国 語 (2B 原田 俊子 教諭)

Ⅵ
国語 科学 習指導 計画
学 級 2 年B 組 3 6名
授 業 者 原田 俊 子
共 同 研究 者 阿部
昇
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
Ⅳ
Ⅴ
教 材名 と 指導 のポ イン ト
「モ ア イは 語る -地 球の 未 来」
主
○
- 筆者 の主 張を 支 える 根拠 を吟 味 する -
目 標
(1) モア イ につ いて の謎 を読 み 解き なが ら, 論説 文の 楽 しさ を味 わう こ とが でき る。
(2) 「問 題 提起 ・筆 者の 仮説 ・ 論証 」と 整理 され た文 章 の展 開に 注目 し ,筆 者の 主張 を捉 える こと
がで き る。
(3) 筆者 の もの の見 方や 考え 方 につ いて 自分 の考 えを も つ。
(4) 文章 を 吟味 する こと で, 思 考を 表す 抽象 的な 語句 や ,環 境問 題に 関 連す る語 句に つい て理 解を
深め る こと がで きる 。
生 徒に つ いて
昨年 か ら授 業を 受け もつ 2 年目 の生 徒た ちで ある 。 当初 ,じ っく り と文 章を 読む こと が苦 手な
生 徒は , 一問 一答 式で 正解 か 不正 解か 即答 でき るも の を好 む傾 向が 強 かっ た。 しか し, 文章 をじ
っ くり と 読む 評価 読み を行 っ てき たと ころ ,自 分の 考 えを もつ とき に は「 なん とな く」 と勝 手に
想 像す る ので はな く, 本文 に 根拠 を求 めて 読み 考え よ うと する 姿勢 が 身に 付い てき た。
まだ ま だ読 解力 に個 人差 が ある もの の, 同様 に読 ん でい なが ら「 な るほ ど」 と納 得さ せら れる
と いう 友 達の 「読 み方 」に 刺 激を 受け ,本 文に 根拠 を 見つ ける 「読 み 」を 積極 的に 行う 姿勢 も見
ら れて き てい る。
教 材に つ いて
本教 材 は, 中学 に入 学し て 初め て出 会う 「論 説文 」 であ る。 問題 提 起し ,仮 説を 立て ,論 証す
る とい う 繰り 返し で展 開す る 文章 であ る。 一般 的に 論 説文 の構 成は 「 序論 ・本 論・ 結論 」と され
る が, 本 教材 は, 「本 論」 の 中に 筆者 の仮 説が 出て く るの で, 内容 上 の結 論は 「本 論」 部分 にあ
る と考 え る。 「結 論」 部分 は ,構 成上 の結 論で ,発 展 的な 第2 の結 論 と捉 え, 本論 につ いて まず
評 価読 み をし たい と考 えた 。 「論 説文 」は 「説 明文 」 と異 なり ,は っ きり とし てい ない 事実 に対
し て筆 者 が考 えや 主張 を述 べ る文 章で ある こと を説 明 する と共 に, そ の主 張・ 考え を納 得さ せる
た めに ど のよ うな 論証 をし て いる か, その 論証 で十 分 なの かど うか を 評価 読み して ,文 章読 解を
深 め, 文 章を 吟味 して 読む 力 を付 けた いと 考え た。
社会 に 出て 様々 な文 章や 様 々な 考え ・主 張に 出会 っ た時 ,感 覚で 受 け入 れた り批 判し たり する
の では な く, 根拠 をも とに よ り正 しい とら え方 がで き るよ うに なる こ と, また 自分 が発 信者 にな
っ た時 , 自分 の主 張に も根 拠 が必 要で ある こと を十 分 理解 して 提示 で きる よう にな るこ とが 期待
で きる 教 材で ある 。
社 会に 参 画す る主 体の 育成 を 目指 して
本教 材 の大 部分 は「 モア イ 」そ のも のの 謎解 きで あ り, 生徒 も興 味 深く 読め そう であ る。 また ,
仮 説( = 筆者 の考 え) を支 え る論 証も ,筆 者自 身の 検 証か ら得 たも の と既 成の 説を 用い たも のが
あ るの で ,諸 説あ る「 モア イ 」や 「イ ース ター 島」 に つい て何 かし ら の知 識を もつ 生徒 にと って
は ,疑 問 を抱 く部 分が 出て く ると 考え られ る。 その よ うな 部分 で読 み の差 が生 じれ ばこ そ, 授業
で 小グ ル ープ での 話合 いの 時 間を 取り 入れ ,友 達の 意 見や 文章 の読 み 方に 触れ るこ とが ,自 分の
読 みと 考 えを 深め てい くこ と につ なが ると 考え る。
評価 読 みは ,本 文を 単に 批 判す るの では なく 優れ た 文章 表現 に気 づ く読 みと もな る。 筆者 の仮
説 を支 え る論 証部 分を 吟味 す るこ とで ,文 章の 善し 悪 しで はな く, 何 が足 りな いの か, どこ が納
得 でき な い部 分な のか を読 む 目が 備わ る。 そし て同 時 に, 自分 の考 え に対 して も根 拠が 必要 であ
る こと を 実感 し, 社会 に出 た 時, 自己 の意 見を 他者 に 正し く伝 える こ とが でき ,他 者の 意見 を正
し く受 け 止め るこ とが でき る こと につ なが るだ ろう 。
また , 振り 返り シー トで , 「自 分が 今日 でき たこ と 」と 「注 目し た 友達 の考 え」 を記 すこ とは ,
自 己肯 定 感を 高め ,友 達同 士 を認 め合 う望 まし い人 間 関係 の構 築に つ なが ると 考え る。
全体 計画 ( 総時 数9 時間 )
な
学
習
活
動
本文 を通 読し ,大 ま かな 内容 を捉
え ,題 名・ 内容 ・構 成 につ いて 確認
す る。
○
前時 の捉 えを 紹介 し ,初 発の 読み
を 一つ のポ イン トと し ,丁 寧に 全体
を 確認 しな がら 読む 。
○ 「序 論」 で〈 問題 提 起〉 がな され
そ の回 答で ある 〈仮 説 〉= 筆者 の主
張 を捉 える 。
○
〈仮 説〉 を支 える 根 拠と なる 〈論
証 〉も 「本 論」 にあ る こと を確 認し
す る。
○
指
「序 論」 と「 本論 」 との 関係 を整
理 し, 更に 「結 論」 部 分の 関係 を読
み 取る 。
○ 筆者 の第 2の 主張 に 対し て自 分の
考 えを もつ 。
て
初発 の読 みと 内容 が異 な って いる 部分 が あ
っ たと き, 誤解 を生 む原 因 は何 であ るか , 吟
味 する よう 指示 する 。
○ 本文 に印 を付 けな がら 読 める よう に, 拡 大
し た本 文を 準備 する 。
○ 「序 論」 中の 四つ の問 題 提起 と対 応し た ,
四 つの 仮説 とそ の検 証が 「 本論 」中 にあ る こ
と を確 認し ,色 分け して 線 を引 き, 文章 の 展
開 が一 目で 分か るよ うに す る。
○ 「結 論」 部分 に問 題提 起 の回 答が ない こ と
か ら, この 文の 構成 が〈 序 論・ 本論 ・結 び 〉
と なっ てい るこ と, 本論 に 内容 上の 結論 が あ
る こと を補 足説 明す る。
○
○
立
時数
1
○
○
発表 交流 で自 分と 異 なる 視点 や意
見 に触 れて ,自 分の 考 えを 深め る。
手
一読 で内 容を どう に捉 え たか ,全 体の 傾 向
を 知る ため ,記 入式 のプ リ ント を準 備す る 。
○ 文章 を意 味段 落に 分け る よう 指示 する 。
○
○
の
○
〈論 証〉 部分 が既 成 の研 究結 果な
の か, 筆者 の研 究に よ る結 果な のか
確 認を する 。
○ 〈問 題提 起〉 ①, ② に対 する 〈仮
説 〉は 正し いと 言え る かど うか 吟味
す る。
( 3~ 10 段落 まで )
〈問 題提 起〉 ③, ④ に対 する 〈仮
説 〉は 正 しい と言 え るか どう か吟
味 する 。
( 11 ~1 5段 落ま で )
○ 筆者 の主 張に 対し て ,自 分の 考え
を もつ 。
導
2
〈論 証〉 部分 で, 疑問 に 思う とこ ろ, 納 得
で きる とこ ろを 確認 し合 う よう に指 示す る 。
○
①「 誰が 作っ たか 」に 対 する 仮説 「ポ リ ネ
シ ア人 」に つい て, 信憑 性 はあ るの かど う か
吟 味す るよ う指 示す る。 4 ~6 段落 にあ る 情
報 の「 ポリ ネシ ア人 の生 活 」「 モア イの 作 り
方 」に 疑問 はな いか ,助 言 する 。
○ ②「 モア イを どう やっ て 運ん だか 」に 対 す
る 仮説 「木 のこ ろを 使用 」 につ いて 吟味 す る
よ う指 示す る。 筆者 の研 究 が検 証に 使わ れ し
っ かりとした論証が成されていることを助言
する。
③「 いっ たい 何が あっ た のか 」に 対す る 仮
説 「森 が消 滅し 運ぶ こと が でき なく なっ た 」
に つい て, 信憑 性は ある の かど うか 吟味 す る
よ う指 示す る。 11~ 12段 落 にあ る情 報に 疑 問
は ない か確 認し 合う よう に する 。
○ ④「 文明 はど うな って し まっ たの か」 に 対
す る仮 説「 17~ 18C に崩 壊 した 」と いう こ と
に 加え ,そ の原 因も 含め 信 憑性 を確 認す る よ
う 助言 する 。
○ 二つ の問 いに つい ての 答 えは 「モ アイ 」 に
つ いて 書か れて いる 時系 列 に従 い, 前時 ま で
の 読み も加 味し て考 える よ うに 指示 する 。
「結 論」 部分 で述 べら れ てい る, 第2 の 筆
者 の主 張を 導く 本文 を, 再 読す るよ う指 示 す
る。
○ 筆者 の第 2の 主張 に対 し て, 自分 の意 見 を
根 拠を 明確 にし て書 くよ う に指 示す る。
2
2
本時
7/9
○
2
Ⅶ
1
本 時の 計 画
ねら い
○
筆 者の 主 張に つい て, 本文 に根 拠 を求 め確 かな もの か 吟味 する こと がで きる 。
2
展
評価 規準
グ ルー プ での 話合 い活 動を 通し て ,筆 者の 仮説 ( 主張 )に つい て, 論証 部分 に 根拠 を見 つけ
て納 得で き るこ とと でき ない こと を 読み 分け るこ と がで きる 。
=評 価
学
1
2
習
活
動
問題 提 起③ の内 容と ,そ れに 対 する
筆 者の 仮 説を 確認 する 。
「 問題 提 起③ に対 する 筆者 の仮 説 はど
ん なも の だっ たか な? 」
予 想 され る生 徒の 姿
○ 問 題③ を確 認す る 。
・「 モ アイ が作 られ な くな った のは なぜ だろ
う?」
○ ③ 仮説 を確 認す る 。
・「 森 林が 破壊 した か ら。 」
・「 モ アイ を運 ぶこ と がで きな くな った から
だ ろ う。 」
本時 の めあ てを 確認 する 。
指 導 の 手 立 て
○
③の 問 いに 対す る仮 説を グル ー プで
検 証し , 発表 し合 う。
○
○
注目 する ポイ ント が わか り見 やす いよ う に
③ 「モ アイ が作 られ な くな った のは なぜ 」 に
も 線を 引く 。
○
話合 いが 進ま ない グ ルー プに は, ⑪~ ⑫ 段
落 を中 心に 探す よう に 指示 する 。
○ 読み が深 まる よう に 補助 発問 を準 備す る 。
・「 『森 林破 壊』 ,『 モ アイ が作 られ なく な っ
た 』, 『モ アイ を運 ぶ 手段 がな くな った 』 の
3 つは どん な順 番に な って いる のか な? 」
・「 モア イは いつ 頃作 ら れた んだ っけ ?」
・「 ⑪⑫ 段落 以外 にも 筆 者の 仮説 を論 証で き る
部 分が ある かも 。他 の 段落 も探 して みて い い
よ 。」
○
○
筆 者の 立て た仮 説 の根 拠を ⑪⑫ 段落 を中
心 に 探し ,納 得で き る納 得で きな いを 話し
合 っ てい る。
・「 ⑪ 段落 に, 『モ ア イの 製造 が始 まる ~森
が よ りい っそ う破 壊 され てい った のだ と考
え ら れる 。』 とあ る から モア イの せい でヤ
シ の 木が なく なっ た とい える よね 。」
・「 木 がな くな った の は人 口増 加の ため 農耕
地 に 使い すぎ たか ら で, モア イの せい とは
言 え ない んじ ゃな い かな 。」
・「 『 運ぶ 途中 で放 棄 され たモ アイ も残 され
て い る』 とあ るけ れ ど, 運ぶ 途中 で木 が無
く な るわ けな いか ら ,こ こは ,木 がな くな
っ た せい とは 言え な いよ ね。 」
・「 『 おそ らく ~だ ろ う』 だか ら, 言い 切れ
る 自 信が ない ので は ?」
○
4 「 東京 書籍 小六 国語 」 にあ る, 『イ ー
ス タ ー島 には なぜ 森林 が ない のか 』を 聞
く。
○
自 分た ちの 読み が 間違 って いな かっ たこ
と を 確認 して いる 。
・「 諸 説あ るか ら, 今 回の よう によ く読 まな
い と 間違 った とら え 方を する かも しれ ない
な。 」
○
5
○
〇
課
題
追
究
・
問
い
直
し
本時 の 振り 返り をす る。
振 り返 りシ ート に ,今 日自 分が でき た読
み と ,友 だち の意 見 など ,気 付い たこ とを
書 い てい る。
= 目 指す 生徒 の姿
期待 され る 生徒 の姿
確認 しや すい よう に 拡大 本文 を掲 示し て 確
認 する 。( ③の 問い と ,そ れに 対す る仮 説 部
分 を確 認す る。 )
○ 初発 の読 みで ,モ ア イが 作ら れな くな っ た
理 由で 挙げ られ た内 容 を紹 介し ,教 科書 で 再
確 認す るよ うに 指示 す る。
③に対する筆者の仮説は正しいと言
えるか?本文から検証しよう。
3
ま
と
め
・
振
り
返
り
○
開
過程
問
い
の
練
り
上
げ
・
課
題
設
定
3
②段 落に ある , 「あ ると きを 境 とし て~ な
く なる 。い った い 何が あっ たの か 。」 とい う
二 文を 要約 し, 簡 潔に 答え よう と して いる 。
○ 「森 林の 減少 」 ,「 モア イを 運 ぶこ とが で
き なく なっ たか ら 」と いう いず れ かの 仮説 を
示 しつ つ, どっ ち なの か考 えて い る。
仮説 の部 分を 見 つけ ,自 分の プ リン トに も
線 を引 きな がら , 論証 部分 を探 そ うと して い
る。
仮説 の論 証 部分 で, 新た な情 報が あ るこ と
に 気付 き, さ らに 吟味 して 読ん でい る 。
・「 ヤシ の木 が なく なっ たの は, モア イ を運 ぶ
た めに 切っ た せい だけ では ない よ。 家 屋や 材
料 ,日 々の 薪 ,農 耕地 とも 書い てあ る し。 」
・「 モア イが 作 られ なく なっ てか ら, 運 ぶ手 段
が なく なっ た と言 える 。」
・「 ヤシ の花 粉 が減 少し た時 期が 7世 紀 とあ る
け ど, 4段 落 に11世紀 頃に モア イの 製 造が 始
ま ると 書か れ てい て矛 盾し てい るよ ね 。」
・「 ⑮段 落に , 島が 食糧 危機 にな った と ある か
○ 全体 の話 し合 いの 場 で出 ない よう であ れ ば
ら ,モ アイ を 作っ てい る場 合じ ゃな く なっ た
グ ルー プに 返し て短 時 間で 話し 合う よう に す
と も考 えら れ るよ 。」
る。
・「 モア イが 作 られ なく なっ た理 由は 『 ころ 』
が なく なっ た から だと いう こと には 納 得で き
ない 。」
評価 読み をす るこ と が, 正し い読 みに つ な
が るこ とを 実感 でき る よう に, 東京 書籍 小 六
国 語の 教科 書に ある 『 イー スタ ー島 には な ぜ
森 林が ない のか 』の 文 章の 一部 を読 んで 紹 介
す る。
自分 の考 えの 深ま り や, 友達 と関 わり な が
ら 学習 する よさ を感 じ 取れ るよ うに ,本 時 の
授 業で 自分 が達 成感 を 得た こと や, 注目 し た
友 達の 考え など につ い て振 り返 るよ うに 指 示
す る。
③の仮説について「そうは言い切れない」
と言える根拠を本文から示すことができてい
る。
評 価読 みを するこ とで ,意 見を支 える 根拠
の大 切さ に気 付くと とも に, 自己の 考え をも
つこ とが でき る。