[問 2.7] [問 2.8] [問 3.2]上記の一般座標 X, Y, Z, r, θ, φ を図示せよ。また (3.36) を示せ。 平成 28 年度 解析力学 講義ノート [7](担当:井元信之) 解答: x y 2016 年 6 月 9 日 z 前回の演習問題の答 計算は正解多数につき省略。一般的に言えそうなこと: 解析力学) x y zA z ∂xi ∂ ẋi = ∂qj ∂ q̇j φ θ Z ψ ψ A xrA y φ θ z 氏名 r "! "!rB zB ξφ η θ ζ ψ $! !"#$%& 関して、(3.55) を導け。 φ θ Bψ (4) ζ 軸を θ だけ倒す。 x y z !! yA x y z まずξ, η, ζ を x, y, ξ z η方向に合わせる。 ζ xB !! x y z 演習問題 ( 2013.6.13 解析力学) X x (3) ζ 軸を倒す方角 演習問題A(2013.6.13 解析力学) φ を決める。 y z #!x 学籍番号 氏名 x y z まずξ, η, ζ を x, y, z 方向に合わせる。 学籍番号 氏名 力学) 問 3.3: 天井走行クレーンに関して、 (3.55) を導け。 Figure 1: 2 原子分子の一般座標 yB Y 演習問題(2013.6.13 解析力学) 学籍番号 氏名 氏名 Z を導け。 問 3.3: 天井走行クレーンに関して、 (3.55) いま GA の長さを rA 、GB の長さを rB (すなわち rA + rB = r )とすると、球座標の定義から xA − X = rA sin θ cos φ , xB − X = −rB sin θ cos φ , yA − Y = rA sin θ sin φ , yB − Y = −rB sin θ sin φ , zA − X = rA cos θ Z zB − X = −rB cos θ (6) (7) である。これと (3.34) 式(つまり G は A と B を mB:mA に内分する点であること)を連立させ、ただちに 問 3.3: 天井走行クレーンに関して、(3.55) を導け。 て、(3.55) を導け。 xA = X + yA = Y + zA = Z + を得る。これを T = に代入して答を得る。 mB r sin θ cos φ , M mB r sin θ sin φ , M mB r cos θ , M xB = X − yB = Y − zB = Z − mA r sin θ cos φ M mA r sin θ sin φ M mA r cos θ M & mB % 2 & mA % 2 2 2 2 2 ẋA + ẏA + żA + ẋB + ẏB + żB 2 2 [問 3.3]天井走行クレーンに関して、(3.55) を導け。 1 2 問 3.2: 2 原子分子において、図を描いて X, Y, Z, r, θ, φ を図示せよ。 、図を描いて X, Y, Z, r, θ, φ を図示せよ。 (8) 重心の運動は処理できたとして考えないとしよう6 。二原子分子の原子間に働く力が中心力だと仮定すると、 そのポテンシャルは U (r) である。これが或る R で最小をとり、その周りで放物線 U = α(r − R)2 で近似でき るとすれば、運動方程式は µ ∂U r̈ = − = −2α(r − R) 2 ∂r d2 α (r − R) = −4 (r − R) 2 dt µ ⇒ (3.38) & となる。この運動方程式に寄与したのは (3.36) の第二項である。(3.38) は r が R を中心に 2 α/µ の角振動数 で振動する解を持つ。同様に θ と φ の運動に関しては (3.36) の第三項すなわち回転の運動エネルギーが寄与 する。 3.2 時間を含む扱い 座標変換や束縛条件が時間を含むこともある。これらは力が分布する空間内を質点が動く結果として諸量が 時間変化するのではなく、質点がどこに居ようと強制的に時間変化するものである。あるいはこれまで扱って 来なかった例として、力が質点の位置だけに依るのでなくその時間変化(すなわち速度)にも依存する場合が ある。その中でも、速度ベクトルと垂直に力が働く場合と、速度ベクトルの方向に加速または制動がかかる場 合では様相が異なる。この節ではこういった場合にラグランジュ形式を一般化する。 3.2.1 時間を含む一般座標のラグランジュの運動方程式 ここでは 3.1.1 節の「一般座標の場合」で行った議論を、一般座標が時間 t を含む場合に拡張する。まずは 時間を含む座標変換 xi = xi (t, q1 , q2 , · · · , qn ) , 5 式からも明らかなように振動と回転のエネルギーは qj = qj (t, x1 , x2 , · · · , xn ) (3.39) r を通じて関係があるため完璧な分離ではないが、振動の振幅が r の平均値をあ まりずらさない範囲では分離している。 6 昨今のトラッピング技術を使うと真空容器の中に分子や原子やイオンを浮かせられる。あるいは液体や固体の中で固定されている場 合や、空中を飛んでいるとき分子に乗った座標で見る場合は、残る運動エネルギーは振動や回転などの内部エネルギーとなる。 3.2. 時間を含む扱い 41 とする。これは (2.37)(2.38) と同じである。さて目標は (1) 一般力 Qj (t に陽に依存)を定義し、(2) 一般運動 量 pj (t に陽に依存)を定義して、なおしかし運動方程式が (3.19) と同じく ! " d ∂T ∂T = Qj + dt ∂ q̇j ∂qj (3.40) となることを示すことである。これが示されれば、座標変換が時間を含むか含まないかにかかわらず、これま でのラグランジュの運動方程式が使えることになる。 (3.39) それでは (3.40) の証明であるが、まず (3.18) 左式より # ∂xi ∂x dt + dqj ∂t ∂qj j dxi = (3.41) となる。(3.20) との違いに注意する。微小変位に際しての仕事は # # # ∂xi # ∂x # # ∂xi ∂x Fi dxi = Fi dt + dqj = Fi dt + Fi dqj ∂t ∂qj ∂t ∂qj i i j i j (3.42) i となる。これも (3.21) との違いに注意。しかし一般力 Qj は (3.22) と同じく Qj ≡ # ∂xi # # ∂x dt + Qj dqj ∂t j と定義すると # Fi dxi = i i Fi i ∂qj (3.43) Fi (3.44) となる。次に一般運動量 pqj を計算する。運動エネルギーは (3.24) の代わりに ẋ = ∂xi + n # ∂xi q̇ ⇒ T = #1 m (ẋ ) = 2 1# m ( ∂xi + n # ∂xi q̇ )2 (3.45) と定義すると # Fi dxi = i # Fi i # ∂x dt + Qj dqj ∂t j (3.44) となる。次に一般運動量 pqj を計算する。運動エネルギーは (3.24) の代わりに n ∂xi # ∂xi ẋi = + q̇j ∂t ∂qj j=1 ⇒ T = #1 i 1# mi (ẋi ) = mi 2 2 i 2 ( n ∂xi # ∂xi + q̇k ∂t ∂qk k=1 )2 となる。したがって一般運動量の計算は (3.25) の代わりに ( ) n # # ∂T ∂xi # ∂xi ∂xi ∂xi pqj ≡ = mi + q̇k = mi ẋi ∂ q̇j ∂t ∂qk ∂qj ∂qj i (3.45) (3.46) i k=1 となるが、計算結果すなわち最右辺は (3.25) と同じである。それでは「時間 t に陽に依存する座標変換」の影 響はないのかというと、それは qj が t に陽に依存しているので、確かに pqj も t に陽に依存してはいるのであ る。しかし数式づらは (3.25) と同じなので、続く運動方程式も (3.26) と変わらず ! " ! " # # d ∂xi # d ∂xi d ∂xi pq = mi ẍi + mi ẋi = Qj + mi ẋi dt j ∂qj dt ∂qj dt ∂qj i i (3.47) i と書ける。残るは最右辺の第二項が ∂T /∂qj になることを示したいが、これも次のように示される。前と同じ く ∂T /∂qj から出発すると となる。ここで (3.45) の ẋi = ∂ ẋi ∂ = ∂qj ∂qj ( ∂xi ∂t # ∂T ∂ ẋi # ∂T ∂ ẋi = = mi ẋi ∂qj ∂ ẋ ∂q ∂qj i j i i * ∂xi + k ∂q q̇k を使うと k ∂xi # ∂xi + q̇k ∂t ∂qk k ) = ∂ ∂xi # ∂ + ∂t ∂qj ∂qk k 第3章 42 ! ∂xi ∂qj (3.48) " dqk d = dt dt ! ∂xi ∂qj " (3.49) ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — となって、計算の途中は (3.28) と異なるが結果は一致する。したがって (3.47) はただちに d ∂T pq = Qj + dt j ∂qj (3.50) となって、t を陽に含んでいるという意味合いの違いはあるものの数式づらは (3.29) と全く同じになることが わかる。さらに (3.46) つまり一般運動量の定義を使えば、これはただちに (3.40) を導き、結局 (3.19) と同じ 式になる。 • 保存力下でのラグランジュの運動方程式 これも時間を含まない理論と同じ結果となる。力 F がポテンシャル U (r) から導かれる場合、(3.30) は 両辺とも t を陽に含む違いだけはあるが、数式は全く同じである。したがって (3.31) も (3.32) もそのま ま成り立つ。 • 非保存力の下でのラグランジュの運動方程式 ここまで来れば、力 F がポテンシャル U (r) から導かれるものとそうでない力 Q! の和である場合も同じ であることがわかるであろう。(3.33) もそのまま使える。 このようにして、座標変換が t を陽に含んでも含まなくても(いくつかの変数の意味合いは t を陽に含 むか含まないかの違いはあるものの)これまでのラグランジュの運動方程式がそのまま使えることがわ かる。 • 天井走行クレーン 振り子の支点が天井を走行するクレーンは実際によく用いられる。図 3.1 のように支点の位置 y0 が天井 に据え付けられたレールに沿って y0 (t) という一次元運動をするとしよう。 このようにして、座標変換が t を陽に含んでも含まなくても(いくつかの変数の意味合いは t を陽に含 方程式を書き下すと、 むか含まないかの違いはあるものの)これまでのラグランジュの運動方程式がそのまま使えることがわ g 1 θ̈ + かる。 " sin θ = − ÿ0 cos θ " (3.55) •となる。ここまでは近似なく天井走行クレーンを表している。 天井走行クレーン ここで微小振動 θ " 1 かつ支点の動き y0 が正弦的すなわち y3.1 = A cos(ωt) とする。また振り子の固 振り子の支点が天井を走行するクレーンは実際によく用いられる。図 のように支点の位置 y0 が天井 0 (t) ! に据え付けられたレールに沿って y0 (t) という一次元運動をするとしよう。 有振動を ω0 ≡ g/" とすると、 (3.55) は Aω 2 cos(ωt) " ! θ̈ + ω02 θ #= #!"$#! !!!!ℓ (3.56) という強制振動の微分方程式となり、これは強制振動の振動数 ω で振れる解となるが、ω0 から離れてい " ればその振幅は小さい。しかし ω = ω0 の共振条件に近ければ、振幅は増幅される。すなわち天井走行ク xz レーンにおいて ω $ ω0 の支点往復運転は危険であり、避けなければならない7 。 図 3.1: 天井走行クレーン [問 3.3] (3.55) を導け。 図より 3.2.2 x = " cos θ , パラメトリック励振 y = y0 (t) + " sin θ (3.51) したがって 【ブランコ漕ぎから分周回路、波長可変レーザー、量子情報のエンタングルメント発生まで】 ẋ = −"θ̇ sin θ , ẏ = ẏ0 (t) + "θ̇ cos θ (3.52) したがって運動エネルギーは T = m 2 !"#$%&!! m ! $ m (ẋ + ẏ 2 ) = "2 θ̇2 + m"θ̇ẏ0 cos θ + ẏ02 2 2 2 (3.53) !!!!ℓ となり、位置エネルギーは U = −mg" cos θ だからラグランジアンは L= m 2 2 m " θ̇ + m"θ̇ẏ0 cos θ + ẏ02 + mg" cos θ " 2 2 (3.54) # 3.2. 時間を含む扱い 図 3.2: 支点が上下に動く振り子。 43 となって、確かに T も L も y0 (t) を通じて t に陽に依存している。しかし構わず使ってよいので、運動 図 3.2 のように、支点が上下に動く単振り子を考える。たとえばブランコを漕ぐとき、ブランコが前に振れ 方程式を書き下すと、 g 1 るときも後ろに振れるときも同じように膝の屈伸運動を行う。つまり膝の屈伸の振動数を 2ω0 とするとき、ブ θ̈ + sin θ = − ÿ0 cos θ (3.55) " " ランコの揺れの振動数は ω0 である。このように入力の振動数を半分(または整数分の1)にして出力するこ となる。ここまでは近似なく天井走行クレーンを表している。 とを「分周」という。8 ここで微小振動 θ " 1 かつ支点の動き y0 が正弦的すなわち y0 (t) = A cos(ωt) とする。また振り子の固 ブランコを特徴付けるのは長さ " と支点の位置である。これらのパラメーターを 2ω0 で変調するとブランコ ! 有振動を ω0 ≡ g/" とすると、(3.55) は の振幅は増幅される — 励振される。このような励振をパラメトリック励振といい、電気回路では分周回路と Aω 2 θ̈ + ω02 θ = cos(ωt) (3.56) して、レーザー物理ではパラメトリック発振器として、量子情報ではエンタングル光子対の発生方法として用 " いられる。図 3.2 はその基本となるモデルである。 という強制振動の微分方程式となり、これは強制振動の振動数 ω で振れる解となるが、ω0 から離れてい いま z 軸を下向きにとり、支点の位置を zp とすると、振れ角が θ のときの質点 m の y 座標と z 座標は、 ればその振幅は小さい。しかし ω = ω0 の共振条件に近ければ、振幅は増幅される。すなわち天井走行ク 7 レーンにおいて ω $ ω0 の支点往復運転は危険であり、避けなければならない 。 y = " sin θ , z = " cos θ − z p [問 3.3] (3.55) を導け。 ⇒ ẏ = "θ̇ cos θ , ż = −"θ̇ sin θ − żp 7 ビルの建設現場では支点位置可変なクレーンが使われる。その運転の難しさが想像できる。 8 正確には、ブランコの膝の屈伸は重心の位置の変調であり、! 3.2.2支点の位置の変調で話を進める。 パラメトリック励振 (3.57) (3.58) を変調している。しかし効果としては同様なので、ここでは簡単のため 【ブランコ漕ぎから分周回路、波長可変レーザー、量子情報のエンタングルメント発生まで】 $ !"#$%&!!! !!!!ℓ の振幅は増幅される — 励振される。このような励振をパラメトリック励振といい、電気回路では分周回路と して、レーザー物理ではパラメトリック発振器として、量子情報ではエンタングル光子対の発生方法として用 44 第 3 章 ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — いられる。図 3.2 はその基本となるモデルである。 3.2.2 パラメトリック励振 いま z 軸を下向きにとり、支点の位置を zp とすると、振れ角が θ のときの質点 m の y 座標と z 座標は、 【ブランコ漕ぎから分周回路、波長可変レーザー、量子情報のエンタングルメント発生まで】 y = " sin θ , z = " cos θ − zp (3.57) 第 3 章 ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — ⇒ !"#$%&!! ẏ = "θ̇ cos θ ,! ż = −"$θ̇ sin θ − żp (3.58) !" $ # " # " # 2 2 3.2.2 パラメトリック励振 m m 2 2 !!!!ℓ ⇒ T = "θ̇ cos θ + −"θ̇ sin θ − żp = " θ̇ + 2"θ̇żp sin θ + żp2 (運動エネルギー) (3.59) 2 2 【ブランコ漕ぎから分周回路、波長可変レーザー、量子情報のエンタングルメント発生まで】 U = −mgz = −mg (" cos θ − zp ) (位置エネルギー) (3.60) " # " m 2 2 ⇒ ラグランジアン L = " θ̇ +# 2"θ̇żp sin θ + żp2 + mg (" cos θ − zp ) (3.61) 2 !"#$%&!! ! $ ∂L d ∂L ⇒ = m"2 θ̇ + m"żp sin θ ⇒ = m"2 θ̈ + m"z̈p sin θ + m"żp θ̇ cos θ (3.62) dt !!!!ℓ ∂ θ̇ ∂ θ̇ 図 3.2: 支点が上下に動く振り子。 ∂L = m"żp θ̇ cos θ − mg" sin θ (3.63) ∂θ 図 3.2 のように、支点が上下に動く単振り子を考える。たとえばブランコを漕ぐとき、ブランコが前に振れ % " & 1 g るときも後ろに振れるときも同じように膝の屈伸運動を行う。つまり膝の屈伸の振動数を 2ω0 とするとき、ブ ⇒ m"2 θ̈ + m"z̈p sin θ + mg" sin θ = 0 ⇒ # θ̈ + z̈p + sin θ = 0 (運動方程式) (3.64) " " ランコの揺れの振動数は ω0 である。このように入力の振動数を半分(または整数分の1)にして出力するこ 44 8 とを「分周」という。 ここで、支点の位置 zp を正弦的に zp = a sin(ωt) で振る。微小振動 θ # 1 を仮定すると、(3.64) 式は 図 3.2: 支点が上下に動く振り子。 ' ( ブランコを特徴付けるのは長さ " と支点の位置である。これらのパラメーターを 2ω0 で変調するとブランコ % &2 a ω θ̈ + ω02 1 − sin(ωt) θ = 0 (3.65) — 励振される。このような励振をパラメトリック励振といい、電気回路では分周回路と 図の振幅は増幅される 3.2 のように、支点が上下に動く単振り子を考える。たとえばブランコを漕ぐとき、ブランコが前に振れ " ω0 して、レーザー物理ではパラメトリック発振器として、量子情報ではエンタングル光子対の発生方法として用 るときも後ろに振れるときも同じように膝の屈伸運動を行う。つまり膝の屈伸の振動数を 2ω0 とするとき、ブ いられる。図 3.2 はその基本となるモデルである。 ランコの揺れの振動数は ω0 である。このように入力の振動数を半分(または整数分の1)にして出力するこ いま z 軸を下向きにとり、支点の位置を zp とすると、振れ角が θ のときの質点 m の y 座標と z 座標は、 8 8 正確には、ブランコの膝の屈伸は重心の位置の変調であり、 ! を変調している。しかし効果としては同様なので、ここでは簡単のため とを「分周」という。 支点の位置の変調で話を進める。 ブランコを特徴付けるのは長さ " と支点の位置である。これらのパラメーターを 2ω0 で変調するとブランコ y = " sin θ , z = " cos θ − zp (3.57) の振幅は増幅される — 励振される。このような励振をパラメトリック励振といい、電気回路では分周回路と ⇒ ẏ = "θ̇ cos θ , ż = −"θ̇ sin θ − żp (3.58) して、レーザー物理ではパラメトリック発振器として、量子情報ではエンタングル光子対の発生方法として用 !" $ # " # " # 2 2 m m 2 2 ⇒ T = "θ̇ cos θ + −"θ̇ sin θ − żp = " θ̇ + 2"θ̇żp sin θ + żp2 (運動エネルギー) (3.59) いられる。図 3.22はその基本となるモデルである。 2 いま z 軸を下向きにとり、支点の位置を θ のときの質点 m の y 座標と z 座標は、 p とすると、振れ角が U = −mgz =z−mg (" cos θ − zp ) (位置エネルギー) (3.60) # m" 2 2 ⇒ ラグランジアン y L==" sin θ", θ̇ z+= 2""θ̇żcos θ +z żp2 + mg (" cos θ − zp ) (3.61) p sin θ− (3.57) p 2 ∂L d ∂L = m"2 θ̇ + m"żp sin θ ⇒ = m"2 θ̈ + m"z̈p sin θ + m"żp θ̇ cos θ (3.62) ⇒ ẏ = "θ̇ cos θ , dtż∂= (3.58) ∂ θ̇ θ̇ −"θ̇ sin θ − żp !" $ # " # " # 2 2 ∂L m m T = "θ̇ cos θ + −"θ̇ sin θ −∂θżp = m"=żp θ̇ cos"θ2 θ̇−2 mg" + 2"sin θ̇żpθsin θ + żp2 (運動エネルギー)(3.63) (3.59) 2 2 % & 1 g =θ−mgz (3.60) ⇒ m"2 θ̈ + m"z̈pUsin + mg"= sin−mg θ = 0(" cos ⇒ θ −θ̈ z+p ) (位置エネルギー) z̈p + sin θ = 0 (運動方程式) (3.64) " " ⇒ ⇒ # m" 2 2 " θ̇ + 2"θ̇żp sin θ + żp2 + mg (" cos θ − zp ) (3.61) 2 sin(ωt) で振る。微小振動 θ # 1 を仮定すると、(3.64) 式は ここで、支点の位置 zp を正弦的に zp = a ∂L d ∂L ⇒ = m"2 θ̇ + m"żp sin θ ' ⇒ % &2 = m"2(θ̈ + m"z̈p sin θ + m"żp θ̇ cos θ (3.62) a ω ∂ θ̇ dt ∂ θ̇ θ̈ + ω02 1 − sin(ωt) θ = 0 (3.65) " ω0 ∂L = m"żp θ̇ cos θ − mg" sin θ (3.63) ∂θ % & 1 g ⇒ m"2 θ̈ + m"z̈p sin θ + mg" sin θ = 0 ⇒ θ̈ + z̈p + sin θ = 0 (運動方程式) (3.64) " " 8 正確には、ブランコの膝の屈伸は重心の位置の変調であり、! を変調している。しかし効果としては同様なので、ここでは簡単のため ⇒ ラグランジアン L = 支点の位置の変調で話を進める。 ここで、支点の位置 zp を正弦的に zp = a sin(ωt) で振る。微小振動 θ # 1 を仮定すると、(3.64) 式は ' ( % &2 a ω 2 θ̈ + ω0 1 − sin(ωt) θ = 0 (3.65) 3.2. 時間を含む扱い 45 " ω0 ! ただし ω0 は支点を変調しないときの単振り子の角振動数で ω0 ≡ g! である。最終的には 2 周期ごとの分周 " #2 を想定し ω = 2ω0 の場合を扱うが、まず一般の ω で話を進める。 a! ωω0 = α とおくと、(3.65) 式は 8 正確には、ブランコの膝の屈伸は重心の位置の変調であり、! 支点の位置の変調で話を進める。 θ̈ + ω02 を変調している。しかし効果としては同様なので、ここでは簡単のため [1 − α sin(ωt)] θ = 0 (3.66) となる。これをマシュー(Mathiew)の微分方程式という。いま、これを θ とその時間変化 v ≡ θ̇ に対する !g である。最終的には 2 周期ごとの分周 "! #2 を想定し ω = 2ω0 の場合を扱うが、まず一般の ω で話を進める。 a! ωω0 = α とおくと、(3.65) 式は ただし ω0 は支点を変調しないときの単振り子の角振動数で ω0 ≡ 3.2. 時間を含む扱い 45 θ̈ + ω02 [1 − α sin(ωt)] θ = 0 (3.66) ! ただし ω0 は支点を変調しないときの単振り子の角振動数で ω0 ≡ g! である。最終的には 2 周期ごとの分周 " #2 θ とその時間変化 v ≡ θ̇ に対する となる。これをマシュー(Mathiew)の微分方程式という。いま、これを を想定し ω = 2ω0 の場合を扱うが、まず一般の ω で話を進める。 a! ωω0 = α とおくと、(3.65) 式は θ̇ = v (3.67) θ̈ + ω02 [1 − α sin(ωt)] θ = 0 (3.66) v̇ = −ω02 [1 − α sin(ωt)] θ となる。これをマシュー(Mathiew)の微分方程式という。いま、これを θ とその時間変化 v ≡ θ̇ に対する という連立微分方程式に分解する。これを定数変化法で解くため、まず α = 0 のときの解を求めると、振幅 A θ̇ = v と位相 φ の二つの定数を用いて (3.67) 2 = −ω A cos(ω t + φ) v̇θ = 0 [1 −0 α sin(ωt)] θ (3.68) v = −ω0 A sin(ω0 t + φ) という連立微分方程式に分解する。これを定数変化法で解くため、まず α = 0 のときの解を求めると、振幅 A となる。次に α #= 0 の場合、振幅 A や位相 φ も時間的に変化する(ただし振動数 ω や ω0 の振動に比べてゆっ と位相 φ の二つの定数を用いて くり)と考える。その上で (3.68) 式を (3.67) (3.67) 上式 θ̇ = v から θ =式に入れると、まず A cos(ω0 t + φ) (3.68) v = −ω0 A sin(ω0 t + φ) Ȧ cos(ω0 t + φ) − A(ω0 + φ̇) sin(ω0 t + φ) = −ω0 A sin(ω0 t + φ) (3.69) となる。次に α #= 0 の場合、振幅 A や位相 φ も時間的に変化する(ただし振動数 ω や ω0 の振動に比べてゆっ くり)と考える。その上で (3.68) ⇒式をȦ(3.67) cos(ω式に入れると、まず + φ) 上式 = 0 θ̇ = v から 0 t + φ) − Aφ̇ sin(ω0 t(3.67) (3.67) 下式から Ȧ cos(ω0 t + φ) − A(ω0 + φ̇) sin(ω0 t + φ) = −ω0 A sin(ω0 t + φ) 2 −ω0 Ȧ sin(ω0 t + φ) − ω + φ̇)0cos(ω = −ω [1φ) −= α sin(ωt)] A cos(ω0 t + φ) ⇒0 A(ω Ȧ0cos(ω t + φ)0 t−+Aφ) φ̇ sin(ω 0 0 t0+ (3.67) 下式から ⇒ Ȧ sin(ω0 t + φ) + Aφ̇ cos(ω0 t + φ) = −ω0 Aα sin(ωt) cos(ω0 t + φ) 2 −ω0式を連立させ、 Ȧ sin(ω0 t + φ) −Ȧωと 0 A(ω 0 + φ̇) cos(ω0 t + φ) = −ω0 [1 − α sin(ωt)] A cos(ω0 t + φ) (3.70) 式と (3.72) φ̇ を分離した式にすると cos(ω0 t + φ) ⇒ Ȧ sin(ω0 tȦ+=φ)−+ω20AAα φ̇ cos(ω φ) 2(ω = −ω sin(ωt) φ)sin(ωt) 0 t +sin 0 Aα 0t + φ̇ (3.70) 式と (3.72) 式を連立させ、Ȧ となる。 ω0 =− 2 α sin(ωt) [1 + cos 2(ω0 t と φ̇ を分離した式にすると + φ)] Ȧ = − ω20 Aα sin(ωt) sin 2(ω0 t + φ) φ̇ = − ω20 α sin(ωt) [1 + cos 2(ω0 t + φ)] ここでいよいよ ω ≡ 2ω0 とおくと、(3.73) 式は となる。 Ȧ = ω0 α 4 A [cos(4ω0 t) − cos(2φ)] φ̇ = ω04α(3.73) [− sin(2ω 2ω0 とおくと、 式は 0 t) − sin(4ω0 t) (3.70) (3.69) (3.71) (3.70) (3.72) (3.71) (3.72) (3.73) (3.73) (3.74) + sin(2φ)] ω0 α Ȧ0=の正弦的変化は cos(2φ)] となる。ここで、振動数 2ω0 や 4ω φ の時間変化に比べてはるかに速いので、 Ȧ や φ̇ を 4 A [cos(4ω0 t)A−や (3.74) ω0 α φ̇ = [− sin(2ω0 t) − sin(4ω0 t) + sin(2φ)] 時間積分したときの寄与は無視できるので、上式から省ける。 ここでいよいよ ω ≡ 4 これを 回転波近似(rotating-wave approximation)または平均値近似という。そうすると (3.74) 式は となる。ここで、振動数 2ω0 や 4ω0 の正弦的変化は A や φ の時間変化に比べてはるかに速いので、Ȧ や φ̇ を 時間積分したときの寄与は無視できるので、上式から省ける。 Ȧ = − ω04α A cos(2φ) (3.75) α これを 回転波近似(rotating-wave approximation (3.74) 式は φ̇ = ω04)または平均値近似という。そうすると sin(2φ) ω0 α Ȧ = − A cos(2φ) となる。これを解くため 4 (3.75) φ̇ = ω04α sin(2φ) u ≡ A cos φ u̇ = Ȧ cos φ − Aφ̇ sin φ したがって (3.76) となる。これを解くため w ≡ A sin φ ẇ = Ȧ sin φ + Aφ̇ cos φ u ≡ A cos φ u̇ = Ȧ cos φ − Aφ̇ sin φ 46 第 3 章 ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — したがって (3.76) w ≡ A sin φ ẇ = Ȧ sin φ + Aφ̇ cos φ とおくと、 ! ω α " !ω α " !ω α" !ω α" 0 0 0 0 u̇ = − A cos(2φ) cos φ − A sin(2φ) sin φ = −A cos φ = − u 4 4 4 4 ! ω α " !ω α " !ω α" !ω α" 0 0 0 0 ẇ = − A cos(2φ) sin φ + A sin(2φ) cos φ = A sin φ = w 4 4 4 4 したがって ! ω α " 0 u = u0 exp − t 4 および w = w0 exp !ω α " 0 t 4 (3.77) (3.78) (3.79) ω0 α ω0 α ω0 α ω0 α A cos(2φ) cos φ − A sin(2φ) sin φ = −A cos φ = − u 4 4 4 4 ! ω α " !ω α " !ω α" !ω α" 0 0 0 0 ẇ = − A cos(2φ) sin φ + A sin(2φ) cos φ = A sin φ = w 4 4 4 4 u̇ = − したがって ! ω α " 0 u = u0 exp − t 4 および w = w0 exp ところで (3.68) の上式、そして (3.76) の左の式より !ω α " 0 t 4 θ = A cos φ cos(ω0 t) − A sin φ sin(ω0 t) = u cos(ω0 t) − w sin(ω0 t) (3.77) (3.78) (3.79) (3.80) これに (3.79) を入れて、 ! ω α " !ω α" 0 0 θ = u0 exp − t cos(ω0 t) − w0 exp sin(ω0 t) 4 4 (3.81) となって、振れ角 θ は時間が経つにつれ cos(ω0 t) の振幅は減衰し、sin(ω0 t) の振幅は増幅(すなわち励振)さ れる。電気回路、電磁波、光においてこのような位相選択性増幅は「パラメトリック増幅」と呼ばれる。増幅 出力を入力にフィードバックして発振を起こすことを「パラメトリック発振」と呼ばれ、波長可変レーザーと して用いられる。量子力学では光子のエネルギーは h̄ω なので、量子力学的パラメトリック励振においてはエ ネルギー保存を満たすため 2ω0 の光子一個が ω0 の光子 2 個に変換されることになる。これはパラメトリック 下方変換と呼ばれ、エンタングルした双子の光子の発生に利用される。 パラメトリック振り子を天井走行クレーンと対比すると、天井走行クレーンで支点を水平に ω で振ったとき 共振条件は ω " ω0 であったが、支点を垂直方向に振るパラメトリック振り子の場合は ω " 2ω0 が共振条件で あった。この違いは単に共振周波数が倍違うというだけでなく、振り子が調和振動子として扱われる量子力学 に進むと、量子化した波状の外力の 1 粒子が振り子の振動を量子化した 1 粒子に変換されるか、はたまた 2 粒 子に変換されるかという大きな違いがある。前者は単なる共振現象であるが、後者はエンタングルメント(量 子もつれ)発生という新局面が開かれる。 3.2.3 回転座標系 3.2. 時間を含む扱い 47 回転座標系は座標変換が陽に時間を含む典型例である。等速直線運動する座標系(ガリレイ変換による動く 3.2.3 回転座標系 座標)であれば慣性系であるが、回転座標系は慣性系ではないため、みかけの力がいろいろ発生する。デカル 回転座標系は座標変換が陽に時間を含む典型例である。等速直線運動する座標系(ガリレイ変換による動く ト座標 x, y を角度 θ だけ回転した座標を X, Y とすると 座標)であれば慣性系であるが、回転座標系は慣性系ではないため、みかけの力がいろいろ発生する。デカル cos φ + y sin φ ト座標 x, y を角度 θ だけ回転した座標を X X,= Yx とすると Y = −x sin φ + y cos φ X = x cos φ + y sin φ Z=z (3.82) (3.82) Z=z の関係にある。これも慣性系のデカルト座標である。しかし角度が φ = ωt のように時間に比例して増える場合、 Y = −x sin φ + y cos φ の関係にある。これも慣性系のデカルト座標である。しかし角度が ωt のように時間に比例して増える場合、 X(t) = x cos ωt + y sin ωt φ = (3.83) Y X(t) (t) ==−x sinωt ωt+ +yysin cosωtωt x cos (3.83) Z Y=(t)z = −x sin ωt + y cos ωt Z=z となる。この X, Y, Z を一般座標としたのが回転座標系である。これを逆に解いた x = X cos ωt − Y sin ωt y = X sin ωt + Y cos ωt z=Z (3.84) を使うと したがって運動エネルギーは T = ẋ = Ẋ cos ωt − Ẏ sin ωt − ω(X sin ωt + Y cos ωt) ẏ = Ẋ sin ωt + Ẏ cos ωt + ω(X cos ωt − Y sin ωt) ż = Ż m (Ẋ 2 + Ẏ 2 + Ż 2 ) + mω(X Ẏ − Y Ẋ) + m ω 2 (X 2 + Y 2 ) (3.85) (3.86) したがって運動エネルギーは T = ẋ = X cos ωt − Y sin ωt − ω(X sin ωt + Y cos ωt) ẏ = Ẋ sin ωt + Ẏ cos ωt + ω(X cos ωt − Y sin ωt) ż = Ż m 2 m (Ẋ + Ẏ 2 + Ż 2 ) + mω(X Ẏ − Y Ẋ) + ω 2 (X 2 + Y 2 ) 2 2 (3.85) (3.86) となる。いま力は元の座標 x, y, z で保存力すなわちポテンシャル U (x, y, z) から導かれる力とすると、回転座 標系では (3.84) を使って X(t), Y (t), Z(t) の関数となる。そうしてできた U (X, Y, Z) は X, Y, Z を通じて t を 陽に含んでいるが、Ẋ, Ẏ , Ż は含んでいない。そのことに注意してラグランジュの運動方程式を立てると ∂U mẌ = − ∂X + 2mω Ẏ + mω 2 X ∂U 2 (3.87) mŸ = − ∂Y − 2mω Ẋ + mω Y mZ̈ = − ∂U ∂Z となる。右辺第二項は初等力学でなじみ深いコリオリの力、第三項は遠心力である。ここでコリオリの力は (3.86) 右辺第二項から生じており、遠心力は第三項から生じていることに注意されたい。このことは次節で電 磁場中の荷電粒子のラグランジアンを求めるときに立ち戻る。 ところで極座標(これは動く座標系ではない)の r の加速度に関する (2.34) 式にも遠心力が現れるが、これ との関係はどうなっているだろうか。いま x, y も X, Y も極座標で表してみよう。 x = r cos θ , y = r sin θ 48 (3.88) 第 3 章 ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — X = R cos Θ , Y = R sin Θ (3.89) したがって X = x cos ωt + y sin ωt = r cos θ cos ωt + r sin θ sin ωt = r cos(ωt − θ) (3.90) これが R cos Θ に等しいのだから、R = r、Θ = θ − ωt(または ωt − θ、しかし y と Y の同様の比較により 48 第 3 章 ラグランジュ形式の力学 — 一般編 — θ − ωt)となる。すなわち極座標で書けば静止座標系と回転座標系は したがって R=r X = x cos ωt + y sin ωt = r cos θ cos ωt + r sin θ sin ωt = r cos(ωt − θ) (3.90) (3.91) Θ = θ − ωt ωt − θ、しかし y と Y の同様の比較により これが R cos Θ に等しいのだから、R = r、Θ =Zθ=−zωt(または θ − ωt)となる。すなわち極座標で書けば静止座標系と回転座標系は という(当然の)関係になる。さて (3.84) と (3.89) を組み合わせて回転座標系の極座標でラグランジュの運動 方程式を立てると、ベクトルの形式で R=r (3.91) Θ = θ − ωt R cos Θ % & 2 Z=z mR̈ = −∇R U (R) + 2mṘ × ω # + m Θ̇ + ω R sin Θ (3.92) という(当然の)関係になる。さて (3.84) と (3.89) を組み合わせて回転座標系の極座標でラグランジュの運動 0 方程式を立てると、ベクトルの形式で となる。ただし ω # は角速度ベクトルすなわち大きさが ω で向きが右ねじの進行方向(今の場合 +z 方向)のベ クトルである。(3.92) を静止極座標における (2.34) 式のベクトル形式版: R cos Θ % &2 mR̈ = −∇R U (R) + 2mṘ × ω # + m Θ̇ + ω (3.92) R sin Θ r cos θ 0 mr̈ = −∇r U (r) + mθ̇2 r sin θ (3.93) となる。ただし ω # は角速度ベクトルすなわち大きさが ω で向きが右ねじの進行方向(今の場合 +z 方向)のベ 0 クトルである。(3.92) を静止極座標における (2.34) 式のベクトル形式版: と比較すれば、確かに (3.92) 右辺第三項と (3.93) 右辺第二項は角速度を ω だけずらした以外は対応しており、 遠心力に相当していることがわかる。なお、静止系(慣性系)の極座標表示に現れる遠心力は、静止系にある r cos θ 観測者が実際に感じる力ではない。しかし ω だけずれた効果によ mr̈ = (3.92) −∇r U右辺第二項のコリオリの力や第三項の (r) + mθ̇2 r sin θ (3.93) る遠心力は、回転座標系とともにある観測者が実際に感じる力である。コリオリの力は速度に比例するが方向 0 は速度と垂直であり、仕事はしない。 と比較すれば、確かに (3.92) 右辺第三項と (3.93) 右辺第二項は角速度を ω だけずらした以外は対応しており、 回転座標系におけるラグランジアンは (3.86) から U を引いたものであるが、ここで新たに 遠心力に相当していることがわかる。なお、静止系(慣性系)の極座標表示に現れる遠心力は、静止系にある m 2 ! 観測者が実際に感じる力ではない。しかし T (3.92) ω だけずれた効果によ = 右辺第二項のコリオリの力や第三項の (Ẋ + Ẏ 2 + Ż 2 ) (3.94) 2 る遠心力は、回転座標系とともにある観測者が実際に感じる力である。コリオリの力は速度に比例するが方向 m U ! = U − mω(X Ẏ − Y Ẋ) − ω 2 (X 2 + Y 2 ) (3.95) は速度と垂直であり、仕事はしない。 2 mr̈ = −∇r U (r) + mθ̇2 r sin θ 0 (3.93) と比較すれば、確かに (3.92) 右辺第三項と (3.93) 右辺第二項は角速度を ω だけずらした以外は対応しており、 遠心力に相当していることがわかる。なお、静止系(慣性系)の極座標表示に現れる遠心力は、静止系にある 観測者が実際に感じる力ではない。しかし (3.92) 右辺第二項のコリオリの力や第三項の ω だけずれた効果によ る遠心力は、回転座標系とともにある観測者が実際に感じる力である。コリオリの力は速度に比例するが方向 は速度と垂直であり、仕事はしない。 回転座標系におけるラグランジアンは (3.86) から U を引いたものであるが、ここで新たに m 2 (Ẋ + Ẏ 2 + Ż 2 ) 2 m U ! = U − mω(X Ẏ − Y Ẋ) − ω 2 (X 2 + Y 2 ) 2 T! = (3.94) (3.95) と定義すると、T ! − U ! は同じラグランジアンになる。この U ! は一般ポテンシャル(generalized potential)あ るいは一般化ポテンシャルと呼ばれる。回転座標系とともにある観測者にとっては、質点の運動エネルギーは T ! と思う一方、速度にも依存する U ! という一種のポテンシャルの下で運動している、というように見える。 コリオリの力をこのように「U ! にしまい込む」ことができるのは、コリオリの力が仕事をしないことによる。 ポテンシャル U が軸対称でない場合は、元々の U (r) が時間に依存せず空間に固定されていたとしても、U (R) は時間 t に依存することになる。その中を動く質点の運動方程式は複雑化する。ポテンシャルが軸対称であれ ば、U (R) も空間だけの関数となり、回転座標系は使いやすいものとなる。 3.2.4 速度に依存する力 (1) — ローレンツ力 ラーモアの定理
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