校内研修COMPANY

〈5月9日版〉
平成28年度 研究全体計画
村上市立朝日みどり小学校
<研究主題>
学び合うことのよさに気付き,学びを深める児童の育成
~どの子も「分かった」「できた」が実感できる授業を目指して~
1
研究主題について
(1)児童の実態
当校では,
「あたたかい心つくりだす力」を教育目標として掲げている。今年度の知育の重点目標を
「学び合う子」として,言語活動と体験活動の充実で一人一人の学びを保障した一人一人を伸ばす授業
改善に取り組んでいる。
自分の考えをもつことができる児童が多く,基礎的な知識・技能の習得はよい。さらに,教えたこと
は素直に聞き,実践しようとする姿勢が見られる。しかし,学習態度に受動的な部分があり,自ら課題
を解決しようとする意欲がやや低い。また,友達の考えを聞いて自分の考えを見直したり,友達と考え
を交流し合いながら考えを深めたりする学習が苦手である。
これらのことから,主体的に学習課題に取り組もうとし,友達と関わり合って学習する児童を育てる
ことが大切であると考えた。
(2)昨年の実践
昨年度は「筋道立てて考え,学び合う児童の育成」を研究主題として,算数科を中心に研修を進めて
きた。昨年度の研修を通して,教師の指名の意図を明確にし,発表のさせ方を工夫することで児童の主
体的な関わりがうまれることや,考えのポイントや児童のつぶやきを吹き出しに書くことで視覚的に授
業のポイントが分かり,授業のまとめや振り返りに役立つことが分かった。
一方で,話し合わせる内容を焦点化すること,児童の実態を理解し,児童の発言を生かした授業を組
織することなどが不十分であった。
そこで今年度は研究主題を「学び合うことのよさに気付き,学びを深める児童の育成」として,学び
合いの充実を図る。学び合うことを通して,友達の考えを取り入れながら自分の考えをよりよくしたり,
自分の考えの根拠をより確かにしたりする児童を育てたい。学び合いを充実させるには,まず追究する
必然性を感じられるように,児童のもつ問題意識を焦点化して学習課題を設定する。そして,どの子も
学び合いに参加することができるように,ペアやグループなど学習形態を工夫しながら考え方や答えを
確かめ合う場面を設定する。全体で考えを交流する場面では,どの子の学びも深まるように一つ一つの
考えを大切にしながら指名する順番を工夫したり児童同士の発言をつなげたりする。
(3)教育動向から
次期学習指導要領では,アクティブラーニングの視点から授業改善に取り組み,主体的,対話的な学
びの過程を実現することが求められている。
また「障害者差別解消法」が施行されたことにより,今後,障害の有無に関わらず,すべての子ども
が地域の学校に就学し,通常学級で学ぶ子どもが増えることが予想される。そこで,どの子も「分かる」
「できる」を実感できるように授業のユニバーサルデザイン化が求められている。
〈5月9日版〉
2
目指す児童の姿
当校では,1時間の授業を4つの過程としてとらえ,それぞれの過程で目指す児童の姿とその姿に迫
るための具体的な方策を次のように整理している。
3
指導過程
目指す児童の姿
つかむ
見通す
課題をとらえ,解決への見通
しをもつ子
確かめる
自分の考えの根拠を明らかに
しながら表現する子
深める
友達との考えの違いや自分の
考えのよさに気付く子
振り返る
学習の深まりが自覚できる子
具体的方策
・既習事項と関連付けた提示の工夫
・追究意欲を高める課題設定の工夫
・説明パターンやキーワードの提示
・図や式,表,グラフなどを使った算数的活動
・補助教材の準備
・学習形態(全体・グループ・ペア)の工夫
・児童の考えを比べやすくする工夫
・児童を関わらせるための教師の働き掛けの工夫
・振り返りを書く条件の提示
・適用問題や発展問題の設定
研究内容
全職員による授業実践による研究方法を取りながら,「深める」過程の児童同士の学び合いを充実さ
せることに重点を置く。主題に迫るために次の3点について工夫する。
①児童のもつ問題意識と本時のねらいがつながるように学習課題を設定する。
(「つかむ・見通す」
)
児童は教師の提示した問題が既習事項と違う場合,既習事項をいかして問題を解こうとする。そこで
児童がどのような問題意識をもつかを予測する。児童の問題意識と本時のねらいにつながる学習課題を
設定することで,児童が学習課題を理解しやすくなると考える。そのために,教師は児童の発言に注意
深く耳を傾け,その発言がどの子も分かる言葉でなされているかを確認するように心掛けたい。
②友達と答えや考え方を確かめ合うために学習形態を工夫する。
(「深める」
)
学習課題が示された後,児童はまず自分の力で課題を解決しようとする。そして,自分は答えが合っ
ているだろうか,友達はどのように考えていて,自分の考えと同じ人はいるのだろうかといった思いを
もつ。その思いを満たすことが,どの子も学び合いのスタートラインに立つことにつながると考える。
学び合いに取り掛かりやすいように,学習形態を工夫して答えや考え方を確かめ合う場面を設定する。
どのような学習形態をとるかは,学級の実態や本時の学習内容によって柔軟に対応したい。
③どの子の学びも深まるように,指名の順番を工夫したり児童同士の発言をつなげたりしながら全体で
考えを比較検討する。
(
「深める」
)
学び合いの場面で自分から手を挙げられる児童ばかりではなく,教師が意図的に指名することで自分
の考えを表現できる児童もいる。学び合いは,自分の考えがもてなかった児童にとっては,友達の考え
方を自分の考えに取り入れる機会であるし,自分の考えがもてた児童にとっては,友達と考えを比べる
ことで自分の考えのよさを再確認する機会である。考えを比較検討する場面では,友達の考えを説明す
る機会,考えの共通点や相違点,より速く,簡単,正確にできる考えを探したりする機会を設定する。
どの子も表現しやすい雰囲気づくりを心掛け,児童同士の発言をつなげる働き掛けを工夫する。