研究のグランドデザイン 【研究テーマ設定の6つの視点】 【時代の要請】 ・生き抜くことが難しい社会。 ・様々な子供をめぐる問題。 ・やる気がない・自信がない ・楽しくない →中平の子供たちにも見られる。 【子供の実態】 ・様々な困難さを抱えている子供が多い。 ・みんなの前でなかなか表現できない子供 も多い。 ※H25年度 CRT 結果(算数) 【子供の願い】 ・何でもできるようになりたい。 ・何でも分かるようになりたい。 【保護者の願い・思い】 ・自信・個性・成長・楽しく ・子供が大切にされているか 【職員の願い・思い】 ・一人一人の個性を大切にしたい。 ・どの子もみな伸ばしていきたい。 ・全員に自信をつけさせたい。 【中平小を取り巻く現状】 ・算数は3年生以上加配 ・支援員1名 ・中学校は町に1校,高校は町外。 ・盛んな地域の行事(地域の力) ほとんどの学年・領域で全国平均を下回る。 【本校の教育課題】 ●学ぶ意欲が持続しなかったり,学習内容が定着しなかったりする子供が見られる。 ●何事にも自信をもって取り組んでいけるようになる必要がある。 【目指す子供像】 ◎進んで粘り強く学習に取り組む子供(学習意欲の高まり) ◎学習内容を確実に身に付ける子供(学習内容の定着) ◎自信をもって活動に取り組む子供(自己肯定感の高まり) 【目指す教育の方向】 みんなにとって 「分かりやすい」「安心感のある」「活躍ができる」 学びの場 特別支援教育 【研究テーマ】 授業のユニバーサルデザイン化を目指して ~算数科授業における実践~ 【研究内容】 <学習指導> ◆授業のユニバーサルデザイン化 のための5つの場面 ◆授業のユニバーサルデザイン化 のための8つの心がけ <実態把握> ◆アセスメント の在り方 <環境構成> ◆教室環境づくり ◆チーム支援体制づくり ◆学び合う集団づくり 授業のユニバーサルデザイン化の具体化 ○ 学習指導 ◆ 授業のユニバーサルデザイン化のための5つの場面(ポイント⑤) 授業のユニバーサルデザイン化のための5つの場面(ポイント⑤)は,授業実践を 積み上げていく中で,本校なりに見出したものである。各学習過程に設定した5つの 場面を具体化したものは,次のとおりである。 つかむ 見通す 見つける 深める まとめる・身に付ける ア ポイント① 学ぶ意欲を高める導入場面 (ア) 学習課題設定の要件 導入時に提示する学習課題を設定する際の5つの要件を見出した。この5つの 要件をできるだけ満たしていくような学習課題を設定することで,子供たちが意 欲的に取り組むことができると考えた。 物 語 性 キャラクターを登場させ,展開,終末においても 子供や教師と対話させながら,ストーリー展開させ ていく課題。感情移入しやすい低学年に有効。 遊 び 性 操作活動やゲーム的な要素を取り入れた課題。 全身を使い,子供は遊んでいるという感覚で 活動しながら,めあてへと焦点化していく。 困 難 性 難易度を下げて,課題に対する抵抗感をなく したり,難易度を極端に上げて,探求心をかき 立てたりして,困難さを調整して提示する課題。 最初に難易度の低い課題を提 示。後で数を増やして抵抗感を 高め,めあてへと焦点化した。 多 様 性 多様な考えが表出されやすい課題。意見交流の 活発化につながり,学び合うことのよさを実感す ることが期待できる。 分数と小数のどちらに直した方がよ いか,二者択一させ,その理由につい て尋ね,多様な意見を引き出した。 関 連 性 教科内外での既習内容や身近な事象を扱った 課題。過去の学びや生活経験を結び付けて考え, イメージが共有されやすい。 生活科で拾ったどんぐりの問題。 既習の 12-2 から,本時の課題のく り下がりのある 12-9 へ。 1年生の授業。 子供と対話させ ながら,授業を進 めていった。 「円と球」の導入。輪投げを しながら,位置によって距離に 違いがあることに気付かせた。 (イ) 既習内容をふりかえる活動の設定 前時の学習内容の重要事項を確認させたり,復習問題に取り組ませたりする。 授業開始時のレディネスをそろえるときに有効で,本時の学習内容や子供の実態 に応じて設定する。 5年生の実践。 授業の最初に,前 時の内容をおさ え,導入がスムー ズに流れるよう にした。 つかむ 見通す 見つける 深める まとめる・身に付ける イ ポイント② 見通しをもつ場面 授業の流れや解決方法を確認し,板書に示して視覚化することで,今後の活動や問 題解決への見通しをもたせ,さらに意欲的に活動に取り組めるようにした。 (ア)授業の流れを提示 授業の流れを黒板に提示する。今後の活動の見通しをもたせる。 (イ)解決方法の提示 問題解決の方法について話し合い,板書する。問題解決の見通しをもたせる。 2年生の実践。 「授業 の流れ」 「解決方法」を 視覚化している。 授業の流れ 解決方法 つかむ ウ 見通す 見つける 深める まとめる・身に付ける ポイント③ 自分に合った学び方を選択する場面 一人一人の学び方は違う。得意な学び方を活用できるように,複数のアプローチの 中から選択できるようにすることが重要である。その際,教師が与えるのではなく, 活動の主体である子供自身が選択できるようにした。 ブロックを用い て,操作活動を行 いながら,課題の 解決を図ろうとす る子供たち。 友達と語り合い ながら,解決を図 ろうとする子供 たち。 ノートに図や言葉 に表しながら解決を 図ろうとする子供。 ワークシートを手掛かりに解決を図ろうとする子供たち。 ヒントコーナーを設置したり,ワークシートを準備したり して,子供自身が選択して活用できるような場をつくった。 つかむ エ 見通す 見つける まとめる・身に付ける ポイント④ 友達と学び合う場面 ペア,グループ,全体での話合いなど,それぞれの学び合いのよさを踏まえた上で, 子供の実態や学習内容に応じて,意図的に設定していく。友達と学び合う過程を通し て,思考力・判断力・表現力を発揮させながら,学習内容のより一層の定着を図って いけるようにする。そのために,一人一人の活動量を確保し,できるだけ全員が参加 できるような手立てをとるようにした。発表や報告で終わるのではなく,それぞれの 考えや活動の価値付けまで行うと,学び合うよさを実感することにつながると考える。 グループで学び合うよさ ペアで学び合うよさ ※ ※ ・短時間で伝え合うことができる。 ・気軽に伝え合うことができる。 ・確実に表現することができる。 ・ つかむ オ 深める 見通す みんなで学び合うよさ ※ ・自分の意見を出しやすい。 ・気軽に話し合うことができる。 ・意見をまとめることができる。 見つける 深める ・多様な意見を聞くことができる。 ・一体感・所属感を得られる。 ・全体で考えを共有できる。 まとめる・身に付ける ポイント⑤ 自分のよさ・のび・がんばりを味わう場面 ※ 本時のまとめは,めあてに対応するように留意した。また,練習問題に取り組ませ, 本時で学んだ考え方を活用させて,学習内容が定着するようにした。さらに,ふり返 りシートで,自他の考えや活動のよさやがんばり,本時の学びのよさなどをふり返ら せた。これらの活動を通して,自分のよさ・のび・がんばりを実感させた。 3年生の実践。 学び合いを経て 考え方が見出さ れた過程や,それ に伴う子供の思 いや考えを板書 し,学び合うよさ や本時の学びの よさ,自分ののび を実感させた。 → ➡ 練習問題をワークシートにして,スモールステップ化することで,子供の意欲がぐんと高まった。 授業終末の短い時間で も,ふり返りができるよ うに,左のシートを作成。 1単元につき1枚配布 し,算数ノートの表紙裏 にはりつけ,1時間ごと にふり返りができるよう にした。 ◆ 授業のユニバーサルデザイン化のための8つの心がけ 本研究は,算数を中心に行っているが,いずれは他の教科等においても,ユニバ ーサルデザイン化を目指していくという立場である。この「授業をつくる8つの心が け」は,他教科等でも実践できるものである。指導する側が,日常的に意識して取り 組み,子供の側に立った学習指導が行えるように,8つの心がけとしてまとめた。 ① めあてはわかりやすく,まとめとつながるように書く。 ② 言葉を精選して,短く,分かりやすく話をする。 ③ 視覚的な情報を提示する。 ④ 実態に合わせて課題を調整する。 ⑤ 様々な感覚を使い,様々な方法で学習できるようにする。 ⑥ 友達同士で学び合う時間を設定する。 ⑦ 子供の発表や発言を受容する。 ⑧ 全員が参加できる活動を仕組んでいく。
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