Economic Indicators 定例経済指標レポート

Market Flash
高利回り日本株
2016年6月22日(水)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・6月独ZEW景況指数は期待指数が+19.2と市場予想(+4.8)を上回り、5月の+6.4から大幅に改善。
現況指数も54.5へと1.4pt改善しており、楽観的な将来見通しが示された。もっとも、この指標は調査対象
が事業会社ではなく市場関係者であるため、金融市場の影響を過度に反映する難点があり、実際、GDP
との相関も強くない。この間の株価の上昇傾向が独景気を過大評価した可能性が指摘できる。
100
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
独
ZEW景況感指数
現況
期待
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成
15
16
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は小幅に続伸。イエレン議長の議会証言は材料視されず、英国のEU離脱観測が後退する下、
株式市場は買い優勢。WTI原油は48.85㌦(▲0.52㌦)で引け。
・前日のG10 通貨はJPYが最弱でそれに欧州通貨(DKK、EUR、NOK、SEK、GBP)が続いた。英世論調査の結果
を受けてリスク回避姿勢が後退するなか、調達金利通貨の売りが目立ち、USD/JPYは一時105を回復し、
EUR/USDは1.12半ばまで下落。
・前日の米10年金利は1.706%(+1.7bp)で引け。イエレン議長の議会証言は6月FOMCから1週間も経過し
ていないため、新味に乏しい内容で材料視されず。欧州債はまちまち。ドイツ10年金利が0.050%(▲
0.1bp)で引け、イタリア(1.447%、+1.5bp)、スペイン(1.505%、+2.6bp)、ポルトガル(3.168%、
+1.0bp)は小幅に金利上昇。3ヶ国加重平均の対独スプレッドはワイドニング。ドラギ総裁の議会証言は
材料視されず。
【国内株式市場・アジアオセアニア経済指標・注目点】
・日本株は欧米株高に追随できず、安く寄り付いた後、もみ合い。
・17日付けの筆者レポートで、日本株の配当利回りについて、その相対的な魅力が高まっていることを指摘
した。米10年金利が昨年末時点の2.3%から6月には一時1.6%へと水準を切り下げ、日本とドイツの10年
金利がマイナス圏に沈むのをよそに、TOPIXの予想配当利回りは年初来2.3%~2.7%で推移してきた。この
2%前半が如何に“高利回り”であるかを投資家サイドから説明すると、2%台前半の利回りを確保する
必要がある場合、米債であれば30年債までデュレーションを拡大する必要があり、10年債でクレジットリ
スクをとるならばイタリア、スペイン(1%台後半)では足らず、タイ、マレーシア、ポーランド、ポル
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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トガル(2%~3.5%程度)まで触手を伸ばす必要がある。
・こうした状況下、心強いのは日本企業の配当に対するコミットの強さ。予想EPSの下方修正が続いてい
るのに対して、予想一株配当(DPS)は頭打ち感こそでているが横ばいを維持しており、減配リスクが
意識されていない。ROE経営が意識される下、企業側は配当性向を高めることによって配当額を維持・
増加させようと努めており、それがアナリスト予想に反映されている。こうした傾向が続く下、債券の代
替投資先として、減配リスクの低い銘柄に資金流入の勢いが増しそうだ。
35
TOPIX 予想DPS
120
TOPIX予想EPS
110
30
100
90
25
80
70
20
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(備考)Thomson Reutersにより作成
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(備考)Thomson Reutersにより作成
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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