日本:日銀短観(2016年3月調査)

日本:日銀短観(2016年3月調査)
MRI Daily Economic Points
- 企業の業況判断は総じて悪化 -
業況判断DI (製造業)
30
25
中堅企業
中小企業
全規模
30
15
(%ポイント)
先行き
25
先行き
20
改善
2016年3月調査の結果

日銀短観(2016年3月調査)の業況判断DIは、総じて悪化した。特に製造業
の悪化が目立っており、大企業・製造業は前回調査(15年12月)から▲6%p
悪化の6%pと13年6月以来の低い水準となった。大企業・非製造業は高い水
準を維持しているものの、同▲3%pと6期ぶりに悪化した。

製造業の業況判断DIは、大企業を中心に悪化した。年明け以降の円高進行
が輸出比率の高い大企業の採算を悪化させたとみられる。素材業種は、中
国の過剰生産などによる需給バランスの悪化から、鉄鋼や化学での悪化が
目立った。加工業種は、国内の耐久消費財の販売不振やアジア向け輸出の
減速などが重石となり、自動車や一般機械、電気機械が総じて悪化。

製造業の先行き判断DIも、中堅企業を中心に悪化しており、大企業の業況
悪化を映じて、先行きを慎重にみている可能性がある。

非製造業の業況判断DIは、製造業の悪化を受けて卸売や物品賃貸、運輸な
どが悪化したほか、小売や対個人サービス、宿泊・飲食サービスも悪化。株
価の下落などにより消費マインドが慎重化している可能性がある。

生産・営業用設備判断DIでは、大企業が14年12月以来の過剰超に転じた。
中小企業は引き続き不足超となっているが、内外の需要減速を受けて、大企
業製造業を中心に、設備過剰感が再び意識され始めた。

16年度の設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)は、全規模全産業で前
年比▲4.8%と、同時期の15年度計画とほぼ変わらない結果。業種別では製
造業がやや慎重な計画値であり、年明け以降の円高進行が影響した可能性。
16年度の想定為替レート(大企業製造業)は117.5円と、15年度から2円ほど
円高方向に修正されたが、足元の為替水準(112円)とはまだ乖離がある。
改善
20
15
10
10
5
5
0
0
-5
-5
-10
-10
悪化
-15
大企業
中堅企業
中小企業
悪化
-15
-20
全規模
-20
3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6
2012
2013
2014
2015
3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6
2016
2012
生産・営業用設備判断DI
10
評価ポイント
業況判断DI (非製造業)
(%ポイント)
大企業
April 1, 2016
(%ポイント)
大企業
2014
2015
2016
設備投資計画
10
8
2013
8
(前年比%)
※全規模・全産業
中堅企業
中小企業
6
6
4
4
2
2
過剰
0
0
-2
-2
-4
不足
2012
2013
2014
2015
2016
基調判断と今後の流れ
-6
-4
3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3
2012
2013
2014
2015
3月
調査
2016
資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」
Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc.
6月
調査
9月
調査
12月
調査
3月
調査
実績見込
6月
調査
実績

業況は総じて悪化している。先行きは、米国の今後の利上げペースや大統
領選の行方、新興国経済の減速度合、資源価格の動向、地政学リスク、日
本の消費税増税の行方など、今後の見通しが難しい材料が山積しており、企
業のマインドを一段と慎重化させる可能性がある。
担当: 政策・経済研究センター
森重彰浩
TEL 03-6705-6087