明るい動きも - 三菱総合研究所

マレーシア:GDP(2016年1-3月期)
―減速傾向が続くが、明るい動きも―
実質GDP
20
15
(前年比、%)
家計 消費支出
総固定資本形成
輸入
MRI Daily Economic Points
May 13, 2016
評価ポイント
マインド
政府一般消費支出
輸出
実質GDP
130
今回の結果

16年1-3月期のマレーシアの実質GDPは、前年比+4.2%と前期(15年
10-12月期:同+4.5%)から伸びが鈍化した。季調済み前期比でも
+1.0%と前期(同+1.2%)から伸びが低下した。

家計消費は、前年比で伸びが上昇したものの、緩やかな伸びが続く。2
月以降の通貨高や株高により消費者マインドは改善しているが、異常気
象の影響による食料品価格上昇が消費を下押ししている。

総固定資本形成は、主要産業の一つである鉱業向け投資の低迷などか
ら前年比で減少した。

輸出は、3四半期ぶりに前年比減少に転じた。主要輸出先である中国を
中心に各国の需要が弱いことに加え、リンギ安が一服したことで通貨安
による輸出押上げ効果が剥落したものとみられる。

金融市場では、14年秋頃から16年初にかけてリンギ安が30%程度進行
したものの、その後は原油価格の持ち直しや米国利上げ観測の後退を
背景にリンギ高に転じており、株価の下落も一服している。
110
10
90
5
0
70
-5
製造業企業景況感指数
消費者心理指数
50
-10
1234123412341234123412341
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1
2011
2012
2013
2014
2010
20152016
2011
2012
2013
2014
20152016
資料:Bloomberg、CEIC、マレーシア経済研究所より三菱総合研究所作成
名目輸出
30
為替と株価
(前年比、%)
6.0
(リンギ/ドル)
(リンギ)
輸出
25
中国
5.5
20
日米欧
15
ASAEAN
5.0
1500
4.5
5
0
資源の純輸出国であるマレーシア経済は減速傾向にあるが、通貨安・株
安の一服や消費者マインドの改善など、やや明るい動きがみられている。

先行きは、輸出の伸び悩みを主因に、16年の成長率は4%台前半まで
減速すると予測するが、17年以降は原油価格の持ち直しなどを背景に
緩やかに持ち直しに向かうと予想する。

今後のリスクは、①6月のOPEC総会での原油生産凍結交渉の決裂や、
②ナジブ首相の政治献金問題をめぐる政情の不安定化があげられる。
国営投資会社1MDBに関する政治献金疑惑は、16年1月に違法性が否
定され、捜査は終了したが、解明を求めた副首相を更迭するなど、ナジ
ブ首相の強引な手法に批判が集まっている。マハティール元首相がナジ
ブ首相を裁判所に提訴するなど、今もなお混乱が続いており、政情のさ
らなる不安定化が経済の下押し要因となる可能性は否定できない。
1300
4.0
1100
-5
3.5
-10
-15
900
3.0
為替(左軸)
-20
1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1
2013

1700
10
2012
基調判断と今後の流れ
1900
2014
2015
16
700
株価(右軸)
2.5
2012
資料:Bloombergより三菱総合研究所作成
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
500
2013
2014
2015
2016
担当: 政策・経済研究センター 坂本貴志
TEL 03-6705-6087