資料4 最近の財政投融資を巡る諸課題について 平 成 28 年 10 月 19 日 財 務 省 理 財 局 目次 1.将来剰余金のシミュレーションについて(考え方)・・・・・・・・・・・1 2.低金利下の財投機関の状況(株式会社日本政策金融公庫)・・・・・・・・5 1.将来剰余金のシミュレーションについて (考え方) ― 1 ― シミュレーションについての考え方 平成26年度のシミュレーションと同様、以下の考え方に基づきアーニング・アット・リスク分析を実施。 シミュレーションにあたっては、 ○将来にわたる金利変動パターンについて確率的な金利モデル(HJMモデル)に基づき生成した3,000本の 「金利シナリオ」 ※金利シナリオについては、直近5ヵ年(平成23年4月1日~平成28年3月31日)の国債金利のボラティリティを使用。 ○財投計画の規模及び貸付金・財投債の年限構成を平成28年度計画(補正)と同程度にするなど、資産・負 債に関して一定の前提を置いた「資金シナリオ」 を設定し、将来の剰余金(フロー)及び繰越利益(ストック)の期待値や変動の大きさ(リスク)を計測。 【分析のイメージ】 <将来のイールドカーブ推移> • 経過年数毎に3,000本のイールドカーブを生成(図は平均値を 表示)。 • 将来のイールドカーブのシナリオは、足元のイールドカーブと ボラティリティ(金利の平均的な変動率)により生成。 <剰余金の分布> • 左記の金利シナリオと資金シナリオを用いて将来剰余金を算出。 • 剰余金の分布形状をローソクチャートを用いてイメージ化(最大値、 99%点、期待値、1%点、最小値を図示)。 ― 2 ― <年度別将来剰余金の期待値とリスクの推移> • 各年度のローソクチャートを並べ、剰余金の期待値及びリスクの状 況を把握。 下図は「財政投融資を巡る課題と今後の在り方について(平成26年6月17日)」における分析結果。 アーニング・アット・リスク分析 ○将来剰余金の推計(フロー) ○将来繰越利益の推計(ストック) ― 3 ― 積立金残高の推移 (参考) ○財投特会においては、今後の金利変動に伴う損失に備えるため、毎年度剰余金が発生した場合、これを積立金 (金利変動準備金)として積み立て、必要水準(50/1000)を超える分については国債整理基金特会に繰り入れる仕 組み。 ○18年度以降、厳しい財政事情等に鑑み、臨時特例的な措置として一般会計等への繰入れを実施。 ○復興財源確保法において、24年度から27年度までの間、財投特会の剰余金を復興債の償還財源に充てること を可能とする規定を措置。これにより、金利変動に対する対応余力が著しく低下しているため、財投特会の財務の 健全性を制度的に担保する観点から、一般会計から財投特会への繰入規定を措置(例外的・時限的な措置)。 (単位:兆円) 決算上 剰余金 年度末 積立金残高 平成17 決算 18 決算 19 決算 20 決算 21 決算 22 決算 23 決算 24 決算 25 決算 26 決算 27 決算 28 予算 4.0 2.8 2.5 2.3 1.5 1.1 1.0 0.7 0.5 0.4 0.3 0.2 22.4 14.4 国債整理 基金特会 12兆円 17.2 8.4 国債整理 基金特会 7.2兆円 一般会計 4.2兆円 3.4 一般会計 7.3兆円 0.1 一般会計 4.8兆円 0.1 一般会計 1.1兆円 0.1 国債整理 基金特会 1.0兆円 0.1 0.6 国債整理 基金特会 0.7兆円 復興財源 (注1)平成28年度については、予算額である。 (注2)各計数ごとに四捨五入しているため、計において一致しない場合がある点に留意。 ― 4 ― 0.3 国債整理 基金特会 0.8兆円 0.6 2.低金利下の財投機関の状況 (株式会社日本政策金融公庫) ― 5 ― ○日本銀行による金融政策の決定に伴い、地方銀行等の貸出金利は低下傾向。 ○財投金利の下限見直しに伴い、日本公庫の貸出金利も最大0.09%低下。 ※日本公庫の基準金利(5年)と地方銀行等の貸出金利(1年以上)は、貸出期間が異なり、単純な比較は困難であることに留意。 3.00% 2.70% マイナス金利付き量的・ 質的金融緩和 導入 信用金庫 日本公庫(中小) 2.40% 日本公庫(国民) 2.10% 1.80% (1.71%) (1.58%) 1.50% (1.21%) (1.14%) 1.20% 地方銀行 0.90% (0.90%) 第二地方銀行 0.60% 財政融資資金 0.30% 0.00% (0.01%) 変 10 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 第4 第1 第2 第3 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 更 月 Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q Q 後 平成 20年度 (4月-3月) 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 公庫(国民) 2.45 2.30 2.40 2.20 2.25 2.15 2.25 2.15 2.05 2.25 2.25 2.25 2.15 2.15 2.15 2.05 2.05 2.05 1.85 2.05 1.90 1.90 1.75 1.75 1.65 1.65 1.90 1.90 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.85 1.80 1.71 公庫(中小) 2.15 1.85 2.05 1.85 1.85 1.75 1.75 1.65 1.55 1.75 1.75 1.75 1.65 1.65 1.65 1.55 1.55 1.55 1.50 1.70 1.60 1.60 1.60 1.60 1.40 1.40 1.40 1.40 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.30 1.21 信用金庫 2.52 2.26 2.06 2.28 2.26 2.26 2.05 2.20 2.25 2.09 1.95 2.03 2.05 2.02 1.90 2.00 1.98 1.92 1.77 1.93 1.83 1.87 1.75 1.84 1.83 1.71 1.70 1.78 1.76 1.72 1.64 1.33 1.63 1.32 1.62 1.62 1.58 1.58 N.A. 1.58 N.A. 1.58 N.A. 第二地方銀行 2.36 2.09 2.03 2.07 2.10 1.90 1.98 1.85 1.83 1.72 1.79 1.73 1.71 1.55 1.66 1.50 1.52 1.58 1.51 1.49 1.52 1.41 1.51 1.45 1.40 1.41 1.45 1.33 1.32 1.29 1.29 1.00 1.23 0.91 1.09 1.16 1.14 1.14 N.A. 1.14 N.A. 1.14 N.A. 地方銀行 1.97 1.76 1.76 1.71 1.66 1.64 1.62 1.45 1.42 1.40 1.36 1.29 1.34 1.26 1.32 1.22 1.23 1.20 1.28 1.19 1.18 1.14 1.13 1.11 1.10 1.04 1.04 1.06 1.04 1.00 0.97 0.79 0.87 0.67 0.89 0.86 0.90 0.90 N.A. 0.90 N.A. 0.90 N.A. 財政融資資金 0.90 0.60 0.70 0.50 0.50 0.40 0.40 0.30 0.20 0.40 0.40 0.40 0.30 0.30 0.30 0.20 0.20 0.20 0.10 0.30 0.20 0.20 0.20 0.20 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.01 注1.各貸出金利は、日本銀行「預金・貸出関連統計」の貸出約定平均金利 新規/長期(注:1年以上)等により作成。 注2.各貸出金利は、各四半期初月の金利。公庫の貸出金利は、5年の貸出期間の基準金利、また財政融資資金貸付金利は、5年の貸出期間。 ― 6 ― ○日本国内での中小企業向け貸出残高における政府系金融機関の割合は9%程度。 ○近年、民間金融機関の貸出の伸長に伴い、政府系金融機関の残高・割合は減少。 〈 日本国内での中小企業向け貸出残高における政府系金融機関の割合 〉 (兆円) 350.0 政府系金融機関 〔9.2%〕 300.0 28.2 民間金融機関 〔9.7%〕 27.6 250.0 〔10.1%〕 〔10.3%〕 〔9.1%〕 〔8.6%〕 〔8.7%〕 〔8.7%〕 〔10.3%〕 〔9.8%〕 〔9.0%〕 26.8 〔9.1%〕 〔9.4%〕 〔9.3%〕 〔9.5%〕 〔9.5%〕 23.0 26.3 21.6 21.7 24.3 21.3 25.5 21.9 22.2 22.5 22.2 22.5 22.4 200.0 150.0 279.3 258.6 238.2 228.4 221.5 224.4 230.7 2004 2005 2006 227.1 225.0 220.4 216.9 214.2 216.7 221.7 228.6 213.4 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 100.0 50.0 0.0 2000 2001 2002 2003 注1.日本銀行「預金・貸出関連統計」等により作成。 注2.残高は年度末値。〔 〕内は総貸出残高における政府系金融機関の貸出残高構成比。 注3.民間金融機関は、国内銀行及び信用金庫の合計(個人向けや地方公共団体向けの貸出は除外)。 ― 7 ― ○近年、民間金融機関の貸出が伸長する一方、政府系金融機関の貸出は後退。 ○政府系金融機関の貸出は、リーマン・ショック等の局面では大きく伸長。 〈 貸出の対前年同月比の伸び率の推移 〉 (%) 10.0 リーマンショック 平成20年9月 東日本大震災 平成23年3月 7.5 民間金融機関 5.0 2.5 0.0 ▲ 2.5 政府系金融機関 ▲ 5.0 ▲ 7.5 ▲ 10.0 ▲ 12.5 ▲ 15.0 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ (4月-3月) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 注1.日本銀行「預金・貸出関連統計」等により作成。 注2.民間金融機関は、中小企業向けの事業貸出残高で、国内銀行。政府系金融機関は、日本公庫及び商工中金の合計。 ― 8 ― 2011 2012 2013 2014 2015 2016 ○中小企業の業況は、緩やかな回復基調のなか、足下、弱い動きが見られる。 業況判断(DI)の推移 (%ポイント) 40 30 大企業 20 中堅企業 10 0 ‐10 中小企業 ‐20 リーマンショック ‐30 ‐40 ‐50 ‐60 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ (1月-12月) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 注1.日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」により作成。 注2.業況判断DIは、「『良い』と答えた社数構成比(%)」-「『悪い』と答えた社数構成比(%)」により算出。 注3.「短観」における集計規模区分の定義:大企業(資本金10億円以上)、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)、中小企業(2千万円以上1億円未満)。 ― 9 ― 2016年 ○中小企業の資金繰り判断の状況は、リーマン・ショック後の落ち込みから改善している。 他方、大企業・中堅企業と比べると、低い水準。 資金繰り判断(DI)の推移 (%ポイント) 40 30 大企業 中堅企業 20 10 0 ‐10 中小企業 リーマンショック ‐20 ‐30 ‐40 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ (1月-12月) 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 注1.日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」により作成。 注2.資金繰り判断DIは、「『楽である』と答えた社数構成比(%)」-「『苦しい」と答えた社数構成比(%)」により算出。 注3.「短観」における集計規模区分の定義:大企業(資本金10億円以上)、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)、中小企業(2千万円以上1億円未満)。 ― 10 ―
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