物理学演習 IIA (物理数学 I) 問題 No.3

物理学演習 IIA (物理数学 I) 問題 No.3
2016 年 6 月 27 日
演習当日までに全問解いておくこと。
1. −∞ < x < ∞ で定義された関数
f (x) = e−a|x|
(a > 0)
(1)
dx f (x) e−iωx
(2)
を考える。
(a) フーリエ変換
∫
f˜(ω) =
∞
−∞
を求めよ。
(b) f (x) と f˜(ω) のグラフをそれぞれ描け。また, f (x) のグラフの広がり ∆x と f˜(ω) のグラフの
広がり ∆ω を比較せよ。
2. −∞ < x < ∞ で定義された関数
f (x) = e− 2 x
1
2
/a2
(a > 0)
(3)
のフーリエ変換を次のようにして求めよ。
(a) まず, 図のような複素平面上の閉曲線に対するコーシーの積分定理を使って,
∫ ∞
∫ ∞
2
−α(x+ib)2
dx e
=
dx e−αx
(α > 0)
−∞
(4)
−∞
が成り立つことを示せ。この式の両辺の積分は, 実数全体 −∞ < x < ∞ についての積分で
ある。また, b は任意の実数である。
(b) この結果を使い, 関数 (3) のフーリエ変換 f˜(ω) を求めよ。
Im z
ib
L
O
−L
Re z
3. 関数 f (x), g(x) のフーリエ変換を, それぞれ, f˜(ω), g̃(ω) とするとき, 次の関数のフーリエ変換を
求めよ。
f1 (x) = f (x − a)
(a は実数)
(b) f2 (x) = f (x) eiax
(a は実数)
(a)
(c)
f3 (x) = f (x)∗
(d) f4 (x) = f (x)g(x)
1
( ∗ は複素共役)
(5)
4. 3 次元空間で定義された関数のフーリエ変換は, 各座標についてフーリエ変換を行うことによって得
られる。つまり, 位置ベクトル r = (x, y, z) の関数 f (r) のフーリエ変換 f˜(k) (k = (kx , ky , kz )) は,
∫
f˜(k) = d3 r f (r) e−ik·r
(6)
で与えられる。ここで, d3 r = dx dy dz, k · r = kx x + ky y + kz z であり, 積分範囲は 3 次元空間全
体 −∞ < x, y, z < ∞ である。3 次元空間で定義された関数 (湯川ポテンシャル)
V (r) =
1 e−µr
4π r
(µ は正の定数, r =
√
x2 + y 2 + z 2 )
(7)
のフーリエ変換 Ṽ (k) を求めよ。(ヒント: k 方向に z 軸をとり, さらに r を 3 次元極座標 (r, θ, ϕ)
を使って表せ。結果は, k = |k| の関数になる。)
5. デルタ関数が次のように表されることを示せ。
2
2
1
√ e−x /ϵ
ϵ π
δ(x) = lim
ϵ→0+
(8)
(デルタ関数の定義の式
∫
∫
∞
∞
dx δ(x) = 1,
dx δ(x)f (x) = f (0)
−∞
(9)
−∞
を満たすことを示せばよい。)
6. (a) −∞ < x < ∞ で定義された関数
{
g(x) =
1
(|x| ≦ 1)
0
(|x| > 1)
(10)
のフーリエ変換は,
2 sin ω
ω
である (講義 §2.2 参照)。この結果とフーリエ逆変換の公式
∫ ∞
dω
g̃(ω) eiωx
(g(x) が x で連続なとき)
g(x) =
−∞ 2π
g̃(ω) =
を使って,
∫
∞
0
sin x
π
dx =
x
2
(11)
(12)
が成り立つことを示せ。 (b) 問 (a) の結果を使い, デルタ関数が次のように表されることを示せ。
δ(x) = lim
L→+∞
7. 関数 f (x) に対して, 積分
∫
I1 =
∞
−∞
∫ ∞
I2 =
−∞
dx δ(ax + b) f (x)
2
(13)
(a, b は実数, a ̸= 0),
dx δ((x − a)(x − b)) f (x)
を計算せよ。
sin Lx
πx
(a, b は実数, a ̸= b)
(14)
8. x = 0 で不連続な関数
{
f (x) =
x+1
(x ≧ 0)
x−1
(x < 0)
(15)
の微分 f ′ (x) をデルタ関数を使って表せ。(ヒント: まず, f (x) を階段関数 θ(x) を使って表せ。)
9. 3 次元空間のデルタ関数 δ (3) (r) は,
∫
d3 r δ (3) (r) = 1,
(16)
∫
d3 r δ (3) (r)f (r) = f (0)
(17)
によって定義される。ここで, r = (x, y, z), d3 r = dx dy dz であり, 積分領域は 3 次元空間全体
−∞ < x, y, z < ∞ である。デカルト座標を使うと, δ (3) (r) = δ(x)δ(y)δ(z) と表すこともできる。
このデルタ関数を使うと,
−
1
1
∆ = δ (3) (r)
4π r
(18)
が成り立つことを示したい。つまり, (16), (17) の中の δ (3) (r) を, (18) の左辺に置き換えた式が
∂
∂
∂
成り立つことを示したい。(18) の ∆ はラプラシアンであり, ナブラ ∇ = ( ∂x
, ∂y
, ∂z
) を使って,
√
2
2
2
∆ = ∇ · ∇ と表される。また, r = |r| = x + y + z である。
1
を求めよ。
r
(b) r =
̸ 0 のとき, (18) の左辺がゼロであることを示せ。
(a) r ̸= 0 のとき, ∇
この結果から, (17) の左辺の f (r) を f (0) に置き換えることができ, したがって, (16) が成り立て
ば, (17) も成り立つことがわかる。また, 積分領域を, 原点を含む任意の領域としてよいことがわ
かる。
(c) (18) の左辺を, 原点を中心とする半径 a の球の内部で積分し, ガウスの定理を使うことによっ
て, (16) が成り立つことを示せ。
3