Title Author(s) Citation Issue Date URL 音楽心理学の体系的研究( Abstract_要旨 ) 梅本, 堯夫 Kyoto University (京都大学) 1966-03-23 http://hdl.handle.net/2433/211832 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【11 】 氏 梅 本 重 うめ もと たか 学 お 学 位 の 種 類 教 学 位 記 番 号 論 教 博 第 学位授与 の 日付 昭 和 41 年 3 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当 学位論文題 目 音楽 心理 学の体 系的 研究 論文調査委員 教 授 倉 石 精 一 (主 育 夫) 博 士 1 号 査) 論 文 教 授 鯵 坂 二 夫 内 容 の 要 教 授 佐 藤 幸 治 旨 本論文は過去70 年間 にわたる内外 の心理学的資料を収集 して包括的な音楽 心理学の体系を樹立 しよ うと 試 みた もので ある。 第 1 章 におけ る著者 の定義 によれば, 音楽心理学 は 「音楽 的行動 (作曲 ・ 演奏 ・ 鑑賞等) 」 及 び音楽 の 影響が何 らかの意味で, その中にあ らわれ るよ うな 「音楽 に関係 した行動」 を対象 とす る心理学で あ り, その方法は一般心理学 と同 じく, これ らの行動を条件分析 してその関数関係を求 め ることで あ る。 この立 場 において収集 された資料 は, 以下 の 7 章 に分 け られ, 体系化 された。 第 2 葦で は, あ らゆ る音楽 的行動の基礎 とな る音楽 的知覚 について, 音の高 さ ・ 調性 ・ 大 きさ ・ 音色等 の基本問題 か ら, よ り具体的な旋律 ・ リズ ム ・ 協和等 の問題 にわた って, ひろ く考察 し, その間絶対 音感 に対す る著者独 自の見解をのべ, また協和感の発達及び音程判断 に関す る実証的資料を提供 してい る。 第 3 章で は, 音楽的表現 とその認知の問題を扱い, 主体 の情緒 的反応 を生理心理学的 に と ら え た G S 氏, 脈縛, 呼吸, E E G 等 の研究を展望 し, また音楽的表現 の効果 について は, テ ンポ ・ 高 さ ・ リズム ・ 和声 ・ 調な どに分 けて, それぞれの効果を分析, 比較 して い る。 また ここで は 「現代音楽 家の, 調 の性格 についての認知構造」 に関す る調査を行 ない, その結果を詳細 にのべてい る。 第 4 章で は, 音楽鑑賞態度 に関す る諸説を検討 したのち, 音楽 に対す るモチベ - シ ョンの相違 による, 種 々の鑑賞 態度やその移行型を指摘 してい る。 また音楽 の噂好 に関 し, 音楽専門家の作曲家観を意味微分 法 によって分析 し, 4 個の因子を見 出 した。 第 5 葦で は, 演奏 の心理 について, その技術習得及 び上達の契機 にもふれてい るが, その重点を芸術的 逸脱 (artistic deviation) の心理学的考察 においてい る。 第 6 葦で は, 作曲行動の心理学的分析を行 ない, そのモチベ - シ ョン, 技術 の習得, 創造過程, 心像 の 役割等, 従来研究の未開拓であ った分野 についての問題点を指摘 してい る。 また情報理論の音楽- の適用 に関 し, その現状を紹介 し, 論評を行 な った。 - 25 - 轟 7 童で は, 音楽能 力 について の教育 心理学 的考察 を行 ない, これ と知能 の関係 , この能 力 の発現 の仕 方等 を考察 し, あわせて諸種 の音楽 的 テ ス トの信頼性 と妥 当性 に検討 を加 えた。 欝 8 章で は, 音楽 の応 用 につ いて, 生産労働 , 医療, 矯正等 の諸場面 に分 けて考察 し, 応 用 の将来性, その効用 の限界 ・ 利害等 につ いて検討 を行 な った。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本 論文 の概 要 本 論文 は過去 70年 間 にわた る内外 の心理学 的資料 を収集 し, それ に著者 自身 の研究成果 を加 えて, 包 括 的 な音楽 心理学 の体 系 を樹 立 しよ うと試 み た もので あ り, 作 曲 ・ 演奏 ・ 鑑 賞等 の音楽 的行動及 びその基礎 とな る音楽 的知覚 につ いて, 広 汎 かつ詳細 に論述 したほか, 演奏 技術 の学習, 並 びに音楽 的能 力 について の教育 心理学 的検討, 音楽 の応 用等 につ いて, 体 系的 な論述 を行 な って い る。 本 論 文 の意義 1. 本論文 は困難 な問題 の一 つで あ る音楽 の心理学 的研究 を, か く体系 的包 括 的 にま とめ た もの として きわめて卓 越 した もので あ る。 2. 音楽心理学 につ いて の明確 な定 義 に もとづ き, 首尾 一貫 した体系 中に内外 の 400 余篇 の文献 を着実 に消化 し, 細 部 まで検討 を加 えなが ら, これを大局 的 にま とめて い る。 3. 著者 白身 によ る実証 的研究数篇 は, いずれ も独創 的 な もので あ り, 未開拓分野 の研究 に寄与す るも ので あ る。 総合 評価 これを要 す るに, 本論 文 は音楽 心理学 の体 系化を試 み, 音楽研究 の分野 に多大 の貢 献をす るとともに, 教 育学 的見地 か らして も, 理論 ・ 実践 の両面 にわた り重要 な解 明を与 えた もの と判定 す る。 よって, 本論文 は教育学博士 の学位論文 と して じゅ うぶん価値 あ るもの と認 め られ る。 - 26 -
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