全国財務局長会議(平成28年8月2日開催)席上配付資料 最近の沖縄の経済動向等について Ⅰ.最近の沖縄管内の経済情勢 Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて 平成28年8月 沖縄総合事務局財務部 Ⅰ.最近の沖縄管内の経済情勢 前回(28年4月判断) 総括判断 回復している 今回(28年7月判断) 前回比較 総括判断の要点 個人消費は百貨店・スーパーや、コンビニエンスス トアの販売額が引き続き好調なことから回復が続 き、外国人観光客の大幅な増加などから観光は好 調に推移しているほか、有効求人倍率が復帰後の 最高値になるなど、雇用情勢は緩やかに改善して いる。 回復している 〔先行き〕 先行きについては、沖縄振興策などを背景として景気が回復し、雇用・所得環境の改善が続くなかで、海外景気の下振れリスク、原材料価格や賃金の動向について、 引き続き注視していく必要がある。 前回(28年4月判断) 今回(28年7月判断) 緩やかに回復している 回復している 回復している 回復している 設備投資 前年度を上回る見込み 前年度を上回る見通し 雇用情勢 改善しつつある 緩やかに改善している 住宅建設 前年を下回っている 前年を上回っている 個人消費 観 光 ※28年7月判断は、前回4月判断以降、7月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。 前回 比較 1 1.個人消費 (%) ~回復している~ 〔百貨店・スーパー販売額(前年比)〕 ○ 個人消費は、回復している。 ○ 百貨店・スーパー販売額では、飲食料品が好調なほか、店舗改装効果などか ら前年を上回っている。 ○ コンビニエンスストア販売額では、新規出店効果のほか、ファストフードが堅調 なことなどから前年を上回っている。 ○ 新車販売台数では、軽自動車は前年を下回っているものの、新型車効果など により前年を上回っている。 ○ 家電販売額では、テレビや白物家電などが好調であり、前年を上回っている。 【出所】経済産業省、沖縄総合事務局 (%) 〔コンビニエンスストア販売額(前年比)〕 (注)24年12月までは九州・沖縄の数値 (%) 【出所】経済産業省 〔乗用車新車登録・届出台数(前年比) 〕 県内需要、観光好調等により4~6月の売上はプラスを維持している。航空路線の拡充やクルー ズ船の寄港回数の大幅増加で国内外からの観光客の来店が増えているほか、大規模な店舗改 装やテナントの新規出店等で地元客の来店も増えて売上に大きく貢献している。県内の景況は 良いと認識している。イギリスのEU離脱問題では直接的な影響は生じていないが、円高により インバウンド消費等への影響を懸念している。 【百貨店・スーパー:中堅企業】 人口増加と観光好調を要因として県内消費のパイが広がっている。好調な観光業を背景に農業、 製造業等においても高品質な県産品(泡盛、オリオンビール、マンゴー、車海老養殖、かりゆしウ エア等)が多く製造・販売されており、その波及効果は大きいと考えている。また、沖縄県の将来 的な魅力度が大きいとして近年、外資系ホテルの県内進出も活発化している状況である。今後 も沖縄経済の実力はどんどん高まっていくものと認識している。 【百貨店・スーパー:中堅企業】 4~6月は県内需要、観光ともに好調を維持しているため、ファストフードや米飯類などを中心に 売上全体では堅調に推移。これまでは、高い客単価で売上好調を維持していたが、4月以降、来 客数、客単価がともに上昇傾向にある。県内の消費マインドは伸びていると認識している。 【コンビニエンスストア:中小企業】 ハイブリッド車を中心に売れ行きが良い。新型車の受注も好調であり、景況は良いと認識してい る。 【自動車販売店:中小企業】 (注)普通乗用車+小型乗用車+軽四輪乗用車の合計。 【出所】日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、沖縄県自動車販売協会 県内人口の増加、観光好調による外国人観光客の増加等により4~6月の売上は好調に推移し ている。インバウンド消費は以前と比べて勢いに落ち着きが見られる一方、冷蔵庫、洗濯機等の 白物家電を中心とした買換え需要の増加で県内客の来店が増えて売上を伸ばしている。県内の 消費マインドは好調を維持していると認識している。 【家電量販店:大企業】 2 2.観光 ~回復している~ 〔入域観光客数〕 (%) 17.1 入域観光客数は、国内客は個人旅行を中心とした好調な旅行需要により 増加しており、外国客は航空路線拡充の効果などにより大幅に増加してい ることから、32ヶ月連続で単月の過去最高を記録している。 ホテルの客室稼働率は前年を下回っているものの、客室単価は前年を上 回っている。 4~6月は、GWに弱さがみられたものの、個人客だけでなく団体客も前年を上回って推 移したことから、金額ベースで前年を上回り好調であった。 【旅行業:中堅企業】 4~6月のインバウンドは、前年を上回り堅調に推移した。WEB経由での個人客が大幅 に増加しており、沖縄観光への変わらない需要の強さを感じているところ。イギリスのEU 離脱による影響は特に感じていないが、円高が進むとインバウンドが他国に流れたり、 国内客が海外旅行にシフトする懸念があるので、今後の動向は注視していく必要がある と思っている。 【宿泊業:中堅企業】 4~6月の当ホテルの稼働率は、すべての月で前年を上回って好調に推移した。特に 4/29~5/3はすべての日でほぼ満室の状況であった。 【宿泊業:中堅企業】 【出所】沖縄県 3.設備投資 ~28年度は前年度を上回る見通し~ 〔設備投資計画(前年(同期)比)〕 (%) (沖縄) (%) (全国) 法人企業景気予測調査によれば、管内企業の平成27年度設備投資計画 法人企業景気予測調査によれば、管内企業の平成28年度設備投資計 は、機材購入、貯油施設の移転、立体駐車場建設等を主な要因として、全 画は、大型船接岸のための桟橋工事、機材購入等を主な要因として、全 産業で前年度を41.3%上回る見通しとなっている。 産業で前年度を15.6%上回る見通しとなっている。 大型船接岸のための桟橋工事により設備投資は増加する見通しである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 【窯業:大企業】 【輸送用機械・大企業】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。【生産用機械・中小企業】 機材購入により設備投資は増加する見通しである。 ・・・・・。 【運輸業:大企業】 貨物船の購入により設備投資は増加する見通しである。 【水運業:中小企業】 【出所】財務省、沖縄総合事務局 3 4.雇用情勢 (倍) ~緩やかに改善している~ 〔有効求人倍率(季節調整値)〕 (%) (%ポイント) 〔完全失業率(原数値、前年同期差)〕 全国 1.36 沖縄 4.5 沖縄 0.98 全国 3.2 【出所】厚生労働省、沖縄労働局 (%) 〔 現金給与総額 ・定期給与(前年同月比) 〕 現金給与 総額3.6 (注)23年1-3月期から7-9月期の全国は、補完推計値を用いた参考値。 【出所】総務省、沖縄県 ○ 新規求人数は、医療・福祉、卸売・小売など多くの業種で前年を上 回っており、新規求職者数は前年を下回っていることなどから、有効 求人倍率(季節調整値)は上昇している。 ○ 完全失業率は、前年を下回っている。 ○ 好調な業績と人手不足を背景に、現金給与総額と定期給与は前 年を上回って推移している。 定期給与 2.8 5月の有効求人倍率は0.98倍で、本土復帰後の最高値を3か月連続で更新して いる。今後も観光を中心とした好調な県経済により求人の増加が見込まれること から、有効求人倍率は着実に改善していくものとみている。 【行政機関】 サービス、飲食、医療・介護で人手不足が顕著である。広告を出し続けても人が 集まらず、毎週広告を出し続けている企業もある。また、飲食関係では、募集して も応募がないため、毎日営業していた店が週一回休みとなったり、系列店舗を閉 めて人員をやり繰りしているところもあると聞いている。 【職業紹介業:中小企業】 (注)各都道府県「毎月勤労統計(地方調査)」 財務局所在都道府県の名目賃金指数から算出。 4 5.住宅建設 (%) ~前年を上回っている~ 〔新設住宅着工戸数 (前年比)〕 住宅建設では、持家で前年を下回っているものの、貸家、分譲で前年 を上回っていることから、全体では前年を上回っている。 4~6月期の受注件数は前期比及び前年同期比で増加していることから、景況感は 良い。 【建設業:中堅企業】 4~6月期の景況感は、受注は前年同期比では横ばいだが、1年(27年6月~28年5 月)を通してみると受注件数は前年比で2倍近く増加しており、事業展開は好調に推 移している。 【建設業:中小企業】 4~6月期の確認申請件数は、前年同期比で増加しており、景況感は良い。 【建設業:中小企業】 【出所】国土交通省 6.熊本地震の影響 熊本地震の影響は、「特に影響はない」とする企業が多いものの、製造業では「取引先に若干の影響がある」とする声や、非製造業では「仕入れや 納期に遅れが生じている」とする声がみられた。 製造業 非製造業 地震による影響は特にない。 地震による影響は特にないが、被災地支援のため支援物資用の レトルト食品などの価格を下げて販売した。 【食料品製造業:中堅企業】 売り上げに対する直接的な影響は感じていない。但し、当社のグ ループ会社が九州に拠点を置いており、取引先に若干の影響が あったので注視しているところ。 【製鉄業:中堅企業】 【窯業:大企業】 震災直後は熊本産の商品や農産物の仕入れに影響があったが、 現在は特に影響は無い。 【小売業:大企業】 震災による生産ストップの影響で現在も納期に若干の遅れが生じ ている。アフターフォローとして、毎月お客様に現在の状況(製造 完了日、工場からの輸送日、引き渡し見込み日等)を電話で丁寧 にお知らせしているのでトラブル等はない。 【小売業:中小企業】 国外客によるキャンセルの影響があり、いまだに予約が少ない状 況が続いている。 【旅行業:中堅企業】 5 Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて ~沖縄県の人口増加率は全国1位~ ○沖縄県の人口は、27年10月において約142万9千人(推計人口)と復帰当時の約97万人から人口増加が続いているほか、27年の国勢調査(速 報)では、人口増加率が全国第1位。一方、本島北部や離島の市町村では、人口が減少に転じるなど県内の地域間での差もみられていることや平成37年 前後には、県全体でも人口減少に転じることも予測されている。 平成27年国勢調査(速報) 沖縄県の人口は、約142万9千人(27.10.1現在推計人口)。 復帰当時の約97万人から人口増加が続いている。 地域別では、本島中南部に人口が集中し、本 島北部や離島で人口減少がみられる。 沖縄県の人口増加率は、全国1位。 出所 : 平成27年国勢調査(総務省、沖縄県)、人口推計(総務省統計局) 6 Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて ~沖縄経済をけん引する観光~ ○沖縄観光は沖縄振興一括交付金を活用した誘客活動等を背景に、国内及び訪日旅行需要が好調に推移。また、外国人観光客の記録的な増加を背景として インバウンド消費も大幅に増加。沖縄観光の目標である「入域観光客数1000万人、観光収入1兆円」等の達成に向けて、道路ネットワークの整備や、一人 当たり消費額・滞在日数の増加等といった課題解決のための取組みが進められている。 好調な入域観光客 沖縄県では、沖縄21世紀ビジョン計画を踏まえ、観光振興に 関する基本的な方向を指し示すものとして、「沖縄県観光振 興基本計画(24~33年度)」を策定。 沖縄観光の課題 那覇市 東京23区 16.9 19.3 全国ワースト1位の渋滞 目指す将来像:世界水準の観光リゾート地 目標達成のための各種誘客施策 の実施などにより、24年以降 、入域観光客数が急激に増加。 主な 増加要因 ・円安の継続に伴う国内及び訪日旅行需要増 ・海外航空路線の拡充・クルーズ船の寄港回数増 ・那覇空港新国際線ターミナルビルなどの供用開始 ・沖縄振興一括交付金などを活用した国内外における官民挙げての継 続したプロモーション活動 等 【10年度以降の入域観光客の動き】 ・10年度に400万人に到達し、H13.9の米国同時 多発テロによる客数の減少などを経て、15年度 には500万に到達。 ・H21の新型インフルエンザの流行、H23の東日 本大震災などの影響により、24年度までの10年 間は500万人台で推移。 ・25年度から3年連続で過去最高を更新し、27年 度には約794万人を記録。 外国人観光客は記録的に増加し、27年度の国外客の比率は2割まで増加。 (出所:沖縄県、沖縄総合事務局) ・那覇市の渋滞を混雑時平均旅行 速度でみると、東京23区を下回り 、全国ワースト1位。 ・自動車保有車両数やレンタカー 車両数が増加傾向にあり、さらな る渋滞の悪化が予想されることか ら、レンタカーに依存する沖縄観 光にとっては、道路ネットワーク の整備が急務。 沖縄総合事務局では、沖縄本島北端から南端までの所要時間の短縮や、空港からの時 間距離の短縮などを目指し、交通の集中する西海岸と那覇市内を中心に道路ネットワー クの整備に取り組んでいる。 受入体制構築と誘客強化等の課題 ・年間を通した入域観光客数の平準化 ・観光客一人当たり消費額の増加(観光客平均滞在日数の増加など) ・ハード・ソフト両面の受入基盤の計画的な整備(空港、港湾整備など) ・航空路線、クルーズ路線等の安定確保及び拡大 等 沖縄県は、受入体制の構築等の行程表「沖縄観光推進ロードマップ」を策定(H 28年3月改訂版を公表)。関係機関と認識を共有したうえで、連携して計画的に各種 施策に取り組んでいる。 航空路線の新規就航や増便に加えて、クルーズ船の寄港数が大幅に増加。 7 Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて ~沖縄経済をけん引する個人消費~ ○管内の「個人消費」は、引き続きの人口増加や入域観光客数の記録的な増加などを背景に、観光関連の業種などで売上が増加するなど好調に推移。 一方、小売業やサービス業では新規求人数が大幅に増加する等、雇用環境も改善。 好調な個人消費 人口増加や観光好調等により「個人消費」は好調とする企業の声 沖縄管内の「個人消費」は、引き続きの人口増加や入域観光客の大 幅な増加などを背景に、好調に推移している。 「百貨店・スーパー販売額」の推移 ○県内人口の増加、観光好調による国内外からの観光客増加等により県内経済は好調と認識してい る。入域観光客数や失業率など各種統計資料をみてもそれほど悪い数字ではないため、今後も経済 好調は続いていくと考えている。 【百貨店・スーパー:大企業】 ○これまで本島中部に観光客が流れることは少なかったが、大型商業施設の開業、中城湾港でのク ルーズ船の寄港増などで、外国人観光客を中心に本島中部に訪れる機会が多くなっている。今後、 近隣市町村と連携した物産展の定期開催や観光案内所設置によるPR等により、本島中部圏の観光 を活性化していきたいと考えている。 【百貨店・スーパー:中堅企業】 ○大型クルーズ船の寄港により外国客の来店が大幅に増えている。今年から観光バスのルートに入 れてもらい来客の取り込み強化を図っている。 【家電量販店:大企業】 ○昨年以降、高級ハイブリット車の受注が増えている。県内企業の業績が好調なことや、県外の富 裕層が沖縄に移住するケースが増えていることなどが要因と考えている。 【自動車販売店:中堅企業】 雇用情勢も改善 有効求人倍率の推移 有効求人倍率は、好調な沖縄経済を背景に改善が みられ、H28年5月は復帰後最高の0.98倍。 参考:宮古 1.22倍 八重山 1.39倍 新規求人数の推移 新規求人数はH27年10月に県内初の1万人台に。28 年1月に10,666人、2月には11,715人と最高を更新。 (沖縄県『労働力調査』より) 有料老人ホームなどの増加に伴う「医療、福祉」の就業者数の 増加に加え、入域観光客数の増加などを背景として、「卸売 業・小売業」や「宿泊・飲食サービス業」などの観光関連の業 種で就業者数が増加。 【出所】厚生労働省、沖縄労働局 (沖縄労働局『労働市場の動き』より) 8 Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて ~沖縄の地理的特性を活かした経済活動①~ ○ ○ 沖縄県では、時代に即した新たなリーディング産業として、「国際物流拠点の形成」とする目標を掲げ、官民一体となって取り組みを推進。 アジア地域への地理的優位性を有する那覇空港内に航空機整備の拠点となる施設を整備することで、近隣地域に周辺産業を誘致し、伸長する アジアの航空市場をも取り込む航空機関連産業クラスターの形成を目指す。これにより、那覇空港を基盤とした航空機整備産業を中心とする新 たな臨空型産業の振興及び雇用の創出や、沖縄県における自立型経済構築の促進に期待。 1.沖縄新・リーディング産業の育成 ・沖縄県では、時代に即した新たなリーディン グ産業として、「観光リゾート産業」、「情報通信 関連産業」に次ぐ第3の柱を「国際物流拠点の 形成」とする目標を掲げ、官民一体となって取 り組みを推進。 ・国際物流拠点の形成により、沖縄のみならず 日本とアジアの発展に貢献する「21世紀の万 国津梁(=世界の架け橋)」を目指している。 沖縄国際物流ハブ機能活用による輸出拡大を図るため、事業者の海外展 開及び物流拡大支援を実施するとともに、海外に向けて輸出品のブランド 化による高付加価値化、定番化等を推進。 2.沖縄県の国際物流拠点形成への取り組み 平成21年10月にANA国際貨物ハブが開始されたほか、ヤマトHD㈱は 日本最南端の総合物流施設となる沖縄グローバルロジスティクスセンター 「サザンゲート」を27年11月より稼働開始。国際物流拠点の形成により、 事業者の海外展開、輸出拡大に大きく寄与。 9 (出所:沖縄県、ヤマトHD) Ⅱ.沖縄管内経済における特徴的な動きについて ~沖縄の地理的特性を活かした経済活動②~ 3.沖縄国際物流ハブの強み ①航空輸送に強い沖縄国際物流ハブ ・平成21年10月の国際物流ハブ事業の開始以来、那 覇空港における食料品の輸出額は毎年増加。 ・全国的に国や自治体の輸出拡大戦略等により農水 産物の航空輸送量増加が見込まれる中、アジアへ新 鮮な食料品の配送を可能とする沖縄国際物流ハブへ の期待が高まっている。 ②アジアとの近接性を活かした国際航路 ・那覇港には、アジアに近い地理的優位性を活かした 国外定期航路が就航し、安定した輸送ルートが確立さ れている。 ・台湾向け航路については、那覇から台湾を経由して、 世界各国への輸出が可能になる国際航路が新設され、 海上物流拡大の機運が高まっている。 企業の取組み事例(㈱ANA Cargo ) ・ANAホールディングスは、那覇空港を基点 とした国際航空貨物事業などの拡大に向け、 貨物事業会社「㈱ANA Cargo 」を設立。 ・経済成長を続けるアジア諸国では、安全な 日本産の食品に対する関心やニーズが高 まっており、例えば日本全国の特産品を、沖 縄国際物流ハブを通じ、高付加価値かつ新 鮮な状態で届けることが可能となっている。 4.航空機関連産業クラスターの形成 ・増大するアジアの航空需要を取り 込む航空機整備拠点を構築するとと もに、これを核として近隣地域に周 辺産業を誘致するため、航空機関連 産業クラスター形成を目指している。 ・航空機整備業は高付加価値の労 働集約型産業であり、質・量の両面 で大きな雇用効果が見込まれ、調査 結果によると、その周辺産業も含め 約2,200人の雇用効果と370億円の 経済波及効果が期待される。 企業の取組み事例(MROJapan㈱) ・ANAホールディングスは、東アジアの中心に 位置する沖縄の地理的優位性とアジアの経済 成長及び航空市場の発展に伴い、拡大が見 込まれる航空機整備需要を見越して 29年度 【MRO Japan(株)概要】 の下期に事業拠点を那覇空港に移転予定。さ ・27年6月にANAホールディン らに、国産初のジェット旅客機MRJ(三菱リー グス(株)の100%出資で設立。 ジョナルジェット)の開発を進めている「三菱航 日本を代表する航空機整備の 空機」との間で、MRJの整備や修理、分解点 専門会社として伊丹空港にて 検を担うアジア地域パートナーとして基本合意 事業開始。 した。(28年7月) ・那覇空港での事業開始に向け、28年度から新入社員19名(第1期)を採用。将来300 人規模のスタッフになると見込んでいる。今後も県内から毎年10~20名程度の採用を 予定しており、沖縄県の雇用創出にも貢献していきたいとしている。 5.農産物等の輸出物流拠点としての期待 企業の取組み事例(㈱琉球海運 ) ・平成26年12月、県内最大手の海運業「琉球海運」と 「商船三井」が、輸出入コンテナ輸送の拡大を目指して 業務提携。琉球海運の台湾航路と、商船三井の世界 的なコンテナ輸送ネットワークを台湾・高雄港で接続。 ・また、台湾当局の許可を得て、日本で貨物船に積載 したトレーラーを台湾に陸揚げし、そのまま配送に利 用する、「シームレス物流」を開始。 ・平成28年2月のTPP協定署名により、政府は日本の農林 水産物・食品を世界に売り込む大きなチャンスとして、「農林 水産業の輸出力強化戦略」を策定(28年5月)。 ・那覇空港において貨物エリア拡大、駐機スポットの増設等 が予定され、同空港の活用が想定されている。 ・今年の夏までに関係省庁、民間等から構成する検討会を 農水本省内に設置。28年度内に課題等を整理し、29年度か ら具体的な取組みを推進するとしている。 ↓品目ロゴマーク (和牛マーク) 輸出促進ロゴマーク↑ (おいしいマーク) (出所:首相官邸、経済産業省、沖縄県、沖縄銀行、おきぎん経済研究所、ANA HD) 10 【連絡・問い合わせ先】 沖縄総合事務局 財務部財務課 経済調査室 TEL. (098)866-0093 FAX. (098)860-1176 <E-Mail> [email protected]
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