2016年4月6日 投資情報室 臨時レポート 国内株式市場の動向と今後の見通し 国内株式市場の動向 国内株式市場が調整色を強めています。4月5日の日経平均は節目とされる16,000円を下回り、2月12 日以来の安値で引けました。新年度入り後の下げは幅1,000円を超えています(約6.1%下落)。 ①4月1日発表の2016年3月日銀短観と、②同日発表の米3月雇用統計が下落のきっかけになったも のと思われます。①については、新興国需要の鈍化や円高進行等を背景に大企業の先行きに対する 景況感が大きく悪化したこと、大企業製造業の業績見通しの前提となる為替レートが117.46円と現状 の為替水準より5円以上円安に設定されていたこと等が企業業績の不透明感を強めさせる要因に、 ②については、非農業部門雇用者増加数が市場予想を上回ったものの、追加利上げ観測は高まら ず、円高が進行したことで国内輸出企業等の業績不安を高める要因になったものとみています。 図表2:2016年3月日銀短観 業況判断DI(注) 図表1:日経平均株価と円・米ドル推移 (2016年1月4日~4月5日 日次) 19,000 (円) 日経平均(左軸) 円/米ドル(右軸) 18,000 (円) 2015年12月 調査 123 120 製造業 17,000 117 大企業 非製造業 全産業 製造業 16,000 114 株高・円安 全産業 15,000 111 14,000 108 1/24 製造業 中小企業 非製造業 株安・円高 1/4 中堅企業 非製造業 2/13 3/4 3/24 (月/日) (出所)Bloombergデータを基にニッセイアセットマネジメントが作成 全産業 2016年3月 調査 最近 最近 先行き (ポイント) (ポイント) (ポイント) 12 25 18 5 19 14 0 5 3 6 22 13 5 17 12 -4 4 1 3 17 11 -2 9 5 -6 -3 -4 (注)景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の 割合を引いた値 (出所)日銀データを基にニッセイアセットマネジメントが作成 今後の見通し 相場は大きく下落していますが、東証一部の売買代金は低水準(4月5日で約2.3兆円と活況の目安と される3兆円を下回る)で推移しており、現時点では投資家の押し目買い意欲は乏しいようです。しば らくは下値模索の動きが続くことも考えられます。仮に日本株式とは対照的に堅調な推移を続けてい る米国株式が調整局面を迎えるような場合等には、日経平均は年初来安値(2月12日の14,952円)をう かがう動きになることも想定されます。 株式市場は、景気テコ入れのための財政出動等、新たな対策を催促する相場へと変化しつつあるよ うです。アベノミクスが目標とする経済の好循環を実現するためには、企業の賃上げと設備投資動向 が鍵を握るとみられていますが、今年の春闘の賃上げは昨年ほどの勢いはないようです。また更に円 高が進めば設備投資計画を見直す動きが広がることも考えられ、そうなればアベノミクスが頓挫してし まう可能性があります。安倍首相は2016年度予算の前倒し執行を指示(4月から9月末までの半年間 で8割に当る約10兆円規模の前倒し執行)する等の取り組みを開始しており、これから財政出動を含 めた議論が本格化してくるものと思われます。その内容が明らかになるにつれて株式市場は落ち着き を取り戻し、押し目買い意欲の高まり等に支えられて18,000円台回復を目指す動きになるものと判断 しています。 4月下旬頃から2015年度決算の発表が本格化してきます。新興国経済の鈍化や円高、原油安等を背 景に、企業業績に関する投資家の事前予想は大きく下方修正されている可能性があり、決算発表を 機に投資家心理の改善が図られ、株式市場全体の支援材料になるものとみています。 ●当資料は、市場環境に関する情報の提供を目的として、ニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価 証券等の勧誘を目的とするものではありません。 ●当資料は、信頼できると考えられる情報に基づいて作成しております が、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。●当資料のグラフ・数値等はあくまでも過去の実績であり、将 来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な投 資成果を示すものではありません。●当資料のいかなる内容も将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 01/01 (審査確認番号H28-TB7)
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