インド:電力会社 NTPC 社 石炭輸入を停止

インド:電力会社 NTPC 社 石炭輸入を停止
2016 年 5 月 26 日掲載
5 月 16 日付けの地元報道によると、最大手の電力会社 NTPC 社は、過去 10 年以上の輸入依存から脱却
し、本会計年度中は石炭輸入の停止を決定した。これは、国内の高い石炭生産能力と自社炭鉱からの供給
に対応したもの。
石炭公社(CIL)からの確実なる石炭供給保証を取り付け、NTPC 社は、2016/2017 年度、輸入契約は締結
しない。しかし、既契約分の少量の石炭は輸入する。
2015/2016 年度発電事業計画では、当初の石炭輸入量は 2,100 万トンであったが、年度中に 1,600 万トンに
削減された。しかし、CIL からの追加供給により、実績は 1,000 万トン以下となった。
石炭輸入停止は、NTPC に配分される石炭ブロックの生産が始まると、今後数年間続く可能性がある。
Pakri Barwadhi 石炭ブロック(Jharkhand の東地区)は、炭鉱開発業者(MDO)Thriveni-Sainik に譲渡さ
れ、2016 年末までには商業生産の予定。当該石炭ブロックからは、NTPC の火力発電所向けに 1,500 万ト
ン/年の安定供給が見込まれる。また Jharkhand の Kerandari 石炭ブロックの MDO を指定。当該石炭ブ
ロックからは、今後 2 年間以上約 600 万トン/年の石炭供給の予定。
輸入中止の他の要因には、2016 年 8 月~2017 年 3 月期、CIL のネット競売(多量販売、大消費者の需要
量に応じた長期間の先物競売も含む)の決定がある。CIL は当該期間で 7,900 万トン(電力部門に特別先物ネ
ット競売にて 6,300 万トン、電力部門以外にネット競売で 1,600 万トン)を提供する。石炭提供量は、2015/2016
年度の 5,800 万トンよりはるかに多い。当局は、ネット競売での増大する取引は、NTPC の様な消費者側と
炭鉱側にとって、互いにメリットがあり、炭鉱側には、炭価が届出価格より 10~20%高くなり、消費者側
の需要に対応し易くなるとした。
(石炭開発部 辻
誠)
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