日産は格付不変、三菱自に下押し圧力残る

NEWS RELEASE
2016年5月13日
日産自動車が三菱自動車に出資―日産は格付不変、三菱自に下押し圧力残る
日産自動車(証券コード:7201、発行体格付=A+)と三菱自動車工業(7211、発行体格付=BBB、格下
げ方向でレーティング・モニター中)は 12 日、資本業務提携に向けた基本合意を発表した。日産自動車
が三菱自動車の第三者割当増資を引き受けて、34%出資の筆頭株主になる見通し。払い込みは、資産の
査定や競争当局の認可などの条件が整う前提で、2016 年末までに実施する計画。
軽自動車の燃費試験において不正行為が明らかになった三菱自動車は、日産自動車の支援も受けて企
業風土や意識の改革に取り組み、ブランドや信頼の回復を図る方針だ。上位株主である三菱グループ 3
社の保有株式数は変わらない。日産自動車と三菱自動車は、開発分担や共同購買を含めて様々なシナジ
ー効果を得られるよう、具体的な協業内容をこれから詰めることになる。
日産自動車では、今回の出資に伴い 2373 億円の資金負担が見込まれる。不正問題を通じて三菱自動車
の業績が悪化すれば、日産自動車の持分法投資損益に響くことになる。しかし、日産自動車は、2016 年
3 月末に自動車事業で 1 兆 5000 億円規模のネットキャッシュを抱えるなど非常に強固な財務基盤を構築
している。三菱自動車から OEM 供給を受けていた国内の軽自動車事業の動向に注意を要するが、北米を
始めグローバルに強い競争力を確保しており、日産自動車の格付への影響は小さいと判断している。
三菱自動車にとって、不正問題を受けて顧客への対応や該当車種の生産・販売停止などから収支・財
務への悪影響が予想されるだけに、今回の増資が実現すれば財務基盤を支える要素になる。日産自動車
からの役員派遣などを通じて、ガバナンスの改善につながる可能性もある。ただし、現状では不正問題
の調査途上にあり、不正対象の車種が拡大する懸念もある。収支・財務への悪影響がどの程度になるか
予断を許さず、現状では格付への下押し圧力が払拭できたとは言えない。今後、不正問題の影響と合わ
せて、出資の実現や具体的な協業内容も見定めながら、適宜、格付評価に反映させていく。
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