平成28年4月 - 内閣府 沖縄総合事務局

全国財務局長会議(平成28年4月27日開催)席上配付資料
最近の沖縄の経済動向等について
Ⅰ.最近の沖縄管内の経済情勢
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
平成28年4月
沖縄総合事務局財務部
Ⅰ.最近の沖縄管内の経済情勢
前回(28年1月判断)
総括判断
回復している
今回(28年4月判断)
前回比較
総括判断の要点
個人消費は百貨店・スーパーや、コンビニエンスス
トアの販売額が引き続き好調なことから緩やかな
回復が続き、外国人観光客の大幅な増加などから
観光は好調に推移しているほか、有効求人倍率が
復帰後の最高値になるなど、雇用情勢は改善しつ
つある。
回復している
〔先行き〕
先行きについては、沖縄振興策などを背景として景気が回復し、雇用・所得環境の改善が続くなかで、海外景気の下振れや平成28年(2016年)熊本地震の影
響など、景気を下押しするリスクに引き続き注視していく必要がある。
前回(28年1月判断)
今回(28年4月判断)
緩やかに回復している
緩やかに回復している
回復している
回復している
設備投資
前年度を上回る見込み
前年度を上回る見込み
雇用情勢
改善しつつある
改善しつつある
住宅建設
前年を上回っている
前年を下回っている
個人消費
観
光
※28年4月判断は、前回1月判断以降、4月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。
前回
比較
1
1.個人消費
(%)
~緩やかに回復している~
〔百貨店・スーパー販売額(前年比)〕
○ 個人消費は、緩やかな回復が続いている。
○ 百貨店・スーパー販売額では、飲食料品が好調なほか、店舗改装効果などか
ら前年を上回っている。
○ コンビニエンスストア販売額では、新規出店効果のほか、ファストフードが堅調
なことなどから前年を上回っている。
○ 新車販売では、軽自動車が低調なことなどから前年を下回っている。
○ 家電販売では、テレビや白物家電などが好調であり、前年を上回っている。
【出所】経済産業省、沖縄総合事務局
(%)
〔コンビニエンスストア販売額(前年比)〕
 店舗改装、新規テナントの出店等で1~3月の売上は好調を維持している。2月の春節時には多
くの外国人観光客が来店したほか、3月の衣料品フロアの改装、テナント入れ替え等で地元客の
来店も増えている。県内の消費マインドは好調を維持している。
【小売業・中堅企業】
 1~3月は暖冬の影響で衣料品の売上が落ち込んでいたが、その他の売上では飲食料品を中心
に好調であることから、売上全体ではプラスの状況。また、航空路線の拡充やクルーズ船の寄
港回数の増加で国外からの観光客が増加しているほか、店舗改装効果などで地元客の来店も
増え、売上好調を維持している。県内の景気は良いと認識している。
【小売業・中堅企業】
(注)24年12月までは九州・沖縄の数値
(%)
【出所】経済産業省
〔乗用車新車登録・届出台数(前年比) 〕
 新規出店や観光客好調による来店客の増加などもあり、全店・既存店ベースとも売上は順調に
伸びている。暖冬の影響でおでんや中華まんなどが伸び悩んだ時期もあったが、気温の低下と
ともに徐々に売上は回復している。県内の消費動向は上向きにあると認識している。
【コンビニエンスストア・中小企業】
 ハイブリッド車を中心に売れ行きが良い。昨年発表した新型車の受注も好調であり、景況は良い
と認識している。
【自動車販売店・中堅企業】
(注)普通乗用車+小型乗用車+軽四輪乗用車の合計。
 外国人観光客の増加や店舗改装効果等により1~3月の売上は好調に推移している。また、都
市部近郊での戸建住宅、マンション建築の影響等で地元客の来店も増えており、テレビや冷蔵
庫、洗濯機等の白物家電も堅調に推移している。県内の消費マインドが落ち込んでいる印象は
無い。
【家電販売店・大企業】
【出所】日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、沖縄県自動車販売協会
2
2.観光
~回復している~
〔入域観光客数〕
(%)
7.6
入域観光客数は、国内客は個人旅行を中心とした好調な旅行需要により
増加しており、外国客は春節や旧正月時期の旅行需要の高まりや航空路線
拡充の効果などにより大幅に増加していることから、29ヶ月連続で単月の
過去最高を記録している。
 1~3月期は全体として好調であった。2月は国内団体客が、春節時期のインバウンドと
の競合をさけたことなどから大きく減少したが、個人客が前年比プラスで堅調に推移した
ため、前年並みを確保することができた。
【旅行業・中小企業】
 2月は、スポーツ団体と修学旅行生で客室の半数が埋まり、一般の宿泊客の部屋が足り
なくなることもあった。また、インバウンドは引き続き好調に推移しており、1~3月期は大
きく増加している。
【宿泊業・中小企業】
 海外情勢の悪化で、日本人が海外旅行を控え、その代替地として沖縄が選ばれており、
沖縄観光にとっては追い風となっていることから、今後も引き続き好調に推移していくも
のと思っている。
【宿泊業・中堅企業】
【出所】沖縄県
3.設備投資
~27年度は前年度を上回る見込み~
〔設備投資計画(前年(同期)比)〕
(沖縄)
(全国)
法人企業景気予測調査によれば、管内企業の平成27年度設備投資計画
法人企業景気予測調査によれば、管内企業の平成27年度設備投資計
は、機材購入、貯油施設の移転、立体駐車場建設等を主な要因として、全
画は、機材購入、国際線ターミナルビルの増改築等を主な要因として、全
産業で前年度を41.3%上回る見通しとなっている。
産業で前年度を36.3%上回る見込みとなっている。
28年度は、全産業で8.3%下回る見通しとなっている。
 機材購入などにより増加する見込みである。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
【運輸業・大企業】
【輸送用機械・大企業】
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。【生産用機械・中小企業】
 国際線ターミナルビルの増改築などにより設備投資は増加する見込みである。
 ・・・・・。
【不動産業・大企業】
 ホテル新館の建設費などにより設備投資は増加する見込みである。
【宿泊業・中堅企業】
【出所】財務省、沖縄総合事務局
3
4.雇用情勢
~改善しつつある~
〔有効求人倍率(季節調整値)〕
(%)
〔完全失業率(原数値、前年同期差)〕
(%ポイント)
(倍)
全国
1.28
沖縄
4.7
沖縄
0.91
全国
3.1
【出所】厚生労働省、沖縄労働局
(%)
〔 現金給与総額 ・定期給与(前年同月比) 〕
現金給与
総額3.6
定期給与
3.6
(注)23年1-3月期から7-9月期の全国は、補完推計値を用いた参考値。
【出所】総務省、沖縄県
○ 新規求人数は、医療・福祉、卸売・小売など多くの業種で前年を
上回っており、新規求職者数は前年を下回っていることなどから、有
効求人倍率(季節調整値)は上昇している。
○ 完全失業率は、前年を下回っている。
○ 好調な業績と人手不足を背景に、現金給与総額と定期給与は前
年を上回って推移している。
 有効求人倍率は、好調な観光関連の業種を中心として、今後も着実に改善して
いくものとみているが、人手不足が深刻化するなか、退職者がでても補充が出来
ない場合、残業などが増えてしまい、更に人が辞めていくという悪循環に陥ること
がある。事業は人がやるものという理解を持って、雇用条件を積極的に改善し、
人材確保により生産性を向上させるなど、悪循環を好循環に転換していくことが
経営者には求められている。
【行政機関】
 求人を出してもなかなか決まらない企業が増えてきている。5年前には、10人程
度応募があったが、今は1人しか来ないとの声も聞かれる。これは、就職がある
程度進んで、求職者が減少していることも要因の一つと思われる。
(注)各都道府県「毎月勤労統計(地方調査)」
財務局所在都道府県の名目賃金指数から算出。
【職業紹介業・中小企業】
4
5.住宅建設
~前年を下回っている~
〔新設住宅着工戸数 (前年比)〕
住宅建設では、持家で前年を上回っているものの、貸家、分譲で前年
を下回っていることから、全体でも前年を下回っている。
 施工業者は手持ち物件を多く抱えており、手が回らないところも多く、下半期から見
込まれる消費税引上げ前の駆込み需要に対応できるのか不安な部分もある。
【建設業・大企業】
 分譲マンションは、主力商品が完売し、足元の景況感は順調に推移している。
【建設業・中小企業】
 民間の戸建て住宅や共同住宅の受注は減少しているものの、年間通してのトータル
の受注件数及び完工高は順調に推移しており、全体としての受注状況は良い。
【建設業・中小企業】
【出所】国土交通省
5
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
25年度、26年度、 27年度及び28年度の賃金の動向について
・情勢報告調査にあわせ管内の企業に賃金の動向に関するヒアリングを実施。実施時期は3月中旬から4月中旬。
・対象先数は計38社。内訳は製造業8社、非製造業30社。規模別では大企業8社、中堅企業12社、中小企業18社。
・上記調査期間において、各企業等に対して、平成25年度、26年度及び27年度の賃金引上げの実績及び28年度の
賃金引上げの計画等を確認したもの。
(注)平成27年4月22日公表の「沖縄管内における賃金の動向について」とは対象企業が異なっている場合がある。
○ 28年度に賃金引上げを行う企業の割合は97.1%(態度未定除く)。25年度は81.6%、26年度は89.5%、 27年度は97.4%と、年々その割合は上昇しており、賃金引上げの流れが
続いている。
○ 28年度にベアを行う企業の割合は31.4%(態度未定除く)。25年度は13.2%、26年度は23.7%、27年度は28.9%と、ベアを行う企業は26年度に増加し、27年度、28年
度もベアを行う動きは継続している。
○ 規模別でみると、大企業では25年度以降全ての企業が賃上げを実施し、中堅・中小企業でも25年度以降ほとんどの企業が賃上げを実施している。また、28年度に
ベアを行う企業の割合は大企業で増加し、中堅・中小企業で減少している。
25年度
回答数:38社(無回答除く)
無回答:0社
26年度
回答数:38社(無回答除く)
無回答:0社
27年度
回答数:38社(無回答除く)
無回答:0社
ベアを行った企業
賃上げを行
わなかった
企業
28年度
回答数:35社
(態度未定・無回答除く)
態度未定:3社
無回答:0社
28.9%
(11社)
2.6%
(1社)
ベアはせずに一時
金増を行った企業
36.8%
(14社)
定期昇給のみを
行った企業
97.4%
(37社)
31.6%
(12社)
賃金引上げを行った企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 ( 8社/ 8社)
中堅企業(10社/12社)
中小企業(13社/18社)
業種別
製造業 ( 6社/ 8社)
非製造業(25社/30社)
賃金引上げ実施企業の中でベアを
実施した企業の割合
規模別
大企業 ( 0社/ 8社)
中堅企業( 4社/10社)
中小企業( 1社/13社)
業種別
製造業 ( 3社/ 6社)
非製造業( 2社/25社)
100.0%
83.3%
72.2%
75.0%
83.3%
0.0%
40.0%
7.7%
50.0%
8.0%
賃金引上げを行った企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 ( 8社/ 8社)
中堅企業(10社/12社)
中小企業(16社/18社)
業種別
製造業 ( 7社/ 8社)
非製造業(27社/30社)
賃金引上げ実施企業の中でベアを
実施した企業の割合
規模別
大企業 ( 1社/ 8社)
中堅企業( 4社/10社)
中小企業( 4社/16社)
業種別
製造業 ( 3社/ 7社)
非製造業( 6社/27社)
※「ベア・一時金増額の双方を行っている企業」は「ベアを行った企業」にのみ計上。
100.0%
83.3%
88.9%
87.5%
90.0%
12.5%
40.0%
25.0%
42.9%
22.2%
何らかの賃上げを
行った企業
賃金引上げを行った企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 ( 8社/ 8社)
中堅企業(11社/12社)
中小企業(18社/18社)
業種別
製造業 ( 8社/ 8社)
非製造業(29社/30社)
賃金引上げ実施企業の中でベアを
実施した企業の割合
規模別
大企業 ( 2社/ 8社)
中堅企業( 4社/11社)
中小企業( 5社/18社)
業種別
製造業 ( 3社/ 8社)
非製造業( 8社/29社)
100.0%
91.7%
100.0%
100.0%
96.7%
25.0%
36.4%
27.8%
37.5%
27.6%
賃金引上げを行う企業の割合(規模・業種別)
規模別
大企業 ( 7社/ 7社)
中堅企業(11社/11社)
中小企業(16社/17社)
業種別
製造業 ( 7社/ 7社)
非製造業(27社/28社)
賃金引上げ実施企業の中でベアを
実施する企業の割合
規模別
大企業 ( 4社/ 7社)
中堅企業( 3社/11社)
中小企業( 4社/16社)
業種別
製造業 ( 2社/ 7社)
非製造業( 9社/27社)
100.0%
100.0%
94.1%
100.0%
96.4%
57.1%
27.3%
25.0%
28.6%
33.3%
※大企業 : 資本金10億円以上。中堅企業 : 資本金1億円以上10億円未満。中小企業 : 資本金1億円未満。
6
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
27年度、28年度の賃金の引上げ動向と引上げ率について
○ 28年度に賃金引上げを行う企業のうち、ベア、賞与・一時金増額及び定期昇分を合算し、引上げ幅を前年度と比較してみると、「上回る(予定を含む)」とする企
業が24.1%、「同程度(予定を含む)」とする企業が65.5%、「下回る(予定を含む)」とする企業が10.3%となり、約3割の企業が前年度を上回る賃金引上げを行うとし
ている。
○ 規模別でみると、大企業で約3割、中堅・中小企業で約2割の企業が前年度を上回る賃金の引上げを行うとしている。また中堅・中小企業で「上回る(予定を含む)」
が「下回る(予定を含む)」より多い結果となっている。
○ 業種別でみると、製造業で約3割、非製造業で約2割の企業が前年度を上回る賃金引上げを行うとしている。
○ ベア及び定期昇給を合算し、引上げ幅を前年度と比較してみると、「2.0%~2.5%の賃金引上げを行う」企業の割合が増加しており、28年度に「2.0%以上の賃金
引上げを行う」企業の割合は7割を超える。
【企業の声】
○ 27年度は、約10年ぶりのベースアップと賞与増額を行った。28年度はベースアップのみを行う予定である。今後の原油価格の動向など先行きが不透明なため、28
年度のベースアップ率は27年度を下回る予定。
【運輸業・大企業】
○ ここ数年、業績低迷により賃上げを行うのは厳しい状況が続いているが、人材確保の観点から社員の待遇改善は必要と考えている。苦肉の策として退職者が出て
も補充せず、その分を原資に賃上げを行った。パート従業員の時給引上げまでには至っていない。
【食料品製造業・中小企業】
○ 当社では26年から5年間で一定額の賃上げを目標とし、27年度はベースアップ、定期昇給、賞与を増額した。28年度の賃上げについては、定期昇給は通常どおり
実施し、ベースアップについては検討中。
【職業紹介業・小企業】
ベア、賞与・一時金及び定期昇給分を合算した前年度との比較
ベア、定期昇給分を合算した前年度との比較
27年度
28年度
回答数:29社(不明・わからない、無回答9社を除く)
27年度回答数:28社(無回答除く)
28年度回答数:28社(無回答除く)
7
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
28年度に賃金の引上げを『実施する』理由について
【企業の声】
○ 賃金引上げを行う理由(複数回答)は、「社員のモチベーションの向上、待
遇改善」が最も多く、次に「業績好調」となっている。
○ 賃上げ実施の理由は、「社員のモチベーション向上」、「利益還元」が主である。
今年はベーススアップ分を厚くし、例年の2倍程度としている。
【小売業・大企業】
○ 賃上げ実施の理由は、「政労使合意・官民対話に対応」によるところが大きい。所
得増加により消費を拡大させたいとする政府の取組みには賛同しているので、今後
もベースアップを含めた昇給を実施していく方針である。
【小売業・中堅企業】
○ 賃上げは、人材確保のため行っている。業績が好調な時期に上げておかないと、
あとから一気に賃上げを行うのは難しく、人材確保の面で苦労することになると認識し
ている。
【旅行業・中小企業】
○ インバウンドの増加と貸切バスの運賃改正により観光部門の収益性が改善したこ
とと、同業他社との競合もあり、運転手を確保するために賃上げを行った。
【陸運業・中小企業】
○ 28年度に賃上げを実施する理由については、業績(収益)好調、社員のモチベー
ション向上や待遇改善等があげられる。
【食料品製造業・中堅企業】
※ 28年度に賃金引上げを行う(予定含む)と回答した34社のうち、無回答0社を除く34社を対象(複数回答)。
28年度に賃金の引上げを『実施しない』理由について
○ 賃金引上げを行わない理由は「雇用維持を優先」となっている。
【企業の声】
○ 28年については、運営会社が変わることから、現在の雇用条件を維持するため、賃
上げの予定はない。
【宿泊業・中小企業】
8
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
企業の雇用を確保するための取組み
≪企業の取組み≫
≪生の声≫
[子育て世代支援]
・託児所の整備
○ 従業員の要望を聞き取りし、出生率が高いという沖縄独特の事情も踏まえ、新規雇用を促す目的で施設内に保
育施設を設置した。
【宿泊業・大企業】
○ 離職率の高かったバスガイドを確保するために、事業所内に託児所を設置したところ離職率が大幅に低下した。
【陸運業・中小企業】
[福利厚生制度]
・資格取得支援
○ 27年度から免許取得費用の立替えを行っている。立替えた費用は毎月返済してもらうが、入社後3年経過時に
報奨金を出して負担軽減を図っている。
【陸運業・中小企業】
[若年層対策]
・初任給の増額
○ 当社の初任給が県内の平均的な初任給より低く、募集をしても人の集まりが悪かったため、人材確保を目的に
引き上げを行った。
【宿泊業・中小企業】
[定年延長・再雇用]
○ 数年前から定年退職者の再雇用を実施しており、退職者の約2/3が再雇用を希望し、雇用を継続している。
【食料品製造業・中堅企業】
[非正規職員・従業員の雇用確保]
・非正規職員の正社員化
○ 26年度から有期雇用から無期雇用への任用換えを行う取組みを始め、28年度もグループ企業全体で約130名を
非正規社員から正社員へ登用し、雇用の不安の解消や待遇改善に繋げている。
【卸売業・大企業】
○ 近年、県内のどの業態でも人材不足が顕在化している。当社においても人材確保が緊急の課題であることから、
パート・アルバイトの正社員化を進めているところ。
【小売業・中堅企業】
○ 契約社員を正社員化する予定。これまで1年毎に更新を行い、正社員化することで会社の負担も増えるが、雇用
を安定させることによって離職に歯止めをかけることができるので、人材確保のために必要な措置と思っている。
【運輸業・大企業】
・非正規職員の賃上げ
○ パート・アルバイトの時給をアップ。昨年より引き上げ幅を倍以上にして賃金面での待遇を強化した。
【小売業・大企業】
○ 契約社員については、上げ幅は異なるが職員と同様に27年度にベースアップを行った。また、定期昇給は毎年
行っており、上げ幅も職員と同じである。
【職業紹介業・中小企業】
9
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
企業の雇用を確保するための取組み
≪企業の取組み≫
≪生の声≫
[高賃金による人材確保]
○ 平成27年の開業時に、沖縄における宿泊業の平均賃金よりも高めの賃金を提示して従業員を募集した。また、
非正規職員についても、県内の相場よりも高い時給を提示し採用したことから、人手不足にはなっていない。
【宿泊業・中小企業】
行政機関の取組み
沖縄県正社員転換・待遇改善実現プラン
沖縄労働局では、非正規雇用を取り巻く現状とこれに対応するための具体的な取組事項を掲げ、県内
の非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善を推し進めるため、地域の実情に即した「地域プラン(地域
計画)」として、「沖縄県正社員転換・待遇改善実現プラン」を策定。
10
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
○ 沖縄管内では、有料老人ホームなどの増加に伴う「医療、福祉」の就業者数の増加に加え、記録的な入域観光客数の増加などを背景
として、「卸売業・小売業」や「宿泊・飲食サービス業」などの観光関連の業種で就業者数が増加。
企業における利益配分のスタンス
沖縄の産業構造等
景気予測調査(28年1-3月期)では、「設備投
資」及び「従業員への還元」に重点。
産業構造及び企業規模
全国に比べて第2次産業のウエイトが
低く(製造業が少ない)、第3次産業
のウエイトが高い(サービス業が多
い)ことが特徴。
中小企業(及び小規模)の比率
は全国より高い。
企業規模別
区分
第1次
産 業
沖
平成
縄
24年度
県
全
平成
24暦年
国
第2次
第3次
うち
うち うち
産 業
産 業
農業
製造業 建設業
うち
サービス業
うち
政府サービス
生産者
1.6
1.4 12.3
4.5
7.6 85.9
26.4
17.0
1.2
1.0 24.2 18.5
5.6 74.1
19.6
9.2
(内閣府「国民経済計算年報」、「県民経済計算」より)
沖
縄
県
全
国
大企業
中小企業
うち小規模
構成比
0.1%
99.9%
85.8%
企業数
73
49,158
42,259
構成比
0.3%
99.7%
85.1%
・26年度は、716万9,900人を記録。う
ち、外国人観光客は、98万6,000人(
57.2%増)。観光収入についても、約
5,342億円と過去最高。
・27年度は、793万6,300人と3年連続
で過去最高を更新。外国人観光客は、
167万300人(69.4%増)を記録。
11,110 3,809,228 3,252,254
企業数
(中小企業庁「中小企業、小規模事業者の数等
(2014年7月時点)」より)
就業者数の増加
就業者数の推移等
県内の就業者数は、H18年とH
27年の比較では、約11%の増加。
うち、男性は約6%、女性は約
17%。男女の構成比率も57:43
から55:45となっている。
10年度以降の入域観光客の動き
・10年度に400万人に到達し、 H13.9の
米国同時多発テロによる客数の減少な
どを経て、15年度には500万に到達。
・H21の新型インフルエンザの流行、
H23の東日本大震災などの影響により、
24年度までの10年間は500万人台で推移。
25年度には658万人を記録。
産業別県(国)内総生産(名目)の構成比
区分
入域観光客数の増加
有料老人ホームの増加
産業別就業者数の推移(H23年~27年)
(男女計:千人)
公務(他に分類されるものを除く)
サービス業 、複合サービス事業
(沖縄:施設数)
36
36
65
66
医療、福祉、教育、学習支援業
宿泊業、飲食サービス業
金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業
卸売業、小売業
3
4
電気・ガス・熱供給・水道業
製造業
建設業
0
0
3
3
鉱業、採石業、砂利採取業
漁業
農業、林業
(沖縄県「労働力調査」より)
0
106
104
44
45
情報通信業、運輸業、郵便業
138
56
51
20
18
27
25
学術研究、専門・技術サービス業
社会福祉施設等
113
26
27
生活関連サービス業、娯楽業
有料老人ホームは毎年増加。
うち老人福祉施設 うち有料老人ホーム
H24年
901
41
233
H25年
933
41
258
H26年
979
41
297
(沖縄:常勤換算従業員数)
社会福祉施設等
うち老人福祉施設 うち有料老人ホーム
31
31
72
65
27
29
H24年
12,436
279
1,431
H25年
13,065
327
1,732
H26年
13,561
362
1,944
(厚生労働省「社会福祉施設等調査」より)
50
100
150
(沖縄県資料等を基に当局作成)
11
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
県内の雇用情勢
有効求人倍率が復帰後最高を記録するなど雇用の「量」は拡大するも、人手不足が深刻化。職種間、正規・
非正規、労働条件などの「雇用のミスマッチ」も顕在化しており、雇用の「質」の向上が課題。
人手不足が深刻化
有効求人倍率は、好調な沖縄経済を背景に改善がみら
れ、H28年2月は復帰後最高の0.91倍。
新規求人数はH27年10月に県内初の1万人台に。28年
1月に10,666人、2月には11,715人と最高を更新。
「従業員数判断BSI」(法人企業景気予測調査)
でも、「不足気味」超が続いている。
有効求人倍率の推移
【出所】厚生労働省、沖縄労働局
求人求職のミスマッチも顕在化
(沖縄労働局『職業安定業務統計』、「職業紹介統計資料」)
【職種間】
職種によって大きな差。特に専門
的・技術的職業で高く、事務的職業
で低い。
(沖縄労働局『労働市場の動き』より)
非正規労働者の割合が高い
非正規労働者の割合が全国一高い水準。若年者
の2人に1人が非正規労働者。特に「宿泊飲
食」、「卸売小売」などで非正規割合が高い。
非正規割合
(男性)
(女性)
(若年者)
全国
38.2%
(22.1%) (57.5%) (35.3%)
沖縄
44.5%
(30.5%) (60.1%) (50.3%)
25年4月以降の雇用形態別雇用者数では、
非正規の数、割合とも増加しており、うち、
パート、アルバイトは増加傾向、契約社員
は減少傾向。
※若年者は、
15~34歳
の者
【正社員・非正規間】
求職者は8割近くに達するも、求
人は3割に満たない。
(総務省『H24年就業構造基本調査』)
(沖縄県「労働力調査」より)
12
Ⅱ.沖縄管内における賃金の動向について
○
賃金構造基本統計調査では、「年間賞与その他特別給与額」がH26年、H27年と大幅に増加。初任給は学歴を問わず増加傾向。
また、毎月勤労統計調査では、常用労働者のうち、パートタイム労働者の割合が増加している。
毎月勤労統計調査
賃金の動向等
賃金構造基本統計調査
平成23年と27年を比較すると、所定内給与は+14.1千円(+6.3%)
の伸び。年間賞与額は+111.2千円(+28.9%)と大幅に増加。
「常用労働者数」は増加し、「パートタイ
ム比率」も増加。業種別では「医療、福
祉」が増加し、「卸売業・小売業」は減少。
「卸売業、小売業」、「宿泊業、飲食
サービス業」、「医療、福祉」でも年
間賞与額が大幅に増加。
25年、26年は対前年で減少。27年は増加。
初任給は、学歴を問わず増加傾向。
「総実労働時間」は微増、微減で推移。「所定外労働時間」は27年に大幅に増加。
136