知識は、行動で初めて理解になる

I NTERVIEW # 3
知識は、行動で初めて理 解になる
キャップスクリニック代官山 T-SITE 院長
白岡 亮平
年中無休の小児科クリニックを立ち上げたこと。立ち上げたからこそ実感できたこと。
白岡亮平さんの志と学びには、医療への大きな思いと温かな思いがあります。
慶應義塾の
Web サイト内で
より詳しい内容を
掲載しています。
広い視野を持ちたい、
というポリシー
医療の常識は、患者さんの常識ではない
私は、大学卒業後の初期臨床研修を総合病院の小児科で行
最初の頃は、私たちが当たり
いました。そのときに、一般外来から救急外来までが一緒に受診
前だと思っていたことが相 手
されているような状況を見て、医療の役割分担を明確にしたほう
にとっては新しいことで、話を
がいいと思ったんです。総合病院は高度な医療を含めたニーズに
する中でギャップができてしまう
しっかりと応える、クリニックは地域の人々にプライマリ・ケアを
こともありました。医療の常識
きちんと提供するということです。
プライマリ・ケアというのは、疾患の
は、患者さんにとっての常識で
程度を判断するとか、健康を維持するためのアドバイスをするとか、
はないということを、医師がど
医療の入口の部分です。
そこの質を高めていきたいという思いから、
れだけ知っているかが大事なんだという学びでした。
365日診療を行うキャップスクリニックを開設しました。
心がけているのは、共感する態度です。
お父さんお母さんは子ども
私には、学生時代から、広い視野を持ちたいという一つのポリシー
のために一生懸命ですから、
「 大変でしたね」、
「がんばってますね」
がありました。全学部の学生が集まるテニスサークルに入っていた
といった共感の言葉をかけるようにしています。
そうすると、伝えたい
のも、そういう思いからなんです。
そうすることで、医師や医学生が
ことも受け止めてもらえるし、いいコミュニケーションが成り立つん
世の中からどう見られているかがわかるので、そういう感覚をずっと
ですね。
わかっていたはずのことが、たくさんの人と接する中で実感
持っていたくて。ですから、慶應義塾が総合大学であるというのは
に変わりました。知識というのは、それに伴う行動や体験があって、
大きな強みだと思います。いろんなバックグラウンド、いろんな志を
初めて理解につながるんだと思います。
持った人たちと一緒に学び合える、さまざまな分野のことを知って、
情報交換ができる環境というのはとても刺激的です。
クリニックの
立ち上げを決断できたのも、“ 医療は一般社会の一つの機能。今
後の発展のためには、他の分野とも連携していかなくてはならない”
という視野を持てたからだと思っています。
(インタビュー:2016 年 1 月)
白岡 亮平 Ryohei Shiraoka
2004 年、慶應義塾大学医学部卒業。2012 年のキャップスクリニック西葛西を皮切
りに、都内に 365 日・年中無休の 4 つの小児科クリニックを開院。院名のキャップス
(CAPS)は Child And Parent Support の略で、子どもも家族もサポートする医療
という思いが込められている。医療法人ナイズの理事長も務める。
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