発電所からの「石炭供給停止」通知 CIL の貯炭整理に影響

インド:発電所からの「石炭供給停止」通知 CIL の貯炭整理に影響
2016 年 6 月 30 日掲載
6 月 23 日付けの地元報道によると、石炭公社(CIL)は、坑口貯炭増に対応しているが、多数の石炭火力
発電所が、石炭会社に対して「石炭供給停止」通知を行い、影響を受けているとした。
国内の数箇所の石炭火力発電所は、CIL に対して、これ以上の石炭供給は不要であると訴えた。理由は、
発電所自体が大量の貯炭を抱え、電力需要の低下にて、発電会社は設備稼働率の低下を余儀なくされ、石
炭消費率も低下するとした。CIL は、現在の、坑口貯炭増と石炭引き取り量の低下傾向は、モンスーンに
よる降雨時期では珍しいとした。公式データによると、CIL の 5 月 31 日時点での坑口貯炭は 49 百万トン
(前年度同月比 13%増)。
CIL は、積極的に、引き取り量の増加を目指し、大規模消費者に対し、より大量の引き取りでは、奨励
金を提供し、その結果、貯炭量は、3 月 31 日時点 53 百万トンに対して、5 月末は 49 百万トンと僅かだが減少
した。しかし、CIL 幹部は、石炭火力発電所の石炭供給停止は、貯炭整理に大きな障害だとした。
「石炭供給停止」通知を行った石炭火力発電所には、国内最大規模の火力発電公社 National Thermal
Power Corporation (NTPC)、GMR 社、Haryana 電力会社、Uttar Pradesh Rajya Vidyut(UPRVUNL)
社、Damodar Valley 開発公社(DVC)が含まれる。中央電力庁 Central Electricity Authority は、インド
のピーク時の電力不足は、10%から 2%に低下、そして、2017 年までには、エネルギー余剰率は 1.1%、ピ
ーク時の余剰率は 2.6%とした。
石炭省幹部は、石炭火力発電所への石炭供給量の削減、同時に、坑口貯炭の増加は、CIL の生産目標の
下方修正を促すとした。正式ではないが、石炭省は、既に、CIL の 2016/2017 年の生産目標 605 百万トンを
550 百万トンへ下方修正を考えているという。2016 年末の坑口貯炭は 90 百万トンに到達すると予想。CIL に
は、現在の市況では難しいが、最低でも、2016 年販売引き取り量 660 百万トンの確保が必要とした。
(石炭開発部 辻
誠)
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