応用数学 例題 3 情報工学科 篠埜 功 2016 年 4 月 25 日 問 関数 sin x に区間 [0, π2 ] 上で最も近い 1 次関数を求めよ。近さの尺度としては、 y 座標の差の 2 乗の区間 [0, π2 ] における積分(の半分)を用いよ。 解答 求める 1 次関数を f (x) = ax + b とおく。関数 f (x) と sin x の y 座標の差の 2 乗の区間 [0, π2 ] における積分の半分 1∫ 2 J = {f (x) − sin x}2 dx 2 0 π 1∫ 2 {ax + b − sin x}2 dx = 2 0 π を最小にするような a, b を求めればよい。J を最小にするには、J の a, b での偏微 分が 0 になる点を求めればよい。つまり、 ∂J = 0, ∂a ∂J =0 ∂b を解けばよい。まず、a での偏微分は、 ∂J ∂ 1∫ 2 = {ax + b − sin x}2 dx ∂a ∂a 2 0 π 1 ∂ ∫ 2 = {ax + b − sin x}2 dx 2 ∂a 0 π 1∫ 2 ∂ {ax + b − sin x}2 dx = 2 0 ∂a π 1∫ 2 = 2{ax + b − sin x}xdx 2 0 π ∫ π 2 = 0 {ax2 + bx − x sin x}dx ∫ π 2 = a ∫ π 2 2 x dx + b 0 0 xdx − ∫ π 2 x sin xdx 0 である。ここでそれぞれの積分を計算すると、x2 については、 ∫ 0 π 2 [ x3 x2 dx = 3 1 ]π 2 = 0 π3 24 であり、x については、 ∫ π 2 0 ∫ である。 π 2 0 [ x2 xdx = 2 ]π 2 = 0 π2 8 x sin xdx については、 ∫ π 2 [ cos x x −1 x sin xdx = 0 ]π 2 0 − ∫ π 2 0 π 2 cos x dx −1 = [sin x]0 = 1 である。よって、 ∂J π3 π2 = a+ b−1 ∂a 24 8 となる。次に、b での偏微分は、 ∂J ∂b ∂ 1∫ 2 {ax + b − sin x}2 dx ∂b 2 0 π 1 ∂ ∫ 2 {ax + b − sin x}2 dx 2 ∂b 0 π 1∫ 2 ∂ {ax + b − sin x}2 dx 2 0 ∂b π 1∫ 2 2{ax + b − sin x}dx 2 0 π = = = = ∫ π 2 = 0 {ax + b − sin x}dx ∫ = a π 2 ∫ xdx + b 0 = π 2 0 dx − ∫ π 2 sin xdx 0 π π2 a+ b−1 8 2 である。これらを 0 とおくと、以下のような a, b に関する連立一次方程式が得ら れる。 π3 π2 a+ b−1=0 24 8 π2 π a+ b−1=0 8 2 となる。これを解くと、 a= 96 − 24π , π3 b= 2 8π − 24 π2 1.2 sin(x) (96-24*pi)/pi**3*x+(8*pi-24)/pi**2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 図 1: 区間 [0, π2 ] 上で関数 sin x に最も近い 1 次関数 となる。以上より、求める 1 次関数は f (x) = 8π − 24 96 − 24π x+ 3 π π2 である。これを関数 sin x とともに区間 [0, π2 ] において図示すると、図 1 のように なる。図 1 において、緑色の直線が求めた 1 次関数であり、赤色の曲線が関数 sin x である。 3
© Copyright 2025 ExpyDoc