  r sin 
zz
y
xy平面
Q
r

O
x
193
円筒座標のイメージ
タワー型マンションは普通は直方体だが、
円形タワーマンションがあったとする。
何階に住んでいるか。-> z座標
円筒の外側には窓があり、
内側はエレベーターや廊下 -> r座標
ある階での部屋は放射状に作ると考えられる。
1101号室、1102号室、
-> φ座標
円筒座標の別イメージ
丸いピザを切るとき、
人数によって角度が違う。-> φ
円筒型のケーキで、
・上にはいちご、下はスポンジ
-> z
・外側はクリーム、内側はスポンジ
-> r
・切り分けるときに、どんな角度で切るか。-> φ
参考:3次元極座標(後期に詳しくやります。)
z
θ
0
x

P
P(x,y,z)
z
r
Q
r
Q
θ
y
O
y
y
Q
O

x
x
角度が2種類必要。片方がθ、もう片方がφ。
-> 円筒座標の角度φと同じ測り方。
rの取り方が違うことに注意。
極座標では原点からの距離。
円筒座標では、xy面上に射影してから、原点からの距離。
極座標は球対称な場を考えるときに使う。
例:電荷が球状に分布している場合。
196
円筒座標を使うメリット
・円運動、らせん運動、円筒の
対称性を持つ系
(例えば直線電流の周りの磁場)を
扱いやすい。
197
次に
円筒座標系の
基本ベクトルを求める。
(粒子が動くと、基本ベクトルも動く。)
198
基本ベクトルと
は
長さが1
お互いに直交する。
3次元なら3個
(2次元なら2個)
座標系によって、基本ベクトルが違う。
その座標系のベクトルを、
基本ベクトルを使って書く。
1) 直交座標
2) 円筒座標
3) 極座標 (後期にやります。)
直角座標系の基本ベク
トル
ex , e y , ez
x軸、y軸、z軸方向の単位ベクトル(長さ1)。
x, y, zがそれぞれ増える方向
z
成分で書くと、
e x  (1,0,0)
ez
e y  (0,1,0)
e z  (0,0,1)
ex
O
y
ey
終点
x
始点
ベクトルの始点(矢印の根元)を原点に置いた時の、
ベクトルの終点(矢印の先)の座標で表す。
動径ベクトル
r
radius vector
位置ベクトルとも言う。
r  xe x  ye y  ze z
z
ある原点Oからのベクトル。
P(x,y,z)
r
ez
ex
x
復習
O
ey
y
201
円筒座標系の基本ベクトル
x  r cos 
y  r sin 
zz
円筒座標系の基本ベクトル。
長さは1で、点Pにおいて、
er
e
ez
rが増える向き。
φが増える向き
P(x,y,z)
z
0
y
φ r
x
x軸、y軸、z軸は、
空間に固定されている。
注意:
e  点Pにおいて、r,zは
一定で、φが微小量だけ
増える向き。
zが増える向き。
問1:e r , e , e z を図示せよ。
問2: e r , e , e z のx,y,z成分が
右のようになることを示せ。
e r  cos 
e   sin 
sin 
e z  0 0 1
0
0
cos 
202
次に
円筒座標系の基本ベクトルの
時間微分を求める。
203
時間微分とは
d
dt
例
tで微分する。
differentiate with respect to t
f (t )  at  bt  c
2
df
 2at  b
dt
の時間微分は、
円筒座標系の基本ベクトルの時間微分
前の問題より、
e r  cos  sin 
e   sin 
cos 
0
0
z
0
x
e z  0 0 1
P(x,y,z)
ez
φ r
er
y
e
y
er
e r , e は方向が時間に依存する。
e r  e x cos   e y sin 
e
r
φ
x
de r 
  e を示せ。
問1.両辺を時間で微分して、
dt

d

d
e


問2 同様にして
を示せ。
  er
dt 205
dt
まとめると 基本ベクトルの微分は、
e
y
er
de r 
  e
dt
de
dt

  er
r
φ
x
d
ただし、 
dt

基本ベクトルは長さは常に1.
質点の位置によって、方向が変化する。
206
復習
ベクトルの表し方
1) 太い文字:
2) 矢印を上につける。
er
er
どちらの方法でもいいですが、ベクトルとわかるように書いて下さい。
時間微分の書き方: 上に点(・)を付けて表すことがある。
d
dt

d 2 d  d 
 2   
dt  dt 
dt


物理では時間微分がたくさん
出てくる。
207
次に
円筒座標系で、
速度ベクトルと加速度ベクトルを
求める。
208
速度と加速度
動径ベクトル r
速度ベクトル
復習パワポ
に対して、
dr
v
dt
加速度ベクトル
2
dv d r
a  2
dt dt
速度の意味:
ある時間に位置がどのくらい変化するか。
加速度の意味:
ある時間に速度ベクトルがどのくらい変化するか。
209
動径ベクトルの補足
復習パワポ
動径ベクトルは、原点から物体がいる点までのベクトル。
半径の方向と長さが
変わっていくイメージ。
物体
動経(動く半径)
と呼んでいる。
記号rを使う理由は、
英語でradius(半径)
のため。
原点
例:野球場でボールの場所を表すのに、
ホームベースを原点にして、ボールまでのベクトルを
210
動径ベクトルにする。
速度ベクトルの補足
復習パワポ
動経ベクトルがどう変化するか。
その瞬間の進む方向
r (t + t ) - r (t )
r (t )
r (t + t )
r (t + t ) - r (t )
v (t ) = lim
t →0
t
記号vを使う理由: velocity(速度)のため。
211
加速度ベクトルの補足
復習パワポ
曲線の場合
v(t + t )
v (t )
v(t + t ) - v(t )
v(t + t )
v(t + t ) - v(t )
a(t ) = lim
t →0
t
曲がる時は内向きの加速度
v (t )
(右折する時は、右向きの加速度)
記号aを使う理由: acceleration (加速)の頭文字。
212

de r 速度と加速度
  e
dt
前の問題より、

de 
  er
dt
e
y
r
φ
0
問題1:動径ベクトルは、円筒座標系で、
と書けることを説明せよ。
er
x
r  rer  ze z
問題2:速度ベクトル、加速度ベクトルに関して、



v  r e r  r  e  z e z

    
a  ( r  r  )e r   r   2 r  e  z e z



2
を示せ。
213
記号の注意
d

dt
2

d  d  d 
 2   
dt  dt 
dt

 
 d 
 
      
 
 dt 
 
2

2
2
214
直角座標の
動径ベクトル
r
radius vector
位置ベクトルとも言う。
r  xe x  ye y  ze z
z
ある原点Oからのベクトル。
P(x,y,z)
r
ez
ex
x
復習
O
ey
y
215
直角座標:動径ベクトルの2つの説明
r  xe x  ye y  ze z
説明1
成分を使う。
右辺=x(1,0,0)+y(0,1,0)+
x
z(0,0,1)
=(x,y,z) 左辺になる。
z
P(x,y,z)
r
ez
ex
O
ey
y
説明2
動径ベクトル(赤い矢印)
=黄色の矢印+ 緑の矢印 + 茶色の矢印
= xe x  ye y  ze z
216
注意
追加



v  r e r  r  e  z e z
第2項の微分に注意。
3つの積の微分
2つの積
3つの積
 fg  
 fgh 
f g  fg 
  fg h  fgh
f gh
217
円筒座標系の加速度がわかったので、
今度は運動方程式を書いてみる。
218
円筒座標系の運動方程式

    
a  ( r  r  )er   r   2 r  e  z e z



前問より
2
力も円筒座標で書く。
F  Fr er  F e  Fz e z
すると運動方程式の円筒座標系での各成分は、
2

m( r  r  )  Fr
この2つの式の意味を
これから考える。


m r   2 r    F




m z  Fz
 
219
円筒座標系の運動方程式からわかること。
r方向の運動方程式

2
m( r  r  )  Fr
左辺第2項を右辺に移すと、

2
m r  mr   Fr
遠心力
(高校の物理では、等速円運動を考えた。)
一般にはrは時間に依存する。
φが時間変化すれば、遠心力がある。
バスに乗っている時、カーブで外側に力を受ける。
洗濯機の脱水で、洗濯物は外側にへばりつく。
220
円筒座標系の運動方程式からわかること(2)
φ方向の運動方程式
    
m r   2 r    F


変形すると、
d  2 
 mr    F r
dt 


mr 2 
は角運動量(のz成分)になっている。
(次のページで詳しく見る)
221
角運動量
運動量
角運動量
p  mv
L  mr  v
(これは復習)
ベクトル積
問題 円筒座標で角運動量を書け。
222
まとめ
円筒座標で加速度を求めた。

2
m( r  r  )  Fr

 


m r   2 r    F



m z  Fz
ma  F
運動方程式
遠心力の項
d  2 
 mr    F r
dt 

角運動量と関係する。
問題 特に、平面運動(z=0)、半径が一定(r=a)の場合に、
上記の運動方程式がどうなるか、述べよ。
223
剛体の運動方程式を考える。
224
振り子の問題
ℓ
問題1:長さℓの糸の端に質量Mの質点を付けて、振り子にする。
M
a) 運動方程式は、糸の張力をTとして、
下記のように書けることを示せ。(円筒座標の加速度を使う)
2
 m   mg cos   T ,

m    mg sin 
b) 微小振動(φが小さい)の場合に、角度方向の運動方程
式(aの2つめの式)が以下のようになることを示せ。

g
  

d 
g
 
2

dt
2
または
c) bの運動方程式を解いて、φ(t)を求めよ。
振動の周期Tも求めよ。
225
剛体振り子の問題
2ℓ
φ
問題2 長さ2ℓ、質量Mの一様な棒の端を固定して、振り子にする。
a) 運動方程式が次のようになることを説明せよ。
(角運動量の時間変化=力のモーメントの式から出発する。)
d 2
I 2   Mg sin 
dt
Iは慣性モーメント。支点(棒の端)のまわり。
b) 微小振動の場合に運動方程式を解き、周期を求めよ。
c) 棒の支点のまわりの慣性モーメントを求めよ。
226
剛体と振り子の比較の問題
問題3 長さ2ℓ、質量Mの一様な棒の端を固定して、振り子にしたものと、
質量Mのおもりを、糸(長さ2ℓまたはℓ)の先につけた場合を
比べて、微小振動の周期の長い順に並べよ。理由も書くこと。
2ℓ
2ℓ
φ
ℓ
M
M
(1)
(2)
(3)
227
sin    (ほぼ等しい)
補足
説明その1
sin x
lim
1
x 0
x
φ
数Ⅲ
xが小さい時に、sin xとxはほぼ等しい。
説明その2
グラフを使う。
次のページへ。
sin   
グラフを使った説明
y
y=x
y= sin x
0
π
2π
x
・原点でsinxの傾きは1, 接線はy=x
229