Column ご参考資料 「投資のヒント」 2016年6月10日 ※以下、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント提供のレポートをご紹介します。 テメル暫定政権下での金融政策とレアル相場の行方 ・ブラジル中銀は7会合連続で政策金利の据え置きを決定。上院はゴールドファイン中銀総裁の就任人事を承認。 ・市場コンセンサスでは9月会合以降の利下げ予想が大勢。ブラジル景気は徐々に最悪期を脱しつつある模様。 ・レアル相場は足元でレアル高方向に転じる。米ドル安基調の中で、ブラジル中銀はレアル高に対して静観姿勢。 ・テメル暫定政権では閣僚辞任などの混乱がありつつも、議会での財政健全化法案の審議は順当に進行。 図1:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率 ブラジル中銀は7会合連続で政策金利据え置き ブラジル中央銀行は6月7-8日(現地時間)の金融政策 16 委員会(COPOM)において、7会合連続で政策金利を 15 14.25%で据え置く決定を下しました(図1)。 14 COPOM声明文では、インフレ抑制に一定の進展がみら 2016年6月8日 14.25% 2016年末(予) 12.88% ブラジル中銀 政策金利 13 インフレ率 (IPCA、前年比) 12 れたとの認識が示されたものの、前年比+9.3%(2016年 11 4月時点)となお高水準なインフレ率や、先行きのインフレ 10 期待がインフレ目標を上回っていること(2016年末のイン (%) 2017年末(予) 11.25% 2016年4月 +9.3% 9 2016年末(予) 8 フレ率の予想コンセンサスは前年比+7.1%)などを考慮し 7 て、金融緩和が見送られました。 6 +7.1% 2017年末(予) インフレ目標(上限) +5.5% 5 市場コンセンサスは9月以降の利下げを予想 また、ブラジル上院は6月7日、イラン・ゴールドファイン 4 インフレ目標(中心) 3 13 氏の中銀総裁への就任人事を承認しました。次回7月 14 15 16 17 (年) (出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院(IBGE) (期間)政策金利:2013年1月1日~2016年6月8日 拡大消費者物価指数(IPCA):2013年1月~2016年4月 (注)政策金利およびIPCAの点線は市場コンセンサス(6月3日時点) 19-20日のCOPOM以降、ゴールドファイン新総裁のもとで の金融政策運営がなされる予定です。 ブラジル中銀集計の市場コンセンサス(6月3日時点)に よれば、次回7月会合では政策金利が据え置かれた後、 図2:ブラジルの実質GDPの需要項目別寄与度分解 9月会合よりブラジル中銀が利下げに転じるとの予想が大 (前期比、%) 勢となっています。 3 ブラジル景気は最悪期を脱しつつある模様 2 足元のブラジルの景気動向は、2016年1-3月期の実質 1 GDPが前期比-0.3%と5四半期連続のマイナス成長と なったものの、輸出にけん引され経済成長率のマイナス幅 が縮小に向かっており、景気は徐々に最悪期を脱しつつあ る模様です(図2)。 もっとも、内需に目を転じると、民間消費や設備投資など は依然として低迷が続いています。今後、ブラジル景気が 回復局面に移行するには、インフレ鈍化に伴う金融緩和 やテメル暫定政権の各種政策対応によって、消費者や企 業のセンチメントが改善に向かうことが必要と考えられます。 0 ‐0.3% ‐1 ‐2 ‐3 その他 純輸出 総固定資本形成 政府支出 民間消費 実質GDP ‐4 11 12 13 14 15 16 (年) (出所)IBGE (期間)2011年1-3月期~2016年1-3月期 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、 金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終 ページをご覧ください。 1/3 ご参考資料 図3:ブラジル・レアル相場の推移 レアル相場は足元でレアル高方向に転じる 4月中旬以降のレアル相場は、1米ドル=3.5~3.6レア ル前後のレンジで推移してきましたが、足元では再びレア ル高方向に転じています(図3)。6月8日には、レアルの対 米ドル相場は1米ドル=3.3レアル台へレアル高が進み、 (円) (レアル) 2.5 2016年5月12日 テメル暫定政権発足 3.0 50 45 対米ドル相場(右軸) 40 3.5 35 4.0 対円相場も1レアル=31円台後半で推移しました。 ブラジル中銀はレアル高に対して静観姿勢 レアル高 30 4.5 足元でのレアル高進行の背景として、米5月雇用統計公 表後の米ドル安基調の中、ブラジル中銀がレアル高に対 して静観姿勢を採っていることが挙げられます。 2016年4月~5月の局面では、ブラジル中銀は1米ドル =3.5レアルを超えるレアル高が進行した際、リバース通 対円相場(左軸) レアル安 25 5.0 15年1月 15年7月 16年1月 16年7月 (出所)ブルームバーグ (期間)2015年1月1日~2016年6月8日 図4:レアル相場とブラジル中銀の為替介入動向 貨スワップ(先物市場での米ドル買い)介入によってレアル (10億米ドル) 高を抑制する傾向が見られました。しかし、ブラジル中銀 16 は5月18日を最後にリバース通貨スワップ介入を停止して 14 おり、足元の1米ドル=3.5レアルを超えるレアル高に対し 12 て容認する姿勢を示しているとみられます(図4)。 10 先物市場での米ドル買い介入 によりレアル高を抑制 3.4 1米ドル=3.5レアル 3.5 3.6 レアルの対米ドル相場(右軸) 8 政治動向も引き続きレアル相場を左右する要因に 6 3.7 3.8 レアル高 リバース通貨スワップ 介入実施額(左軸) テメル暫定政権を巡る政治動向も、今後のレアル相場 4 の方向性を左右する要因となりそうです。テメル暫定政権 2 では5月12日の発足後、汚職捜査に対する妨害容疑など から2閣僚が辞任するなどの混乱がみられつつも、議会で 0 3月1日 は順当に財政健全化策の審議が進められています(図5)。 (出所)ブルームバーグ (期間)2016年3月1日~6月8日 3.9 4.0 レアル安 4.1 3月21日 4月8日 4月28日 5月18日 6月7日 図5:テメル暫定政権発足後の主な出来事 6月8日には、下院が税収の3割を社会保障や年金支出 などの義務的支出に割り当てる予算ルールを解消する憲 (レアル) 3.3 日付 テーマ 5月12日 人事 テメル暫定大統領の就任と閣僚人事公表 進める裁量を手にするほか、他の財政健全化策の議会審 5月20日 財政 テメル暫定政権が2016年の修正財政目標の公表 議にも追い風となると期待されます。 5月23日 汚職 汚職捜査の妨害疑惑からジュカ企画相が辞任 5月24日 財政 テメル暫定大統領が財政健全化策を公表 5月25日 財政 ブラジル議会が2016年の修正財政目標を承認 後に最終投票が実施される模様です。6月8日時点のエ 5月30日 汚職 シルベイラ汚職対策担当相が辞任 スタード紙調査では、81名の上院議員のうち、37名が弾 6月7日 人事 上院がゴールドファイン中銀総裁の就任人事を承認 6月7日 汚職 ジャノー検察庁長官によるブラジル民主運動党 (PMDB)幹部4名への逮捕請求が明らかとなる 6月8日 財政 下院は義務的支出削減のための憲法改正案を承認 法改正案を承認しました。今後、同改正案が上院で最終 的に承認されれば、テメル暫定政権は柔軟な財政政策を 注目されるルセフ大統領の弾劾裁判の行方 また、上院でのルセフ大統領の弾劾裁判は8月15日前 劾に賛成、18名が反対の意向を示しています(残り26名 は無回答・未決定)。大統領の弾劾成立には上院議員の 3分の2(54名)以上の賛成が条件となります。 主な出来事 (出所)各種報道 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、 金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。当資料のお取扱いについては最終 ページをご覧ください。 2/3 ご参考資料 【 ご留意事項 】 ● 当資料はレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが 投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではあり ません。 ● ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判 断ください。 ● 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益 は全て投資者の皆様に帰属します。 ● 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ● 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ● 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ● 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開 発元もしくは公表元に帰属します。 当資料は、レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社の情報を基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 3/3
© Copyright 2024 ExpyDoc