進む景気回復 減る経済の伸びシロ

Market Flash
進む景気回復
減る経済の伸びシロ
2016年5月10日(火)
第一生命経済研究所 経済調査部
主任エコノミスト 藤代 宏一
TEL 03-5221-4523
【海外経済指標他】
・3月独製造業受注は前月比+1.9%と市場予想(+0.6%)を上回り、2ヶ月ぶりに反発。国内向けが▲
1.2%と減少した一方、海外向けが+4.3%と強く伸びた。財別では中間財(▲1.2%)の減少を資本財(+
4.0%)、消費財(+1.6%)の増加が相殺。4月PMIの反発に鑑みると、先行きも増加基調が期待でき
る。また、グローバル設備投資の先行指標として有効な海外向け資本財は前月比+8.3%、3ヶ月前比年率
で+15.5%と15年央の落ち込みを挽回中。日本の機械受注統計では「外需」の不振が際立っているが、今
回の結果は、グローバルな設備投資需要がなお底堅さを保っていることを示しておりポジティブだ。
(%)
60
独 製造業受注・PMI新規受注
PMI新規受注
(右)
40
(10億円)
70
日本
機械受注
(10億円)
1800
1000
60
900
コア
1400
20
0
-20
-40
1000
700
製造業受注
(3ヶ月前比年率)
-60
07
08
09
10
11
12
(備考)Thomson Reutersにより作成
800
50
40
600
500
30
13
14
15
外需(右)
08
09
10
11
12
13
14
(備考)Thomson Reutersにより作成 3ヶ月平均
16
600
200
15
16
【海外株式市場・外国為替相場・債券市場】
・前日の米国株は横ばい。NYダウは反落も、S&P500はプラス圏で引け。原油安が嫌気され、エネルギー、
建機、金融株が下落。WTI原油は43.44㌦(▲1.22㌦)で引け。週末にサウジアラビアのヌアイミ石油相
が退任し、新たにファリハ氏が新組織であるエネルギー相に就任。原油協議の進展が阻害されるとの警戒
感が浮上。また、中国の貿易統計が予想より弱かったことも下押し要因になったとみられる。
・前日のG10 通貨はJPYが最弱でそれにNZD、AUD、CADが追随。USD/JPYは連休明けで本邦輸入企業のUSD押し
目買いが断続的に入るなか、麻生大臣が為替介入を示唆したことを受けて108半ばまで上伸。資源国通貨は、
資源価格が下落するなか、総じて軟調。
・前日の米10年金利は1.751%(▲2.8bp)で引け。原油価格下落に歩調を合わせて金利低下。欧州債も総じ
て堅調。ドイツ10年金利が0.126%(▲1.8bp)で引けたほか、イタリア(1.462%、▲3.2bp)、スペイン
(1.585%、▲1.0bp)、ポルトガル(3.303%、▲1.2bp)も金利低下。3ヶ国加重平均の対独スプレッド
ほぼ変わらず。
【国内株式市場・アジア経済指標等・注目点】
・日本株は、USD/JPY上昇を好感して小高く寄り付いた後、もみ合い。
・昨日発表の4月消費者態度指数は40.8と3月から0.9pt悪化。内訳は収入の増え方(40.6→40.8)が僅かな
がら改善した反面、耐久財買い時判断(41.7→39.8)、暮らし向き(40.5→39.6)、雇用環境(43.9→
42.8)が悪化。調査基準日は4月15日。よって、熊本地震(14日)の影響はほとんど反映されていないと
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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みられるほか、連休中の急激な円高も関係がない。それらが反映される5月データは一段と悪化するリス
クがあるだろう。個人消費はもう暫く冴えない展開が続きそうだ。
・G・W中の急激な円高の裏に隠れた感はあるが、5月2日に発表された米シニア・ローン・オフィサー・
サーベイは不気味な結果であった。銀行貸出態度は3調査(=3四半期)連続で厳格化、要求スプレッド
も拡大基調にあり、信用コストの増加を強く示唆。これは社債市場におけるクレジット・スプレッド拡大、
ハイ・イールド債下落が単に投資家のポジション調整でないことを裏付けており、信用収縮(正確には拡
大一服)そのものである。銀行貸出態度や要求スプレッドの動向は失業率のターニングポイント、すなわ
ち景気の転換点を読む上で優れている。下図で確認すると、銀行貸出態度は失業率(前年差)にやや先行
して変動することが見て取れる。目下の失業率低下一服は労働参加率の反転上昇というポジティブな要素
を含んでいるため過去のサイクルと単純比較できないが、それでも米経済の伸びシロが残り少ないことは
多くの投資家が認識している事実だろう。最近のドル安基調は一部投資家が米経済の転換点を先取りした
結果かもしれない。
銀行融資担当者調査 要求スプレッド
銀行融資担当者調査 ローン貸出態度
120
100
80
100
厳格
80
60
40
60
40
緩和
大・中企業
20
20
-20
0
-40
-20
小企業
92 94 96 98 00 02 04
(備考)Thomson Reutersにより作成
(%)
-60
小企業
-80
-40
6
大・中小企業
0
06
08
10
12
14
16
クレジット・スプレッド
92 94 96 98 00 02 04
(備考)Thomson Reutersにより作成
80
12
14
16
(%)
5
厳格
4
60
40
3
2
0
10
銀行融資担当者調査・失業率
4
02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16
(備考)Thomson Reutersより作成 BBB格社債利回り-5年債利回り
08
100
5
1
06
3
緩和
銀行貸出態度
2
20
1
0
0
-20
-40
92 94 96 98 00 02 04
(備考)Thomson Reutersにより作成
-1
失業率前年差(右)
-2
06 08 10 12 14 16
貸出態度は大・中堅企業向け
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る
と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内
容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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