演習4

複素関数論 第 4 回小テスト解答例
担当: 南
問. x ∈ R のときには | cos x| ≦ 1 が成り立つが、z ∈ C に対してはこれは成り立たない。
(1) | cos z| > 1 となる z ∈ C を一つ挙げよ。e = 2.718 . . . は使ってよい。このような z は無数
にあるが、自分の好きなもので、次問のためにも簡単なものを挙げるとよい。ただし根拠も記す
こと。
例えば z = i などが挙げられる。このとき
w = cos z =
e−1 + e1
≃ 1.543 > 1
2
(e = 2.71828 . . . ) である。
(2) 上問 (1) で挙げた z について、w = cos z とするとき、z と w をそれぞれ複素 z-平面、w-平
面上に記せ。
Im
Im
i
Re
cos i
z-平面
Re
w-平面
ちなみに、| cos z| ≦ 1 となるのは右図の陰をつけた領域であり、そ
れ以外では | cos z| > 1 が成り立つ。理由は以下の通り。z = x+iy
(x, y ∈ R) とすると [教科書 (6.10)]
2
1.5
1
0.5
eiz + e−iz
= cos x cosh y − i sin x sinh y
2
y
cos z =
0
-0.5
-1
したがって [教科書 (6.15)]
-1.5
-2
| cos z|2 = cos2 x + sinh2 y
-3π -2.5π -2π -1.5π -π -0.5π
0
0.5π
π
1.5π 2π 2.5π 3π
x
| cos z| = 1 のとき、
cos2 x + sinh2 y = 1
⇔
sinh y = ±
√
1 − cos2 x = ±| sin x|
ey = Y > 0 とおいて 2 次方程式を解くと (次式 2 つ目の符号の複号は Y > 0 より不適)
√
√
Y = ±| sin x| + 1 + sin2 x ⇔ y = ± Log(| sin x| + 1 + sin2 x)
最後の式が右上図の境界を表す。境界のうち虚部が最大 (最小) になるのは、上式で x = π/2 とお
√
いて y = ± Log(1 + 2) ≃ ±0.88137.