岩手県内企業景況調査結果 ―平成28年4月調査

=プレスリリース=
平成28年5月27日
岩手県内企業景況調査結果
―平成28年4月調査―
標記について、要約を取りまとめましたので公表いたします。
なお、概要は機関誌「岩手経済研究」28年6月号に掲載予定です。
盛岡市中ノ橋通一丁目2番16号
岩手銀行中ノ橋支店3階
一般財団法人 岩手経済研究所
理事長 高橋 真裕
(担当 地域経済調査部 菊池洋介)
TEL 019-622-1212
< 調 査 結 果 の 要 約 >
-景況感は足踏み状態が続く-
1.最近の景況感
県内企業の業況判断BSIはマイナス20.4と前回調査(平成28年1月)を0.2ポイント
上回ったが、マイナス幅の縮小は僅かにとどまり、全体として景況感は足踏み状態が続い
ている(図表1、2)。
この背景として、被災地の土地造成や住宅再建などが続いているものの、インフラ整備
など大型の復興需要がピークアウトしていることや、人手不足による人件費の高騰および
長引く個人消費の低迷の影響などがあげられる。
2.先行きの見通し
今後3カ月間の先行きのBSIはマイナス28.7と現状より8.3ポイント下回る見通しで
ある。復興需要の減少や燃料費の上昇懸念などが要因で悪化するとみられる。多くの業種
でマイナスと見込んでおり、先行きに慎重な見方を持つ企業が多くなっている。
図表1 業況判断BSI
図表2
業況判断BSIの推移(全産業)
(「良い」-「悪い」・%ポイント)
期
最 近
平成28年1月
調査
業種
先 行 き
平成28年4月
調査
40
産
業
△20.6
△20.4
△28.7
製
造
業
△26.0
△22.1
△26.5
品
△36.4
△31.3
△37.5
木材 ・木 製品
△14.3
△14.3
△14.3
料
窯 業 ・ 土 石
12.5
0.0
20.0
金 属
製 品
△33.3
0.0
△57.1
一 般
機 械
△25.0
△33.3
△33.3
機 械
△55.6
△12.5
△37.5
他
△14.3
△41.2
△29.4
△18.0
△19.5
△29.9
電 気
そ
の
非 製 造 業
見通し
良い
今後3カ月間
全
食
はBSIの推移
%ポイント
50
建
設
業
17.7
10.0
△10.0
卸
売
業
△25.0
△23.1
△28.2
小
売
業
△31.7
△30.3
△45.4
運
輸
業
14.3
0.0
△33.3
サ ー ビ ス 業
△43.5
△45.0
△36.9
30
20
20.1
14.4
15.1
12.4
11.7
10.7
△21.3
△21.9
△ 32.0 △ 33.0
△ 32.6
8.6
10
10.6
12.8
10.3
0
△5.9
-10
-20
△21.1
-30
△ 26.0
△24.8
△23.8
-50
△20.6
△20.4
△28.7
△ 33.5
-40
△23.4
△ 39.2
△ 38.9
7
10
△ 31.2
△ 33.2
△ 39.0
悪い
月
4
平成26年
1
4
7
平成27年
10
1
4
平成28年
7
3.県内企業の賃上げ動向
平成28年度の賃上げ実施状況は、「賃上げは実施済または予定がある(定昇含む)」(以
下、「実施済・予定」)が56.1%(前年度54.0%)と最も高く、以下「賃上げは実施しな
い」(以下、「実施しない」)が19.9%(同17.8%)、「賃上げは未定である」が24.0%
(同28.2%)となった(図表3)。「実施済・予定」は半数を占めるが、「実施しない」
が2割弱と賃上げに慎重な姿勢もうかがわれる。
賃上げの実施金額は「前年と同額である」が48.2%と最も高く、以下「前年実績より増
加する」が27.3%、「前年実績より減少する」が12.7%、「金額は未定である」が10.0%
などとなった(図表4)。
図表3 賃上げの実施状況
図表4 賃上げの実施金額
賃上げは実施済または予定がある(定昇含む) 賃上げは実施しない 賃上げは未定である
0%
20%
40%
60%
80%
56.1
全産業
前年実績より増加する
19.9
0%
100%
24.0
前年と同額である
20%
前年実績より減少する
40%
27.3
全産業
前年は実施していない
60%
金額は未定である
80%
48.2
100%
12.7
10.0
1.8
61.8
製造業
14.7
53.1
非製造業
22.7
23.5
製造業
24.2
非製造業
26.2
47.6
28.0
19.1
48.5
7.1
8.8 2.9
11.8
賃上げを実施する理由(複数回答)は、「従業員のモラール向上」が46.4%と最も高く、
以下「業績に関係なく毎年賃上げを実施」が36.4%、「優秀な従業員の確保」が34.5%、
「業績が良好」が18.2%などとなった(図表5)。
賃上げを実施しない理由(同)は、「現在の雇用を維持」が48.7%と最も高く、以下「業
績が不振」「景気の先行きに不透明感がある」が43.6%、「原材料費の値上がりなどコス
トが上昇」が10.3%などとなった(図表6)。
図表5 賃上げを実施する理由(複数回答)
60
%
図表6 賃上げを実施しない理由(複数回答)
60
%
全産業 製造業 非製造業
50
46.4
47.6
50
45.6
48.7
44.8
43.6
41.2
40
全産業 製造業 非製造業
51.7
51.7
40.5
40.0
43.6
40.0
40
36.4
34.5
30.9
28.6
30
30
20.0
18.2 19.0 17.6
20
20
13.8
10.3
9.5
10
4.8
1.8
0.0
業績に関係なく 優秀な従業員の確保
毎年賃上げを実施
業績が良好
景気の回復が
期待できる
その他
3.4
2.6
1.5
0
従業員の
モラール向上
10.0
10
4.5
0.0
5.1
3.4
0.0
0
現在の雇用を維持
業績が不振
景気の先行きに
不透明感がある
原材料費の値上がり 設備投資などを優先
などコストが上昇
その他
< 調 査 要 領 >
1.調査内容
平成28年4月調査時点での業況感と先行き(3カ月間)の見通し、ならびに28年1~3
月期の前年同期と比較した売上高等の実績および28年4~6月期の前年同期と比較した岩
手県内企業経営者の見通し等。
2.調査時期
平成28年4月
3.調査対象企業
岩手県内企業 400社
4.回答企業
製
造
業
68 社
建
設
業
30 社
卸
売
業
39 社
小
売
業
33 社
運
輸
業
6 社
サービス業
合
計
(回収率)
20 社
196 社
(49.0%)
(注)BSI(Business Survey Index:景況判断指数)は、企業の業況実績や企業経営者の業況
見通し等を指標化したもので、「プラス(増加、上昇、過剰等)」と回答した企業割合
から、「マイナス(減少、下降、不足等)」と回答した企業割合を差し引いた値である。