[AMPキャピタル提供]英国 投票 EU 離脱派が勝利(PDF/350KB)

英国⺠投票 EU 離脱派が勝利
2016 年 06 月 27 日
英国が EU に留まることを徐々に織り込んできた⾦融市場にとって、48%対 52%で離脱派が勝利したことは⼤き
な衝撃となり、先週末は急激な「リスクオフ」の動きを引き起こしました。
Brexit(英国の EU 離脱)についての今回の国⺠投票の結果は、恐らく英国⼈の多くにとっても⼤きな衝撃であったと想定され、
⼀部の⼈々は、Bregret(ブレグレット:ただ単に権⼒者層に対する抗議を⽰したいがために離脱に投票を⾏ったものの、いずれ
にせよ残留が勝利するであろうと考えていた)を多少なりとも経験していると思われます。
リスクと不確実性
EU の離脱は、英国にとっていくつかのリスクを招くと考えられます。
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そもそも英国経済にとっては、悪材料です。英国財務省や経済協⼒開発機構(OECD)の推計によると、貿易および⾦融
セクターへの影響と、労働者の移動制限が英国経済にもたらす影響は今後 15 年間で 5%程度になる可能性があるとのこと
です。しかし、英国企業の EU に対する継続的なアクセスについて不確実性が⾼まることから、企業景況感への打撃が想定さ
れ、短期的に景気後退に陥る可能性があります。⾦融機関と在英グローバル企業の⼀部は、これらの不確実性を嫌気し
て、事業主体を他の EU 諸国に移転することも考えています。もちろん、英ポンド安によって、英国企業の競争⼒が増し、また
イングランド銀⾏(BOE)による⼀層の⾦融緩和政策が経済の下⽀え要因となることが想定されることから、英国経済に対
するマイナスの影響はある程度緩和される可能性はあります。⼀⽅で、キャメロン⾸相が 10 ⽉までに辞任することや、野党労
働党党⾸に対する責任論の⾼まり、EU 残留派が多数を占めるスコットランドの独⽴機運の再燃、北アイルランドの⼀部でア
イルランドとの統合を⽬指す勢⼒の台頭など、政治的な不透明感が重くのしかかると考えられます。
欧州にとっても、英国の EU 離脱は⼀部のユーロ圏諸国において英国に続こうとする勢⼒の追い⾵となり、ここ数年間で経験
した Grexit(ギリシャのユーロ圏離脱)に対する懸念と同様に、ドミノ効果を引き起こす懸念を⾼めると思われます。これによ
り投資家の間でユーロの崩壊懸念が⾼まり、⾦融市場の収縮が引き起こされる可能性が出てくると思われます。イタリアやスペ
インといった国に対してはプレミアムを要求する動きが始り、これらの国々にとって、リラやペセタを採⽤していた当時では通貨の
減価によって得られた利益が、ユーロでは得られないといったことが想定されます。
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欧州に対する不確実性の再燃は、2010 年から 2012 年に起こったユーロ圏の債務危機の際に経験したような世界経済の
成⻑に対するリスクをもたらす可能性もあります。短期的なリスクは、欧州における⾦融収縮を通じて引き起こされる可能性
が⾼く、安全資産への逃避の動きが活発になる場合は、今年の年初に⾒られたような世界経済の成⻑に対する懸念が再び
台頭すると予想されます。すなわち、中国からの資⾦流出に対する新たな懸念が⾼まることによる⼈⺠元の下落や、コモ
ディティ価格の下落と原油⽣産者に対するデフォルト懸念の再発、新興国が⽶ドル建て債務の⽀払いに⽀障をきたすのでは
ないかといった懸念です。
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Brexit は、既存の経済政策の枠組みに対する反発、特に経済的合理主義的な政策からポピュリズム志向へのシフトや、グ
ローバリゼーションの反転を勢いづかせる恐れがあり、世界経済の⻑期的な成⻑にとってマイナスとなりかねません。グローバリ
ゼーションからの逆⾏は、地政学的な不安定さを増幅させる可能性もあります。(例えば、ロシアのプーチン⼤統領は、
Brexit の⽀援者で、欧州が分裂し、弱くなることを望んでいるとする⾒⽅もあります。)とはいえ、もちろんその道のりは⻑いも
のとなるでしょう。
今週の EU ⾸脳会議において、欧州統合に向けた⼤きな進展はなさそうですが、今後の統合に向けた⽅向性を指し⽰す声明が
出される⾒込みです。
Brexit において移⺠問題が主な論点となったことを念頭に、昨年の移⺠問題の再発を防ぐための幅広い管理態勢についてより⼀
層重点を置いた議論になると思われます。欧州の今後の地政学的イベントにおいて、⽬先のカギとなるのは、10 ⽉に⾏われるイタ
リアの上院改⾰に対する国⺠投票です。これは、イタリアの経済改⾰を成功させるために必要な改⾰です。 来年には、オランダの
総選挙、フランスの⼤統領選挙が⾏われます。(ただ、フランス国⺠戦線のマリーヌ・ルペン党⾸に対する⽀持が落ちているのは興
味深いことです。)
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「次はどこの国か」といった連想ゲームが過熱すると、投資家のユーロ圏分裂に対するプレミアムを求める動きが⾼まり、イタリアやス
ペインの債券利回りは再び上昇することになるでしょう。先週はイタリア市場とスペイン市場において 10 年債利回りが上昇しました
が、各々1.55%、1.62%に上昇したに過ぎず、2011 年から 12 年の 7%以上の⽔準にはほど遠い状況です。ユーロ圏の維持
に向けた欧州中央銀⾏(ECB)の「どんなことでもする」というコミットメントによって、⾜元の⼤混乱が抑制されるという⾒⽅につい
ては、私は懐疑的に⾒ています。
欧州では、財政の圧迫も⾼まると想定されることから、ユーロ圏の銀⾏の株価について注意深く⾒ることも重要と思われます。
Brexit の本質は最⼩限主義です。今回の混乱は他のユーロ圏諸国に同様の決断をすることを思いとどまらせる強いシグナルにな
る可能性もあります。⽶ドル⾼が再び進⾏することは、世界経済にとって好ましいものではなく、中国やコモディティ市場、新興国の
問題を再びあぶりだすことになるでしょう。⼀⽅で、⽶連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを後ろ倒しにすることは、ドル⾼抑
制要因になると思われます。⾜もとの⽶国短期⾦融市場では、7 ⽉のと 9 ⽉の連邦公開市場委員会(FOMC)で、(10-
14%とはいえ)利下げの可能性を予想しており、(0%の)利上げの可能性を上回っていることは注⽬に値します。そして、年末
までに利上げする可能性については、たった 15%となっています。
結論
我々は、相場格⾔の「株は 5 ⽉に売れ」とあるように、過去からの経験則として困難な相場環境の真っ只中にいます。そして、Brexit が
さらに拍⾞をかけています。投資家にとってカギとなるのは、Brexit によってもたらされた短期的なノイズに的確に対応し、売られ過ぎの状
態になった市場において投資機会を追求することではないでしょうか。
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